建売住宅だから効率優先、なんてない。― 「同じ家は、つくらない。」小ロット多品種で業界の常識を覆し、人も会社も進化し続けるメルディアの今―
今年、新卒で就職した人たちが働き始めてから、早くも半年が経った。そして大学と高校の3年生たちは、ちょうど就職活動の佳境を迎えている時期だろう。世にはあまたの業種があり、たくさんの企業が存在する。そのなかでも今回は特に不動産業界への就職を考えている人に向けて、また、不動産会社に就職したものの、飛躍のきっかけを掴めずにいる若きビジネスパーソンに向けて有益な情報を提供すべく、ある不動産会社を訪ねた。
お訪ねしたのは、株式会社メルディア。「同じ家は、つくらない。」という尖ったコーポレートメッセージを掲げ、企業理念である「公共の芸術性と個人の生活空間をプロデュースする」に基づいて、1軒1軒、デザイン・設計にこだわり、注文住宅並みのクオリティを備えた分譲住宅を提供することで定評のある会社だ。1993年創業のこの会社は、2023年、営業力に圧倒的な強みを持つオープンハウスのメンバーとして新たなスタートを切った。
メルディアのこれまでと、新生メルディアの今、そしてこれからについてお話を伺うべく、同社の若き幹部たちのいる西新宿の本社を訪ねた。聞き手はLIFULL HRソリューション事業部長 秋庭麻衣、同 國松圭佑、同 駒澤優里。メルディアからは、メルディアリアルティ 代表取締役社長 藪下阿由武氏、人材開発部 中途採用責任者 高野裕基氏、中途採用担当 淺野結佳氏、経営企画本部 経営企画課 課長 立澤広夢氏に参加いただいた。
メルディアは、“矛盾解決”に挑戦し続ける会社
分譲住宅の常識を覆す「小ロット多品種」へのこだわり
LIFULL秋庭(以下、秋庭)「まずはメルディア様の事業概要について、あらためてご説明いただけますでしょうか」
メルディア立澤氏(以下、立澤)「弊社は、戸建て事業が売上の7割を占めます。仕入れから企画、設計、工事、販売までを自社で一貫して行っており、大工さん以外は、現場監督も含めて全て自社社員で対応しています。建売り戸建てのファミリー層向け実需をメインとしながらも、各物件において、明確なコンセプトを持って取り組んでいることが特徴です。また、MAIという会社でアパート事業も展開し、投資家の方々向けにアパート・オーナーになっていただくための投資商材として販売しています」
秋庭「メルディア様は、施工管理もされており、職種の幅が広いのが特徴かと思います。職種が多岐にわたることからくる課題などはありますか?」
立澤「例えば営業は目標数値を意識して走る一方で、設計者は職人肌でクオリティの限界まで挑むなど、職種ごとに大切にしている視点や熱量の向き合い方に違いがあるのは確かですね」
メルディア経営企画本部 経営企画課 課長 立澤広夢氏
この「意識の違いや温度差」をどう受け止め、対処しているのかについて、藪下阿由武氏が説明を加えてくれた。
メルディア藪下氏(以下、藪下)「弊社では各部署が、ものづくりに対する強烈な思いを、良い意味でのエゴを持っています。一方で、コンセプトをしっかりと共有していなければ良い商品は作れません。そこが難しいところです。だから、設計工事側は、たしかな顧客目線を持ち、営業側は、それが売れるかどうかを建設的に議論していかなくてはならない。幸いなことに、うちにはそれを実現する組織風土が根づいています」
ここで話に出てきた「コンセプト」は、メルディアにとっては重要な概念のようだ。
藪下「メルディアの特徴は、土地ごとに明確なコンセプトを立てて、間取りやデザインを考えながら家を建てることです。通常の分譲住宅事業というのは、効率性を重視して同じ型の住宅を大量生産する、というやり方が一般的なのですが、弊社はそこが全く違うわけです。これは業界ではかなり珍しい取り組みでして、お客様本位の家づくりを追求しながらも生産性を上げるという、いわば“矛盾解決への挑戦”を続けているのだと思います」
LIFULL國松(以下、國松)「なるほど。とはいえ、“小ロット多品種”で量産を続けていくというのは並大抵のことではないと思うのですが、それは最初から狙って始められたことなのでしょうか?」
藪下「そうですね。他社との明確な差別化のために、弊社は創業時からそうしてきました」
このやりとりを受けて、メルディアの思いを分かりやすく噛み砕いてくれたのは、高野裕基さんだ。
メルディア高野氏(以下、高野)「私たちの家づくりを『お寿司』で例えるなら、高級店の職人が一貫一貫手で握るスタイルです。通常、事業規模が広がれば機械(シャリマシーン)を導入して効率化を目指しますが、私たちはその常識に逆らっています。年間2,000棟を超える規模になっても、一棟一棟に職人のこだわり(魂)を注ぐ。この規模で『手握り』の品質を守り抜いている会社は、他に例を見ないと思いますね」
メルディアの理念である「同じ家は、つくらない。」は、創業後33年を経た今も、脈々と受け継がれているのだ。

「個の成長」と「チーム力」を両立させる。多様なキャリアと成長を促す環境とは
秋庭「メルディア様では、人材育成に関しては、どのように進められているのでしょうか?」
メルディア淺野氏(以下、淺野)「メルディアには小ロット多品種で仕入れから販売まで自社で行っていることから、多様な職種の人が集まっています。私自身、新卒入社からさまざまな職種を経験し、現場の管理や部署間連携の重要性を学んできました。その経験は人材開発部に異動した今も大きな糧になっています。メルディアは挑戦を後押ししてくれる風土があり、部署横断の異動を通して幅広い視野を持つ『ゼネラリスト』へと成長できる環境があります。もちろん、一つの道を極める『スペシャリスト』を目指す道もあり、自分の強みに合わせた多様なキャリアを選択できるのが魅力ですね」
チャレンジすることを何よりも尊ぶメルディアには組織の課題把握のための確かなシステムが構築されているという。
立澤「定期的な情報共有と進捗確認の場(PDCAミーティング)を設けています。管理職層は月1回、経営層は週1回の頻度で実施しており、単に数字を追うのではなく『どこに課題があり、どう改善すべきか』を建設的に議論する場です。これにより、経営層が現場の状況や社員一人ひとりを“バイネーム”で把握し、タイムリーなサポートや最適な人員配置を行えています」
淺野「数字の報告だけでなく、現場の課題に寄り添ってくれるのが特徴ですね。何しろ代表が全社員の名前を覚えてくれているほど、人や現場を大切にする姿勢が根付いているのを感じます」
メルディア 中途採用担当 淺野結佳氏
秋庭「なるほど。それでは社内のコミュニケーションを、特に、多岐にわたる部署を横断してのコミュニケーションを活性化させるための施策などはありますか?」
藪下「表彰制度もそのための施策の1つだと思います。私たちは半期ごとにホテルを借りて表彰式を行います。ですから1年に2回、各部署の優秀者が壇上に上がって表彰されるわけです。日頃はやりとりのない社員も多いのですが、その表彰の場で、誰がどれだけ活躍しているのかを知り、新たなコミュニケーションを育むための良い機会になっていると思いますね」
國松「1年に1度の表彰という話はよく耳にしますが、年に2回行うというのは聞いたことがないですね。かなり珍しいと思います。それは社内コミュニケーションだけでなく、社員の方々のモチベーションアップにも大きく寄与しているのでしょうね」
面談制度、表彰制度だけでなく、評価制度についてもまた特徴がある。
藪下「個人インセンティブだけに縛られると、どうしても『自分さえ良ければいい』という感覚に陥ってしまい組織がバラバラになってしまうため、私たちは、個人の成果だけでなく、チーム業績や会社全体の業績も評価に反映させる仕組みにしています。チームで助け合い、全体で成果を底上げする姿勢を評価のベースに置いたうえで、個人の頑張りについても『相対評価』を用いて客観的かつ公平に見極めているのです。なぜ絶対評価ではなく相対評価なのかといえば、第一に『公平性の確保』です。評価者の主観によるムラや地域の差を無くし、全社共通のポイント制でランキングとしてタイムリーに可視化しています。自分の立ち位置が明確だからこそ納得感があり、年齢・社歴に関係のない完全実力主義のもと、出た成果はスピーディーに昇給・昇格や賞与へ反映される仕組みになっています」
さて、冒頭にも書いた通り、不動産業界には、どうしても「ハードワーク」や「長時間労働」といったワードがつきまといがちだが、メルディアの皆さんはそれについてどう感じているのだろう。藪下さんが、率直に答えてくれた。
藪下「仕事において努力が必要な場面はもちろんあります。けれど、目指す場所や目的がはっきりしていれば、その捉え方はガラリと変わるはずです。高い壁に挑むアスリートがトレーニングに励むのと同じで、目指す姿が描けている人にとっては、目の前の課題に向き合う時間そのものが充実したものになります。目標を持って挑むからこそ、得られる成長や面白さがあると思っています」
そんな藪下さんは、どのような「目的意識」を持って、不動産業界に足を踏み入れたのだろうか。お尋ねしてみるとそこには、明確な目的、というよりも、崇高とも言えるほどの思いがあった。
藪下「私は、“人の一生に一度あるかないかのイベントに関わるような職業”につきたいと、ずっと考えていました。ですから冠婚葬祭業も視野に入れて就職活動をしていたのですが、最終的にたどり着いたのが不動産会社だったのです。住まいを手に入れるというのは、人生に何度とない一大イベントですよね。私は、不動産の仲介業務を通じてお客様の人生に関わり、その家族の幸せや資産形成に貢献できることに、大きなやりがいを感じるのです」
メルディアリアルティ 代表取締役社長 藪下阿由武氏
休日は増え、残業は減り、育休からの復帰率も90%に
とはいえ、時代の変化、人の考え方の変化に伴って、メルディアにおいても当然、働き方改革は目覚ましく進んでいる。その具体的な内容についてお聞きした。
藪下「私どものメルディアリアルティでは、まず勤務時間を変更しました。元々コアタイムが9時半〜6時半だったのですが、それを平日は10時半〜7時半に、土日は9時〜6時に変更したんです。平日の朝の時間帯は比較的接客が少ないものですから、コアタイムを1時間後ろにズラしたわけです。それによってお子様がいる社員も、朝、子どもを送ってから出社できるようになり、対応しやすくなったと思います」
「休日」「残業時間」等については、どのような改革が行われたのだろう。
立澤「これは直近の一例になりますが、年間休日を5日増やして年間120日(計画有休5日含む)とし、みなし残業時間も月45時間から40時間に削減することを決定しました。ちょうどこれから運用を開始していくという段階です」
LIFULL駒澤「それに関連して、女性の働きやすさという点については、何か変化などはございますか?」
淺野「女性の働きやすさについても、着実に改善されてきています。例えば産休・育休からの復帰時、以前は時短勤務になると手当や役職に影響が出る課題がありましたが、見直しが進み、安心して復帰しやすい環境が整ってきました。私自身、将来子どもができても長く働き続けられそうだと感じています」

そういった変化については、立澤さんが数字で裏打ちしてくれた。
立澤「弊社では現在、女性社員の育休からの復帰率は約90%です。それから、全社員に占める女性社員の割合は、現在3割程度ですが、これを2030年までに4割に引き上げるという目標を掲げています」
働きやすさにも大きな影響を与える、業務のDX化やAIの導入についてはどうだろう。
立澤「メルディアリアルティにおけるデジタル化の一例として、顧客管理システムの導入を行いました。以前はデータ管理が属人的になってしまっていて、担当者が辞めると顧客情報が失われることさえあったのですが、システム化によって、情報の一元管理と可視化を実現することができました」
藪下「オープンハウスグループのシステムを導入し、AIが顧客データから最適な物件提案メールを自動生成する仕組みを構築しました。実はそれまで、これらをすべて手作業(アナログ)で処理していたんです。逆に言えば、アナログなやり方だけで年商1,000億円以上を売り上げ、管理し切っていたこと自体、今振り返ると驚きですよね(笑)。そこにデジタルが加わったことで、営業効率は格段に上がっています」
さらに、メルディアの採用面接についても話題に上った。
駒澤「メルディア様の面接を受けた方が、面接後に御社への好感度を高めて志望度を上げた、例えば、当初第三希望としていた方が第一志望に変更したなどの例が多数あるとお聞きしています。面接に際して心がけていらっしゃることなどありましたら教えてください」
高野「それは私たちが、『面接でお会いするすべての方が、将来私たちのお客様になる』という意識を持って、毎回面接に臨んでいるからじゃないでしょうか。それで私どものファンになっていただいた、というのはあるかもしれませんね」
メルディア 人材開発部 中途採用責任者 高野裕基氏
オープンハウスグループとの統合がメルディアにもたらすもの
メルディアがオープンハウスグループの一員となったことが、社内にさまざまな好影響を及ぼしていることがよくわかった。ではメルディアの“顧客”に対しては、どのようなメリットを生んでいるのだろうか。藪下さんによればそれは、「商品ラインナップの拡充に伴う、情報量の劇的な増加」だという。
藪下「お客様はそれぞれ、立地や価格をはじめとする個別のご要望をお持ちです。それに対して私たちは、そのご要望に最も適切にお応えできるグループ内企業を選定して対応することができます。例えば、立地を重視される方にはこの会社を、価格重視でしたらこちらの会社を、デザイン重視の方には当社をというように。それぞれが独自の強みを持ち、豊富な商品ラインナップを揃えていますから、ご要望に適切にお応えできるのです」
不動産業界、そしてメルディアを目指す方々へ
最後に、不動産業界、とりわけメルディアに就職・転職を考えている方々に向けてメッセージをいただいた。
立澤「当社は歴史と実績を持ちながらも、いま『第二次創業期』という変革期を迎えています。組織の急成長に伴って新しいポストも次々と生まれており、意欲次第でスピード感をもってキャリアを築けるフェーズです。完成しきっていないからこそ、自ら仕組みを創り上げる面白さがあります。果敢な挑戦を受け止める組織の懐の深さと経営基盤がありますから、裁量を持って手応えのある仕事をしたい人には魅力的な環境です」
淺野「個人の抱える課題や悩みを、チームの仲間が『自分ごと』として一緒に考え、支えてくれる温かさがあります。だからこそ、私自身も大きな安心感と喜びを感じながら日々の仕事に向き合えています。そして何より、ライフイベントを迎えても女性が安心してキャリアを重ねていける会社であることを、自信を持ってお伝えしたいですね」
高野「メルディアは製販一体(製造から販売まで一貫)で、多様な事業を展開しているのが強みです。だからこそ、最初は『不動産業界に興味がある』といった原体験からのスタートでも全く問題ありません。入社後に多様な職種を経験し、さまざまなプロと関わるなかで、気づけば不動産の総合力が身につき、プロフェッショナルへ成長している。そんなキャリアの可能性が広がっていますから、ぜひ勇気を持って飛び込んできてください」
不動産業界、とりわけメルディアに就職・転職を考えている方々に向けてのメッセージ、最後は藪下氏の熱いエールで締め括っていただこう。
藪下「私は、不動産業界のネガティブなイメージを根本から変えたいと思って仕事をしています。メルディアで言えば、『建売分譲住宅』の概念も、『不動産営業』の働き方のイメージもアップデートしたい。いつか『子どもたちがなりたい職業』のトップに押し上げたいと考えています。それくらいの熱量を持って、日々本気で挑戦を重ねています。業界の新しい当たり前を創る『変革者』として一緒に未来に挑みたい方、ぜひメルディアでお待ちしています」
今回のインタビューで一番印象に残ったのは、「内発的動機をもって若手が活躍している」という事実と、それを生み出す同社の組織構造です。
同社の強みである「小ロット多品種」のビジネスモデルは、必然的に社内に幅広い職種を生み出します。その結果、若手であっても入社直後から多様な専門性を持つメンバーと協働し、プロジェクトを推進する機会に恵まれます。風通しの良いコミュニケーション文化も相まって、若いうちから実践的な力が磨かれる土壌が構築されていました。
また、同社の真の魅力はそうした環境面だけにとどまりません。私が最も感銘を受けたのは、彼らが単なる「表層的な働きやすさ」に甘んじることなく、常に高い目標を掲げて切磋琢磨するプロフェッショナル集団であるという点です。
インタビューの終盤で語られた「不動産営業を『子どもたちがなりたい職業』のトップにしたい」という言葉には、業界の未来を変革しようとする本気の覚悟が宿っていました。この高い志と強固な組織力こそが、同社の進化を支える原動力なのだと強く感じさせられる取材でした。
取材・執筆:宮川貫治
撮影:阿部拓朗
高野 裕基(タカノ ユウキ)
株式会社メルディア 人材開発部 中途採用責任者 課長代理
2023年より親会社(オープンハウスグループ)からメルディアにジョイン。 中途採用を中心に採用戦略の立案・実行や面接官業務を担当し、候補者一人ひとりに寄り添った選考を徹底。組織の成長を担う優秀な人材の発掘・獲得と、採用ミスマッチの防止に尽力している。
藪下 阿由武(ヤブシタ アユム)
株式会社メルディアリアルティ 代表取締役社長
2014年に新卒入社後、企画営業職、仲介営業職、仲介マネージャーなど長くプレイヤーとして現場で活躍。2024年にメルディアリアルティの代表取締役社長に抜擢され、現在は社員育成や経営ビジョンの構築、仕組み作りのディレクションを行っている。
淺野 結佳(アサノ ユカ)
株式会社メルディア 人材開発部 中途採用担当 主任
2020年に新卒入社後、現場の様々な職種での経験を経て採用部門へ抜擢。中途採用実務や各種選考・契約対応、社内連携業務を一貫して担当。現場目線と多様なキャリア経験を活かした柔軟なサポートにより、採用活動の円滑な推進と組織の基盤強化に貢献している。
立澤 広夢(タツザワ ヒロム)
株式会社メルディア 経営企画本部 経営企画課 課長
メルディアグループ社長直下にて経営戦略の立案やマネジメントの意思決定サポート、全体のKPI管理、各事業部門と連携した事業計画の策定支援などを担当。事業運営で発生する課題に対する改善策の立案・実行や、生産性向上に向けた施策の推進、モニタリングのマネジメント業務まで幅広く手掛け、成長企業における経営の中核を担っている。
株式会社メルディアHP:https://meldia.co.jp/