育児は、ワンオペが当たり前じゃない。在宅で働く漫画家が描く『おもち日和』から気づいた、パパ目線の育児と家族とは
日常の中で何気なく思ってしまう「できない」や「しなきゃ」を、映画・本・音楽などを通して見つめ直す。漫画家で子育て中のフリーランスママのカワグチマサミさんが、漫画家であり2児の父である吉本ユータヌキさんの漫画『おもち日和』を紹介。等身大で描く現代のパパ像から気づく、家族と育児について解説いただく。
※画像提供:株式会社集英社
©吉本ユータヌキ/SHUEISHA
『おもち日和』のあらすじ
滋賀県在住の漫画家・吉本ユータヌキさんが、子どもの成長日記として描き始めた4コマ漫画。フリーランスで働くパパが娘の育児と家族との触れ合いを通じて、男親としてふと感じる“家族への愛”をボソッとつぶやくところに哀愁が漂う。
焼けた?
引用:『おもち日和』第1巻
家族思いのパパに共感
漫画はユータヌキさんの独白がメインになっていて、育児と仕事に全力で頑張るパパのほっこりする家族エピソードが満載です。親となった喜びをかみしめながら、育児を楽しむユータヌキさんですが、たくさん弱音も吐いています。「知らなければいけないことがたくさんある」と、良きパパ、最善の親になるべく、奮闘している姿に「めちゃくちゃいいパパだな!」って。「あ~、パパってこういう時、こんなこと考えているのか」「家族のことを守るために、こんな気持ちでいてくれるんだ」と、パパの思いに共感する場面がたくさん描かれています。
育児はパパ・ママどちらかがやるものじゃない
ユータヌキさんは奥さんのこと、お子さんのことを気遣える、とても優しいパパ。でも、これは“フリーランスあるある”なのですが、在宅で仕事と育児が両立できてしまうから、家事を人一倍頑張って、自分の本音を言わずに我慢しているパパさんママさんが多いと聞きます。「育児は女性にばかり負担がかかる」「パパは育児に参加してくれない」とよくいわれますが、それは家族ごとに働き方や環境が違うので、一概には言えないのではないでしょうか。育児の大変さに男性だから、女性だからという性別の違いはないと思います。パパだって、ママだって一生懸命。
©吉本ユータヌキ/SHUEISHA
エピソードの一つに、ユータヌキさんは奥さんと子どもを無理やり起こすことなく、自分の朝ごはんを食べようとトーストを焼いています。トーストができて食べようとしたところに、奥さんが子どもと一緒にリビングにやってきて「焼けた?」と一言。これを読んだ私は、「毎日ママが朝ごはんを用意しなくてもいいよね」「旦那さんができることは自分でやればいいよね」って感じました。ママが完璧に育児・家事をこなさなきゃいけないわけじゃないですからね。
完璧な人間じゃないからこそ、歩み寄りを
Twitterなどを通じて、多くの家庭で育児を理由にケンカしたり衝突したりしている夫婦が多い事実を知りました。夫婦ですから、時にぶつかることはしかたがないことだと思います。でも、「パートナーの気持ちがわからない」と投げやりにならず、本音を言い合える関係性をお互いが寄り添って築いていくことが大切じゃないでしょうか。育児は、一人だけじゃなく夫婦二人でするもの。子どもが生まれたその瞬間から、完璧なパパ・ママになれるわけじゃない。お互い、育児を通じて子どものことを知っていくし、学んでいくんだと思います。
♪「おもち日和」著者の吉本ユータヌキさんの記事はこちら♪
文・挿入イラスト:カワグチマサミ
みんなが読んでいる記事
-
2024/10/2465歳で新しい仕事を始めるのは遅すぎる、なんてない。 ―司法試験にその年の最年長で合格した吉村哲夫さんのセカンドキャリアにかける思い―吉村哲夫
75歳の弁護士吉村哲夫さんは、60歳まで公務員だった。九州大学を卒業して福岡市の職員となり、順調に出世して福岡市東区長にまで上りつめるが、その頃、定年後の人生も気になり始めていた。やがて吉村さんは「定年退職したら、今までとは違う分野で、一生働き続けよう」と考え、弁護士になることを決意する。そして65歳で司法試験に合格。当時、最高齢合格者として話題になった。その経歴は順風満帆にも見えるが、実際はどうだったのか、話を伺った。
-
2022/09/16白髪は染めなきゃ、なんてない。近藤 サト
ナレーター・フリーアナウンサーとして活躍する近藤サトさん。2018年、20代から続けてきた白髪染めをやめ、グレイヘアで地上波テレビに颯爽と登場した。今ではすっかり定着した近藤さんのグレイヘアだが、当時、見た目の急激な変化は社会的にインパクトが大きく、賛否両論を巻き起こした。ご自身もとらわれていた“白髪は染めるもの”という固定観念やフジテレビ時代に巷で言われた“女子アナ30歳定年説”など、年齢による呪縛からどのように自由になれたのか、伺った。この記事は「もっと自由に年齢をとらえよう」というテーマで、年齢にとらわれずに自分らしく挑戦されている3組の方々へのインタビュー企画です。他にも、YouTubeで人気の柴崎春通さん、Camper-hiroさんの年齢の捉え方や自分らしく生きるためのヒントになる記事も公開しています。
-
2023/02/27アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)とは?【前編】日常にある事例、具体的な対処法について解説!
私たちは何かを見たり、聞いたり、感じたりした時に実際にどうかは別として、「無意識に“こうだ”と思い込むこと」があります。これを「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」と呼びます。アンコンシャスバイアスによるネガティブな影響に対処するための第一歩は、「意識し、理解する」ことです。
-
2022/02/03性別を決めなきゃ、なんてない。聖秋流(せしる)
人気ジェンダーレスクリエイター。TwitterやTikTokでジェンダーレスについて発信し、現在SNS総合フォロワー95万人超え。昔から女友達が多く、中学時代に自分の性別へ違和感を持ち始めた。高校時代にはコンプレックス解消のためにメイクを研究しながら、自分や自分と同じ悩みを抱える人たちのためにSNSで発信を開始した。今では誰にでも堂々と自分らしさを表現でき、生きやすくなったと話す聖秋流さん。ジェンダーレスクリエイターになるまでのストーリーと自分らしく生きる秘訣(ひけつ)を伺った。
-
2023/09/12ルッキズムとは?【前編】SNS世代が「やめたい」と悩む外見至上主義と容姿を巡る問題
視覚は知覚全体の83%といわれていることからもわかる通り、私たちの日常生活は視覚情報に大きな影響を受けており、時にルッキズムと呼ばれる、人を外見だけで判断する状況を生み出します。この記事では、ルッキズムについて解説します。
「しなきゃ、なんてない。」をコンセプトに、読んだらちょっと元気になる多様な人の自分らしく生きるヒントやとらわれがちな既成概念にひもづく社会課題ワードなどを発信しています。
その他のカテゴリ
-
「結婚しなきゃ」「都会に住まなきゃ」などの既成概念にとらわれず、「しなきゃ、なんてない。」の発想で自分らしく生きる人々のストーリー。
-
LIFULLが社会課題解決のためにどのような仕組みを創り、取り組んでいるのか。LIFULL社員が語る「しなきゃ、なんてない。」