準備万端にしてから踏み出さなきゃ、なんてない。 ―LIFULLのリーダーたち―不動産転職事業CEO國松圭佑

LIFULL HOME'S不動産転職事業CEO 國松 圭佑 LIFULL HOME'S

2024年4月1日、ソーシャルエンタープライズとして事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLは、チーム経営の強化を目的に、新たなCxOおよび事業CEO・責任者就任を発表しました。性別や国籍を問わない多様な顔ぶれで、代表取締役社長の伊東祐司が掲げた「チーム経営」を力強く推進していきます。

シリーズ「LIFULLのリーダーたち」、今回はLIFULL HOME'S不動産転職事業CEOの國松圭佑に話を聞きます。

LIFULL HOME’S不動産転職事業CEO・國松圭佑

社内の新規事業提案制度から生まれた「LIFULL HOME'S不動産転職」。不動産業界に特化した幅広い業種・職種のラインナップで、マッチング精度を重視した転職支援サービスです。CEOの國松圭佑は、何度も事業提案をしては落選するという経験の中で、とある不動産会社の光景を目にしたことから事業化のチャンスを掴みました。今回は、事業化を諦めなかった理由と不動産業界の課題解決にかける思いを聞きます。

不動産業界は本当に人材不足で困っています。LIFULL HOME’S不動産転職で採用のミスマッチをなくして、不動産業界で働きたい人を増やしたいのです。

最終面接で宣言した「未来のLIFULLの中核企業をつくる」

――これまでの國松さんの職歴を教えてください。

複数社転職をしていますが、今の人生に最も影響を及ぼしている経験は人材会社への転職でした。

人材会社では、主にIT企業を担当しました。特に印象に残っているのはCygamesです。数名で始めた事業が、短期間で千人規模の企業に成長しました。多くの人をCygamesに紹介する中で、人材事業のおもしろさを感じたのです。例えば、ゲーム好きの元農家の方がいたのですが、経験が浅いので面接では落ちてしまうんです。でも、ゲームの考察やコミュニケーション能力がすごいのでCygamesに紹介しました。結果として、その方はグループの役員になりました。人材事業は、人の可能性が最大化する過程に寄り添うことができるおもしろい仕事だと感じました。

そして、外部から支えるよりも自社の事業を成長させる人材になりたいと考え、2018年にLIFULLに入社しました。

――なぜLIFULLを選んだのでしょうか。

社是で「利他主義」を掲げている点に惹かれました。当時、「100社100カ国展開」という事業構想を掲げていた点にも魅力を感じました。

実は、最終面接の相手が現社長の伊東(祐司)でした。面接の中でいろいろ話したのですが手応えがなくて、このままだと不採用になると感じたんです(笑)。最後の質問で「どのようにLIFULLに貢献するのか?」と聞かれて、「新規事業を立ち上げて、未来のLIFULLの中核になる企業をつくります」と答えました。この言葉が伊東に届いて、その場で握手をされて入社が決まったんです。

――國松さんは、LIFULLの新規事業提案制度「SWITCH」で事業提案をしました。面接の発言を有言実行したのですね。

はい。言ったからには実現したいと思い、SWITCHで新規事業を提案し続けました。最初は、入社して3か月でSWITCHに応募したのです。でも、まったく相手にされず、応募した事業提案の中では最下位でした。その後も3回SWITCHに応募しては落選するという経験をしました。最後に応募したのが2021年です。この事業提案が、現在私が責任者をしている「LIFULL HOME’S不動産転職」の始まりです。

LIFULL HOME’S不動産転職事業CEO・國松圭佑

営業先で、不動産業界の課題を目の当たりにしてきた

――LIFULL HOME’S不動産転職の事業案は、どのように生まれたのでしょうか。

LIFULL入社後は、LIFULL HOME’Sの不動産流通領域の営業職に就いていました。LIFULL HOME’Sの流通事業部の営業をしながら、SWITCHで提案する事業を考える日々でした。しかし、SWITCHは50以上の事業提案のうち一つ事業化するかどうかという狭き門です。「新規事業をつくるのは甘くない」と諦めていた時期がありました。

一方で、LIFULL HOME’S流通事業部の営業はうまくいきはじめていて、年間トップセールス賞も受賞しました。そんな中、日々訪問する不動産会社で、採用担当者が「入社してもすぐに辞めてしまう」と悩んでいる姿を見てきました。不動産業界の採用活動には課題が多いことに気づいたのです。これが事業案のヒントになり、不動産業界で起きている採用の課題解決事業をSWITCHで提案し、入賞しました。そこから不動産領域に特化した採用支援サービス「JOBRIDGE」を立ち上げ、この2024年5月にLIFULL HOME’S不動産転職にサービス名を変更します。

“頑張れる人”に適した環境を提供したい

――國松さんが、これからの5年間で取り組みたいことを教えてください。

まずは売上を伸ばすことです。ただ転職したい人を紹介するだけでなく、採用を切り口にして採用代行や労務環境の改善提案など、不動産会社の労務関係に踏み込んでいくことを考えています。足元では、宅地建物取引士(以下宅建)取得支援と就業サポートをワンストップで行うサービスを始めています。2023年の宅建の受験者は23万3,300人でした。宅建を仕事にどう活かすのか、副業したい人にはどんな選択肢があるのかなどLIFULL HOME’S不動産転職が、宅建取得者と不動産会社のハブになっていきたいと思っています。

LIFULL HOME’S不動産転職事業CEO・國松圭佑

創業以来、LIFULL HOME’Sは不動産業界と向き合ってきました。LIFULL HOME’Sに加盟している不動産会社は約3万店舗です。そして、不動産業界は人手不足で困っています。店舗を閉鎖する理由に人手不足が起因する事も多いのです。この状況で、LIFULL HOME’Sが業界と向き合い構築してきた関係性は大きな資産です。これからは、この資産を採用面からもシナジーを効かせて動いていきます。結果としてサービス規模が大きくなって売上が伸び、LIFULL HOME’S不動産転職が利益面でもグループの中核になっていく。が面接で話した「未来のLIFULLの中核になる企業をつくる」が実現できると嬉しいです。

――LIFULLは、事業を通じて社会課題解決に取り組む企業グループであることを明示しています。國松さんは、事業を通してどんな社会課題を解決していきたいのですか?

仕事を頑張れる人なのに、社会的ハンデがあって苦しんでいる人がいます。そんな人たちに、不動産業界への転職をきっかけにやりたい仕事をしてもらって、しっかり生活できるまで稼げる環境を提供したいと思っています。

例えば、両親が遺した家を売却して生活してきたシングルマザーがいました。「不動産に助けられたから不動産業界で働きたい」と宅建を取ったのですが、シングルマザーなので18時に帰宅する必要があり、土日も働けません。営業職としてはハンデになる条件ですが、話してみるとすごく熱意を持った方でした。この熱意があれば大丈夫だと思い、知り合いの不動産会社の社長に会ってもらったのです。結果として、彼女は大手の不動産会社に正社員として入社し、1年で異例の出世をしました。今は主任として活躍しています。

――頑張りたいのに頑張れる状態に届かない人を、LIFULL HOME’S不動産転職が舞台に引き上げるのですね。

その人の本質を見て、柔軟に働ける環境をマッチングできるといいと思っています。そして、頑張った人はしっかりと対価を得るべきです。LIFULL HOME’S不動産転職の責任者は、転職希望者一人ひとりに寄り添う社会貢献度の高い仕事だと感じています。

――最後にお聞きします。國松さんの「しなきゃ、なんてない。」は?

「準備万端にしてから踏み出さなきゃ、なんてない。」実は、JOBRIDGEの事業化にあたって「家族もいるのに売上がなかったらどうしよう」とすごく悩みました。当時は売上も少なくて、数年後に数億円規模まで成長する事業計画もありませんでした。挑戦したら新たな成長があるかもしれないけれど、リスクを恐れて現状維持でいいと考えたこともあります。でも、LIFULLには新しく挑戦する人を応援するカルチャーがありますし、周りの仲間も挑戦を認めてくれました。「小さな一歩から踏み出してしまえばいいんだ」と事業化した時の思いは、今でも忘れてません。LIFULL HOME’S不動産転職で職探しをする方に対しても、「小さな一歩から踏み出そう」というマインドで話すようにしています。

熱意とやり抜く覚悟があれば、何とかなる。

取材・執筆:石川 歩
撮影:服部 芽生

LIFULL HOME’S不動産転職事業CEO・國松圭佑
Profile LIFULL HOME'S不動産転職事業CEO 國松 圭佑

出版社、人材業界などを経験後、2017年にLIFULLへ中途入社。LIFULL HOME'Sの広告営業を経験。2022年には年間トップセールス受賞。営業をしていた時の実体験から得た課題解決として、不動産領域特化採用支援サービスを社内新規事業コンテストSWITCHに発案して入賞を果たし、現在はLIFULL HOME'S不動産転職事業 CEO として従事。

不動産転職事業 JOBRIDGE HP: https://jobridge.lifull.net/
不動産転職事業 JOBRIDGE 公式X:https://twitter.com/LH_JOBRIDGE

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