自分の住まいは一つだけ、なんてない。 ―LIFULLのリーダーたち―LIFULL 地方創生事業CEO 岡林 優太

2024年4月1日、ソーシャルエンタープライズとして事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLは、チーム経営の強化を目的に、新たなCxOおよび事業CEO・責任者就任を発表しました。性別や国籍を問わない多様な顔ぶれで、代表取締役社長の伊東祐司が掲げた「チーム経営」を力強く推進していきます。

シリーズ「LIFULLのリーダーたち」、今回は地方創生事業CEOの岡林優太に話を聞きます。

LIFULL 地方創生事業CEO 岡林 優太

高知県庁と東京都庁でまちづくりに取り組んだ後に、地方自治体の枠組みを越えて「地域の力になりたい」とLIFULLに入社した岡林優太。地域の人材マッチングや空き家の見える化など、事業を通じて社会課題の解決につながる成功モデルをつくり、全国へ横展開する取り組みを進めています。ここでは、LIFULL 地方創生が描く持続可能な地域の仕組みづくりと未来構想について話を聞きます。

「地域の力になりたい」という思いは変わっていません。行政での経験を、次は地方創生の領域で活かしたいと思っています。

官民間のポジションから、地方創生を目指す

――これまでの岡林さんの職歴を教えてください。

新卒で高知県庁に入り、地域のまちづくりに取り組んできました。私は高知県南西部の出身で、過疎化が進む地元の衰退を身近に感じながら育ってきたため、まちづくりの仕事を通して地元の力になりたいと考えていたためです。高知県庁で6年間働き、結婚を機に生活の拠点を都内に移す必要が生じて東京都庁に転職しました。

都庁では、都市部のまちづくりと東京オリンピックの競技会場を導入するプロジェクトの総合調整を担当しました。私の担当するプロジェクトが完了したところで、「これから自分が取り組みたいことは何か」と考えました。地域の力になりたいという気持ちは変わらず地方自治体の枠組みを越えて取り組めることは何かと考え、地方創生に取り組んでいる企業を探していた時にLIFULL地方創生における取り組みを知り、2020年にLIFULLに入社しました。現在は、地方創生事業のCEOを務めています。

LIFULL 地方創生事業CEO 岡林 優太

――地方創生事業に取り組む企業はたくさんあります。なぜLIFULLを選んだのですか?

社会課題の一つである空き家の再生を軸に、地方創生事業を進めていくという明確な姿勢に惹かれたのです。地方創生の領域には様々な社会課題がありますが、LIFULLは空き家の課題解決から持続可能な地域社会の仕組みづくりを独自の視点で進めています。この仕組みができあがれば、空き家の課題解決に限らず、他領域に横展開できる可能性を感じました。

――地方創生事業は各地域との連携が大切です。行政の仕事を経験してきた岡林さんの強みが活かせますね。

私は行政と民間企業の両方を経験しているため、官民の間に立てるポジションだと思っています。現在は、ノウハウや人材をどのように組み合わせて地域と繋いでいくのかなど、事業全体ディレクションの責任を負っています。また、行政の視点に立って、地域に還元できる価値を考えながら仕組みをつくるのも私の役割だと考えています。

持続可能な地域社会を実現するための仕組みをつくる

――LIFULL 地方創生事業の全体像を教えてください。

LIFULL 地方創生 の取り組み

総務省の制度に地域おこし協力隊がありますが、地域と人材のミスマッチが起きてしまい、隊員が3年の任期に離脱してしまう事例あります。このミスマッチを防ぐ隊員の採用支援や、移住マッチングプラットフォーム「LOCAL MATCH」の運用を通じて地域との人材マッチング事業を展開しています。次に、地域に繋いだ方達をで活躍できる人材に育成するために「LIFULL 地方創生スクール」を立ち上げています。すでにスクールから1,000人以上の人材を輩出しており、育成した方達や自治体と協働して地域の課題解決に取り組んでいます。

また、LIFULLでは、自治体が管理する水道使用量データを分析して空き家を特定していくことで、空き家の見える化に取り組んでいます。空き家を放置すると、撤去コストが増加し、治安の悪化や人口流出を加速させる問題が発生します空き家所有者を対象とした意識調査の実施やセミナーの開催、ハンドブックの制作などに取り組み、空き家の利活用に向けて所有者意識醸成を図っています。掘り起こした空き家LIFULL 地方創生が運用する全国版の空き家バンク「LIFULL HOME’S 空き家バンク」で自治体と連携した空き家のデータベース化を図り、空き家の掘り起こしから利活用希望者とのマッチングまでをワンストップで進めています。

その他、地方にある遊休不動産を、テレワーク拠点や民泊施設などに利活用する取り組み活用した施設や地域の暮らしを体験するツアープログラムなどの企画及び運営を通じて、関係人口の創出や地域の魅力づくりに取り組んでいます。子育て世帯に在宅で仕事ができるノウハウを共有し、子育てをしながらテレワーカーとしてキャリアを築くための就労サポートを行う「LIFULL FaM」も地方創生事業の一つです。地域定住に繋げる仕組みの一つとして、「LIFULL FaM」を通じてママの就労支援を進めています。

このように、人材マッチング・人材育成・空き家等の課題解決・地域の魅力創出・就労支援という一連の取り組みを仕組み化することで地域の関係人口と定住人口を増やし、持続可能な地域社会実現することを目指しています。

空き家の課題解決事業には、伸びしろがある

――これからの5年間で取り組みたいことを教えてください。

これまでに各地域で取り組んできた、地域に人を繋ぎ、繋いだ後も地域で活躍する人材に育成し、育った方や自治体等と一緒に地域の課題解決をする仕組みづくりを引き続き全国各地に展開していきたいと考えています。

特に、空き家の課題解決においては、自治体の空き家対策窓口の構築や運用を支援して空き家の掘り起こしを促進するなど、より地域に根ざしたかたちで取り組んでいきたいです。全国版空き家バンク「LIFULL HOME’S 空き家バンク」において各自治体と連携して空き家情報を収集・掲載しており、7000件の空き家の情報を掲載していますが、全国の利用目的のない空き家数385万戸(総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査結果」)と比較すると、空き家の掘り起こしが全国的に見てもまだまだ足りない状況です。一方で、地域に眠る数多くの空き家は、事業的に伸びしろがあるとも考えています。例えば、都内のテレワークを推奨している企業や地域移住に興味がある方、「LIFULL HOME’S 空き家バンク」で物件探しをする方など、それぞれ約200万人以上の規模で潜在層がいます。こういった潜在層と空き家をマッチングする事業には大きな可能性があります。将来的に、二拠点生活や災害時の避難先として一人が二つ以上の住まいを持つようなシーンを創出していくことで、市場規模が拡大して地域の活力に変わっていくと考えています。

LIFULL 地方創生事業CEO 岡林 優太

――現在、空き家の課題解決で連携している自治体はどのくらいあるのですか?

LIFULL 地方創生が運用する全国版の空き家バンク「LIFULL HOME’S 空き家バンク」に参画しているのは760自治体です。自治体でプラットフォームに登録していただいて、物件情報等の連携をしていますまた、直近では自治体が管理するデータを活用した空き家の見える化に関する事業を4自治体と、空き家に関する自治体のサポートデスクを47自治体と、その他空き家所有者の意識醸成を図る目的で実施する空き家対策セミナー及びハンドブック制作など、数多くの自治体と連携を進めています。こうした連携を通じて成功モデルをつくって横展開を促進し、最終的に全国1,700自治体まで連携を広げていきたいと思っています。大規模な取り組みになるため、企業同士の協業や各自治体や関連団体との密な連携によって実現していきたいと考えています。

――LIFULLは、事業を通じて社会課題解決に取り組む企業グループであることを明示しています。岡林さんは、事業を通してどんな社会課題を解決していきたいのですか?

一番強く解決したいと思っているのは、やはり空き家の社会課題です。空き家は放置すると治安悪化などのデメリットがありますが、うまく活用することで地方創生に繋げられます。例えば、ある地域では移住検討者が増えているのですが、移住検討者がみたい家がない結果となり、他の地域に行ってしまうようなケースを自治体から聞く機会が増えてきました。ここで空き家が活用できれば、移住人口を増やすことにも繋がります。地方創生のボトルネックになっている住まいの課題を解決することで、持続可能な地域づくりの仕組み化を加速させられると考えています。

――岡林さんの「しなきゃ、なんてない。」は?

自分の住まいは一つだけ、なんてない。コロナ禍を経て、地方ではより多様な働き方や暮らし方の選択肢が生まれてきました。今後、人口減少が進み、空き家が増え続ける中、「住まいは一つだけ」という概念にとらわれず、空き家の有効活用によって自分らしい暮らしにフォーカスして二つの家を持った二地域居住や、ライフステージの変化に合わせて暮らす地域を選んでもいいと思っています。

事業を通じて社会課題の解決に取り組むことで、様々な地域がさらにチャレンジできる循環をつくりたいです。結果として、LIFULL 地方創生事業も成長していくと考えています。

取材・執筆:石川 歩
撮影:服部 芽生

LIFULL 地方創生事業CEO 岡林 優太
Profile LIFULL 地方創生事業CEO 岡林 優太

高知県庁、東京都庁で地方部及び都市部のまちづくり、東日本大震災の被災地派遣、オリンピック・パラリンピック準備等に関する業務に従事。2020年にLIFULLへ中途入社。現在は持続可能な地域社会の実現に向けて、地域課題解決人材等の採用及び育成、空き家等の有効活用及びマッチング機能の構築、子育て世帯の就労支援などに取り組む。

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