ソフトウェアエンジニアリングは複雑だ、なんてない。
ソーシャルエンタープライズとして事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLには、業界の常識を変えたい、世の中に新しい仕組みをつくりたい、という高い志をもつ同志たちが集まっています。
LIFULLの描く未来の実現や個人が解決したい社会課題への取り組みなど、多様なLIFULLメンバーのこれまでの「挑戦」と「これから実現したい未来」を聞く、シリーズ「LIFULL革進のリーダー」。今回はテクノロジー本部 シニアプリンシパルエンジニアとして活躍する相原 魁に話を聞きます。
連載 LIFULL革進のリーダー
- 第1回LIFULL HOME'S事業本部 営業 マネジャー 坪井 洋介
- 第2回LIFULL HOME'S事業本部 プロダクトエンジニアリング部長 河津 隆洋
- 第3回LIFULL HOME'S事業本部 事業統括部長 鈴木 章浩
- 第4回LIFULL HOME'S事業本部 マーケティング マネジャー 遠藤 夏海
- 第5回クリエイティブ本部 デザインマネジャー/アートディレクター田中 忍
- 第6回LIFULL HOME'S事業本部 営業 マネジャー 加藤 直
- 第7回テクノロジー本部 シニアプリンシパルエンジニア 相原 魁
- 第8回LIFULL HOME'S事業本部 エンジニア 高詰 ありさ
- 第9回LIFULL HOME'S事業本部 サービス企画 マネジャー 笹本 昂
新卒で入社して4年目にLIFULLの屋台骨となるプラットフォーム「KEEL」を独自開発。事業基盤ユニットKEELグループの相原は、高い技術力はもちろんのこと、成果を出す実行力と未来を見据えたロジカルなキャリア戦略を兼ね備えたソフトウェアエンジニアです。社内のエンジニアで知らぬ人はいないほど多くの実績を重ねてきましたが、その情熱はすべて「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージに通じています。
社会を良くすることは自分のため。自分の能力をどう生かすかを真剣に考えるソフトウェアエンジニアにとってLIFULLは最適な職場です。また、そういう人たちが集まっているから純度の高くブレない社会課題解決ができるんだと思います。
「作った方が早いから」。最初に認めてもらうまでは力技だった
――業務の内容について教えてください。
組織の名前にもなっている「KEEL」(キール)は、LIFULLが目指すあらゆるLIFEを、FULLな社会をより早く実現するために開発した巨大なKubernetesベースのプラットフォームです。これを通してLIFULLの生産性を向上させることが私のミッションです。
――相原さんはKEELを入社4年目で開発したとのことですが、経緯を教えてください。
大学時代から情報系の研究室で基盤よりの研究をしていたこともあり、入社時からインフラ側の部署に配属され今に至っています。入社当時にやっていたのがLIFULL HOME'SのインフラをオンプレミスからAWSに移行するプロジェクトでしたが、同時に開発効率性を高めるため組織の管理体制の変更も行われました。この判断自体は決して間違いではないのですが、作業を進めていくにつれ非効率的な事象が出てきていました。これは、将来会社の成長を妨げるようになるかもと感じ、そこから3年くらいかけて必要なクオリティを備えたプラットフォームをプライベートで作り続けました。
――なぜプライベートで作っていたのですか?
入社したばかりで何の実績もない私が「できます」と言っても説得力がなく、実際に作ったものを見せたほうが早いなと思ったからです。予想していた通り、問題が出てきていたので新しくプラットフォームを作り替えようという意思決定がされました。このタイミングだと感じ、3年かけて構築したプラットフォームを当時の上司、現CTOの長沢に直接プレゼンしました。
――CTOや周りの反応はいかがでしたか?
社内でのポジションづくりは入社した時から心がけていたので、割とスムーズに受け入れてもらえました。とはいえ、プラットフォームだけあってもダメで、そこにアプリケーションが載って始めて運用できるようになります。しかし、アプリケーション開発チームは通常業務があるため、アプリケーションを載せ替えを依頼すると時間がかかるのは明らかでした。
そこで、LIFULLの主要な4つのアプリケーションを新プラットフォームに載せる工程も私が自分で行ない、安定的な運用ができることを証明して見せたんです。一般的には一人でやるような仕事の量ではないはずで、この3か月が入社して一番チャレンジングな期間でしたが、その結果、トップダウンで正式に採用され、とんとん拍子に話が進んで行きました。
みんなが同じビジョンを共有しているのが最大の魅力
――今はどんな業務を行なっていますか?
最近は、よりプラットフォームのスコープを広げて、未来を考えること以外のあらゆる業務をAIでこなせるようにすることを目的に生成AIの導入を積極的に行なっています。例えば、こんな機能が欲しいなと思ったらインフラやセキュリティなどの心配が不要で、誰でも簡単に機能を実装できるようなプラットフォームの構築を実現したいですね。
――KEELグループは何人の組織ですか?
極めて専門性が高い少数精鋭で能力密度の高いチームを目指し、現在は、私を含むスペシャリスト2名と高い技術力を持つテクニカルマネジャーが1名の計3人で取り組んでいます。僕以外の2人は現在北海道在住なので、毎日ビデオチャットでコミュニケーションを取っています。チームとしての成果を第一優先に、お互い専門家同士なので時には厳しいディスカッションをしながら進めています。
――相原さんが会社に求めることはありますか?
LIFULLのビジョンに共感して入社しているメンバーばかりなので、会社の目指す未来に向けた活動であれば全員が応援してくれるんですよ。とにかくチームとして同じ目標に向かっていきたくて。それは僕が会社に求めていることでもあり、LIFULLで長く働き続けている秘訣なのだと思います。
自分の能力は、社会を良くするために使いたい
――LIFULLにエンジニアとして参加する魅力はどんな点にあると思いますか。
「キャリフル」という業務時間の10%を他部署で働ける社内兼業制度があり、僕らはKEELグループとしてそれに似た独自の留学プログラムを持っています。僕らのチームは少数精鋭ですが、興味を持ってくれる人、学習したいと思う人を拒む必要はないので、定期的に希望者を受け入れています。
――留学では、どんなことをするのでしょう。
通常の社内兼業制度での受入れだと、その部署の業務の一部を一緒にやるイメージなのですが、僕らのチームは専門性が必要となることが多いので通常業務に参加してもらうことが難しい。なので、事前に参加者の希望をヒアリングしてオーダーメイドでカリキュラムを作っています。例えば、「大量にアクセスがあっても大丈夫なアプリケーションの作り方を学びたい」「社内の画像サーバーを刷新したい」という人もいました。学びたい内容に合わせて1週間~1か月と留学期間も柔軟に対応しています。期間中はその人の成長につながることだけを考えているので、密度の高い時間になると思いますよ。
――専門性の高い3人の中に入るだけで、エンジニアとしては刺激になりそうですね。
別の取り組みとして、社内でエンジニアのための「キャリアクリニック」を開催し、エンジニアのキャリア形成と成長につながるようなアドバイスをしています。ここでは単に技術力に関する相談というよりも、技術力を活用して自分がやりたいことを実現するためのアドバイスを意識しています。
自分は学生時代、プログラミングに出合ってから目的意識が明確になって人生が変わりました。その時の経験を活かし、「キャリアクリニック」では、相談者に人生を通してやりたいことを最初にヒアリングしています。
――「あらゆるLIFEを、FULLに。」というLIFULLのビジョンについて、相原さんご自身はどのように考えていますか?
就職活動中に「君たちソフトウェアエンジニアはすごい能力を持っている。それを時間を持て余した人の余暇を埋めるために使うのか、困っている人を助けるために使うのか、どっちがいいんだ?」って言われたことがあり、その言葉がすごく心に残っています。想いをもって作っているKEELというプラットフォームの上で社会のためにならないサービスがたくさん動いていても、僕はあまり幸福ではないなと思っています。その点、LIFULLは世の中で流行っているから、売上が増えるからという理由ではなく、本当にあらゆるLIFEをFULLにするプロジェクトや事業しかやらない。そのスタンスが徹底しているので大きな信頼があります。
――最後に、相原さんにとって「しなきゃ、なんてない。」を聞かせてください。
「ソフトウェアエンジニアリングは複雑だ、なんてない。」です。ソフトウェアエンジニアリングは複雑で難解に思われがちですが、本来はそうあるべきでないと思っています。プラットフォームエンジニアリングへの取り組みや、留学生を受け入れたり、キャリアクリニックをしたりと、私が取り組んでいる業務は全て、「あらゆるLIFEを、FULLに。」するための社内活動をより挑戦しやすくし、成果を生むことに直結しています。すごくシンプルなんです。
2015年新卒で入社しインフラ関係の部署に配属される。2019年に3年かけて独自開発してきた巨大プラットフォーム「KEEL」が正式採用され、以降、事業基盤ユニットKEELグループにてプラットフォームをつくり続けている。LIFULLには珍しいスペシャリストとして圧倒的な存在感を放ち、エンジニアのキャリア相談にも乗っている。
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