不動産業界はブラック、なんてない。―採用のミスマッチをなくして、業界で働きたい人を増やす―

LIFULL HOME'S不動産転職事業CEO 國松 圭佑 LIFULL HOME'S不動産転職

「新規事業を提案して、未来のLIFULLの中核になる企業をつくる」と宣言してLIFULLに入社した國松圭佑。入社後、新規事業提案制度に応募しては落選するという経験を繰り返し、5度目の挑戦でようやく事業化を実現しました。現在はLIFULL HOME'S 不動産転職事業のCEOを務める國松に、業界未経験者への思いと、不動産業界に特化した転職支援事業の可能性について話を聞きます。

LIFULL HOME'S 不動産転職事業CEO 國松

「ある意味、“不動産業界はブラック”というイメージは正しい」と話す國松が目指すのは、求職者に寄り添った精度の高いマッチングで採用のミスマッチを減らすこと。不動産業界の採用の健全化を目指す取り組みの根底には、LIFULLの事業ならではの姿勢がありました。

LIFULLというブランドの中で不動産業界の健全化に働きかける事業をしていることに、やりがいを感じています。

不動産会社に寄り添う営業で、新規事業の種を見つけた

LIFULLの採用面接で、「新規事業を立ち上げて、未来のLIFULLの中核になる企業をつくる」と宣言して入社した國松。入社して3か月後に社内の新規事業提案制度「SWITCH」を使って事業提案をしたが、提案された事業の中で最下位という結果に終わる。その後も諦めずにSWITCHに応募するが、いずれも落選。いったんLIFULL HOME’Sの営業職に集中しようと気持ちを切り替えて、不動産流通領域の会社を訪れるうちに新規事業の種を見つける。

「LIFULL HOME’Sの営業職として商品を売るだけではなく、ホスピタリティを大切にしている不動産会社のビジョンづくりに並走していました。社員にビジョンが浸透しているLIFULLのノウハウを活かして、クライアントへ業務支援をしていたのです。ビジョンができた後は、社員研修や評価制度の見直しなどを3か月かけて練り上げていきました。この経験をするうちに、不動産会社の人事に関する悩みは深いと実感しました」

ある時、國松は訪問先の不動産会社から悩みを打ち明けられる。「採用したばかりの社員が辞めてしまう」「入社時に約束された給与額が支払われない。家族を養うために辞めるしかない」など、採用と労務に関する悩みだった。ここで國松は、不動産業界の採用には解決すべき課題があると確信する。これがのちの「LIFULL HOME’S 不動産転職」に繋がるのだが、すぐに新規事業化に踏み切ったわけではない。

LIFULL HOME'S 不動産転職事業CEO 國松

「不動産業界の採用の課題解決について、当時は新規事業を提案するというより、LIFULL HOME’Sの事業支援の枠組みで取り組もうと考えていました。LIFULL HOME’Sは接客診断を行うなど不動産会社の事業支援に力を入れているので、採用支援という形で実現しようと考えていたのです」

では、新規事業として提案したのはなぜなのか。きっかけは、コロナ禍で行っていた社内ブレストだった。

「私が訪問先で目にした不動産業界の採用の課題について、当時の営業グループのメンバーとざっくばらんに話そうということになったんです。コロナ禍だったためオンラインでブレストしていた時に、上司が宅建協会(全国宅地建物取引業協会連合会)と連携することを提案しました。ブレストを深めるうちに、宅地建物取引士(以下宅建)に合格し協会に登録した方の中で就職を希望する方にLIFULLが信頼をおく不動産会社を紹介するというスキームができました。この規模で仕組み化するならばLIFULL HOME’Sの事業支援サービスの一つではなく、新規事業として提案したほうがいいということになり、5度目のSWITCHに挑戦したのです」

國松はこのSWITCHで入賞し、不動産業界に特化した採用支援サービス「JOBRIDGE(現LIFULL HOME’S不動産転職)」を立ち上げた。現在は、幅広い業種・職種のラインナップで、マッチング精度を重視した転職支援サービスを展開している。さらに、LIFULL HOME’S 不動産転職のアイデアの原型である宅建取得支援と就業サポートをワンストップで行うサービスも始めた。一度は、事業支援の範囲で検討するというワンクッションを置いたことが、結果として現在の事業に深みを与えたようだ。

人材業は、人の可能性が最大化する過程に寄り添う醍醐味がある

國松が前職の人材業界に入ったのは、「生きるため」だったという。最初はやりがいを見出せなかった國松だが、ある企業との出合いで人材の仕事のおもしろさに気がつく。

上京のきっかけになった会社が倒産して、地元に帰ろうと思っていました。でも、もう一度東京で頑張ってみたいと考え直して、人材業界に入ったんです。当初は業界に強い思いはなく、生きるために選んだ職でした。主にIT企業を担当しましたが、最初の頃は求職者と企業のマッチングを回しているだけだと錯覚しており、“自分が事業を進めているわけではない”と虚しくなっていたんです。そんな時に、私が担当した企業で、数名で始めた事業が短期間で千人規模に成長したIT企業がありました。この企業に多くの人材を紹介する中で、単に求人票に合った人を紹介すればいいのではなく、“この施策を成功させたいから、こういった開発プロセスに合う人がほしい”というように求人の背景を理解することの大切さを学びました。そして、私が紹介した元農家の方がIT企業の役員になったのを見て、人材業界は企業と人の可能性が最大化する過程に寄り添えるおもしろい仕事だと気がついたのです」

LIFULL HOME'S 不動産転職事業CEO 國松

人材業界に限らず、事業を進めるために必要な行動は、“メンバーを動かす”、“資金提供者を動かす”など人を動かすことに収斂していく。國松は他者からの影響をポジティブに受け取る性質があるようで、人と関わり、人を動かす人材業界にぴったりはまったのだろう。

「子どもの頃はサッカー部のキャプテンをやっていました。私は何事にも熱くなりがちな性格なので、求職者の可能性が増していくのを見るたびに、自分の気持ちも高まっていきます。この経験が、おもしろいんです」

徹底的に“LIFULL流”で、課題解決を目指す

人材業界のおもしろさを知った國松が、満を持して立ち上げたLIFULLHOME’S 不動産転職。数ある人材マッチング事業の中で、LIFULL HOME’S 不動産転職の強みはなんだろうか。

「大切にしているのは、転職希望者一人ひとりの気持ちです。 “不動産業界はブラック”というイメージはある意味では正しいんです。今の不動産業界は、昔ながらのやり方で売上優先の営業を推奨する不動産会社と、会社としてホスピタリティを上げることで売上を伸ばしていこうとしている不動産会社で二極化しています。どちらが正しいという話ではなく、売上優先の営業で頑張りたい人は、そういった会社で頑張ればいい。しかし、ホスピタリティやワーク・ライフ・バランスを重視して働きたい人が売上優先の会社に入ると、人と会社のミスマッチが起きる。私はこのミスマッチが、“不動産業界はブラック”と呼ばれる元凶だと思っています」

また、一般的な転職エージェントは、離職率が高いゆえに大量採用を行なっている不動産会社も紹介する。しかし、國松は「右から左へ人を流していくような不動産業界の採用の仕組みを正常化したい」と話す。目先の利益ではなく業界の先行きを見据える背景には、LIFULLの社是である利他主義に則った考え方がある。

「私は、LIFULL HOME’S 不動産転職と取引のない企業でも、その人に合うと思えば紹介しています。人材業界は労働集約型の事業なので、不動産業界で働きたい人が増えないと業界が成長していきません。徹底して利他的に、LIFULLのやり方で攻めていこうと思っています。そして、将来的には私たちが採用手法や労務など不動産会社の採用計画から関わって業界に影響を与える存在になることで、不動産業界全体の健全化を目指したいのです。

“住まい探しと言えばLIFULL HOME’S”が定着しているように、“不動産業界で転職といえばLIFULL HOME’S 不動産転職”という立ち位置を目指します。業界No.1を目指すと、どうしても売上がついてまわります。もちろん売上は大切ですが、価値は売上に置かず、業界カルチャーを変えていく意気込みで取り組んでいます」

LIFULLが培ってきた資産を、採用面で活かしていく

不動産業界の採用の課題解決を追求するためには、業界への影響力や資金力など変化を起こす力が必要だ。ここにきて、追い風は吹いている。宅建受験者数は2010年の186,542名から2023年は233,276名と着実に増えており、國松は宅建受験者約300人と対話して手応えを掴んでいる。

LIFULL HOME'S 不動産転職事業CEO 國松

「興味があって宅建を取ったのはいいけれど、どうしたらいいかわからない人、副業のために宅建を取得したい人、また、郵便局員や自衛官などの異業種から宅建取得を目指している人もいました。宅建を取って、本気で変わろうとしている人がたくさんいるんです。そして、不動産業界は人材不足で困っている状況です。私たちが、両者を精度高くマッチングしていくことで事業成長を目指します」

さらに、國松はLIFULLの事業として展開する優位性をこのように捉えている。

「LIFULL HOME’Sに加盟している不動産会社は約3万店舗あり、これらの不動産会社との関係性はLIFULLが培ってきた資産です。私たちは、この資産を採用面からシナジーを効かせていきます。既に、LIFULLの事業ということで、人事部ではなく経営者や決裁者へ直接アクセスができています。それぞれの不動産会社に必要な人材のヒアリングを深めることで、現場のニーズを汲み取った求人情報を得ることができるのです」

実際に、LIFULL HOME’S 不動産転職独自の求人は増えてきている。さらに、LIFULL HOME’S 不動産転職で応募すると書類審査や1次面接が免除される会社もあり、スピード感のある転職支援サービスが構築できていることを実感している。

「本番の面接の前に私が面接をするのですが、10回以上面接をした人もいます。特に、不動産業界未経験の方の強い気持ちには驚きます。すでに業界未経験で不動産会社に入社した方が数十名いますが、みなさん入社後に大活躍しています。本気で不動産業界で働きたいという意欲がある方を応援することに、大きな手応えを感じています」

今年から始めた宅建取得支援と就業サポートをワンストップで行うサービスは、まさに業界未経験者が対象のサービスだ。國松が思いを込めて蒔いた種は、これから次々と花を咲かせていくはずだ。

「大きな一歩より小さな十歩」という言葉が好きです。早く成果を上げたくて一朝一夕に進みたくなりますが、焦る時ほど小さな十歩を意識しています。

取材・執筆:石川 歩
撮影:服部 芽生

LIFULL HOME'S 不動産転職事業CEO 國松
Profile LIFULL HOME'S不動産転職事業CEO 國松 圭佑

出版社、人材業界などを経験後、2017年にLIFULLへ中途入社。LIFULL HOME’Sの広告営業を経験。2022年には年間トップセールス受賞。営業をしていた時の実体験から得た課題解決として、不動産領域特化採用支援サービスを社内新規事業コンテストSWITCHに発案して入賞を果たし、現在はLIFULL HOME’S不動産転職事業 CEOとして従事。

LIFULL HOME'S 不動産転職公式X: @LH_JOBRIDGE

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