ジェンダーレスファッションとは?ジェンダーフリーとの違い・特徴・取り入れ方をわかりやすく解説

「自分らしい服を着たいけれど、性別の枠にとらわれている気がする」といったモヤモヤを感じたことはありませんか。ジェンダーレスファッションは、男性らしさ・女性らしさといった固定観念から自由になり、自分の感覚で服を選ぶスタイルです。近年はユニセックスブランドの増加やオーバーサイズの流行も後押しし、年齢・性別を問わず多くの人に支持されています。

この記事では、ジェンダーレスファッションの基本的な考え方からジェンダーフリーとの違い、特徴、具体的な取り入れ方までをわかりやすく解説します。「興味はあるけど何から始めればいいかわからない」という方にも役立つ内容です。

ジェンダーレスファッションとは

まずはジェンダーレスファッションの基本を押さえましょう。定義や歴史を知ることで、なぜ今このスタイルが広がっているのかが見えてきます。

ジェンダーレスファッションの定義と歴史

ジェンダーレスファッションとは、男性用・女性用という従来のカテゴリーにとらわれず、着たい人が着たい服を選ぶファッションの考え方です。「ジェンダーレス」は「性差をなくす」という意味で、あくまでファッションにおける性別の境界線をゆるやかにしようという発想が根底にあります。

歴史をさかのぼると、1960年代にイヴ・サンローランが女性向けにタキシードスーツを発表したことが一つの転機とされています。その後、1990年代のグランジファッションではルーズなシルエットが男女問わず支持され、2010年代以降はSNSの普及とともに「自分らしさ」を重視する価値観が広がりました。こうした流れが、現在のジェンダーレスファッションの土台を作っています。

ジェンダーフリーとの違い

ジェンダーレスファッションとジェンダーフリーは、似ているようで範囲が異なります。ジェンダーレスは主にファッションや表現の分野に焦点を当てた考え方であるのに対し、ジェンダーフリーはメイク・ヘアスタイル・ネイル・生き方全般を含むより広い概念を指す言葉です。

比較項目 ジェンダーレスファッション ジェンダーフリー
対象範囲 衣服・着こなしが中心 メイク・髪型・価値観・ライフスタイル全般
目的 服装などにおける性差の境界をゆるやかにする 社会的な性別規範からの解放
始めやすさ アイテム一つから試せる 意識や行動全体の見直しが関わる

このように整理すると、ジェンダーレスファッションは「まず服から自由になってみよう」という入り口として取り入れやすいスタイルだといえます。どちらが優れているという話ではなく、自分に合った距離感で関わればよいでしょう。

ジェンダーレスファッションやメイクなど、新しいスタイルに挑戦するとき、「周りからどう見られるか」や「自分に似合うか」と不安を感じる方もいるかもしれません。

そんな方に向けて、実際に既成概念にとらわれないスタイルを体現してきた方のストーリーをご紹介します。約10年前からメンズメイクを取り入れ、「ジェンダーレス男子」の先駆けとして活躍してきた、こんどうようぢさんのインタビュー記事です。

こんどうさんは、自身の容姿へのコンプレックスを克服するためにメイクを始めましたが、一時は世間から期待される「ジェンダーレス男子らしさ(レディースの服を着る、派手なメイクをするなど)」に縛られ、無理をして自分を作っていた葛藤もあったそうです。しかし、そうした経験を経て、現在では「周りとずれているからという理由で諦めるのではなく、好きなものを好きと言えることが“自分らしさ”」という自然体な考え方にたどり着いています。

メイクを「性別に関係なく強くしてくれる“よろい”のようなもの」と表現するこんどうさんの歩みは、ファッションやメイクを通して自分らしい表現を探す方にとって、大きな励みになるはずです。

ジェンダーレスな自己表現や「自分らしさ」の貫き方について、さらに深く知りたい方は、ぜひこちらのインタビュー記事もご覧ください。

日本と海外での広がりと社会的背景

日本では2015年ごろからSNSを中心にジェンダーレスファッションへの関心が高まり、韓国発のアーダーエラーや国内ブランドのユニセックスラインが支持を集めるようになりました。テレビやYouTubeで活躍するジェンダーレスモデルの存在も、認知の広がりに一役買っています。

海外ではさらに早く、グッチやバレンシアガといったハイブランドがコレクションで性別を区別しないラインを発表してきました。アメリカやヨーロッパでは、多様なジェンダーアイデンティティーへの社会的理解が進む中で、ファッション業界もその変化に呼応しています。背景には「自分らしさを大切にしたい」という世界的な価値観の変化があり、一過性のブームではなく、長期的な流れとして定着しつつあるといえるでしょう。

ジェンダーレスファッションの特徴

ジェンダーレスファッションには、シルエット・色・素材・アクセサリーなど、いくつかの共通する特徴があります。それぞれの傾向を見ていきましょう。

シルエットとサイズ感の特徴

ジェンダーレスファッションで最も特徴的なのは、体のラインを強調しないゆったりとしたシルエットです。オーバーサイズのトップスやドロップショルダー、ワイドパンツなどが代表的なアイテムで、体型を問わず着こなしやすいのが大きな魅力となっています。

ビッグシルエットはリラックスした印象を与えるだけでなく、身体的な性差を自然にぼかす効果があります。近年の「ゆるクラシック」と呼ばれるトレンドも、クラシカルなデザインにゆとりあるサイズ感を掛け合わせたスタイルで、ジェンダーレスな感覚と相性が良いとされています。サイズ選びに迷ったときは、肩が少し落ちるくらいのドロップショルダーを目安にするとバランスが取りやすいでしょう。

色使いと素材選びの傾向

色使いの面では、ベージュ・グレー・ブラック・ホワイトといったニュートラルカラーが基本になります。オールブラックやワントーンコーデなど、色数をしぼったスタイリングはジェンダーレスファッションの定番であり、簡単に洗練された印象を作れる手法です。

素材に関しては、シアー素材(透け感のある薄手の生地)を取り入れる動きも見られます。コットンやリネンなど性別を問わず馴染みやすい天然素材も根強い人気です。最近ではメタリックファッションのように光沢感のある素材も注目されており、素材の選び方次第でモード系にもカジュアルにも振れるのがジェンダーレスファッションの面白さといえます。

  • ニュートラルカラーを軸にした2〜3色コーデ
  • くすみ色やパステルカラーで柔らかさを演出
  • シアー素材やメタリック素材で個性をプラス
  • コットン・リネンなど天然素材で性別を問わない質感に

ヘアメイクやアクセサリーの役割

ジェンダーレスファッションを完成させるうえで、ヘアメイクやアクセサリーは重要な要素です。シルバーアクセサリーやシンプルなチェーンネックレスは男女ともに取り入れやすく、コーディネートの仕上げとして活躍します

ヘアスタイルもジェンダーの枠を超える表現のひとつ。短髪の女性やロングヘアの男性は、以前に比べてずっと自然に受け入れられるようになりました。メイクについても、ベースメイクやアイブロウだけなど、「全部やるか、全くやらないか」ではない柔軟なアプローチが広がっています。自分の心地よいバランスを探ること自体が、ジェンダーレスな感覚の実践ともいえるでしょう。

注目ブランドと市場の動向

ジェンダーレスファッションの広がりに伴い、ユニセックスラインを展開するブランドが増えています。韓国発のアーダーエラーやフランスのアミパリスは、性別を問わないデザインで世界的に人気を集めているブランドの代表格です。

ブランド名 特徴 価格帯の目安
アーダーエラー(Ader Error) 遊び心あるオーバーサイズデザイン 中〜高価格帯
アミパリス(AMI Paris) パリジャンカジュアルのユニセックスライン 中〜高価格帯
ユニクロU・GU ベーシックなユニセックスアイテムが豊富 低価格帯

市場全体を見ると、ファストファッションからハイブランドまでジェンダーレスの流れは加速しています。Sサイズ展開の充実や、従来の「メンズ」「レディース」をなくしたフロア構成を採用する店舗も出始めており、買い物の体験そのものが変わりつつあります。

ユニフォームや職場導入でのメリット

ファッションの領域にとどまらず、ジェンダーレスの発想は職場のユニフォームにも取り入れられ始めています。性別によってデザインが固定されないユニフォームは、従業員一人ひとりの快適さと公平性を両立できるという点で、企業のダイバーシティ推進にも寄与します

たとえば、航空会社でスカートとパンツを性別に関係なく選べるようにした事例や、飲食チェーンが全スタッフ共通のシンプルなエプロンスタイルを導入したケースが報告されています。職場でジェンダーレスな選択肢を用意することは、多様な人材が心地よく働ける環境づくりの第一歩になりえます。導入を検討する際は、現場の声を聞きながら段階的に進めるのが望ましいでしょう。

ジェンダーレスファッションの取り入れ方

ここからは、ジェンダーレスファッションを実際に日常で取り入れるための具体的な方法を紹介します。初心者の方も無理なく始められるステップを中心にまとめました。

初心者向けの基本アイテムと選び方

最初の一着としておすすめなのは、ニュートラルカラーのオーバーサイズTシャツやワイドパンツなど、シンプルで装飾の少ないベーシックアイテムです。特別なセンスがなくても、こうしたアイテムを選ぶだけでジェンダーレスな雰囲気に近づけます。

ポイントは「ユニセックス」と表記されている商品を積極的にチェックすること。サイズ展開が幅広いものを選ぶと、自分の体に合ったフィット感を見つけやすくなります。まずはトップスかボトムスのどちらか一つを取り入れて、手持ちの服と合わせてみるところから始めてみてください。

  • オーバーサイズの無地Tシャツやスウェット
  • ワイドパンツやテーパードパンツ
  • ドロップショルダーのシャツやジャケット
  • 性別を問わないデザインのスニーカー

体型別のサイズ調整と着こなし術

ジェンダーレスファッションでは「大きめを着ればいい」と思われがちですが、ただ大きいだけではだらしなく見えてしまうことも。大切なのは、自分の体型に合わせて「どこにゆとりを持たせ、どこで引き締めるか」を意識することです。

たとえば上半身にボリュームがある方は、トップスをジャストサイズ寄りにしてボトムスをワイドにするとバランスが取れます。逆に下半身にボリュームを感じる方は、オーバーサイズのトップスでAラインのシルエットを作ると全体がすっきりした印象に。身長が低めの方は、丈が長すぎないアイテムを選び、足元の見える分量を確保するのがコツです。「バストフラット」と呼ばれるインナーを使って胸元のラインをなだらかにする方法もあり、好みに応じて活用できます。

場面別コーデ例

ジェンダーレスファッションは、場面に合わせた着こなしが十分に可能です。仕事・カジュアル・フォーマルそれぞれのシーンに応じてアイテムの素材やシルエットを調整するのがポイントになります。

場面 おすすめコーデ例 意識したいこと
仕事(オフィス) メンズジャケット+テーパードパンツ+ローファー クリーンユーティリティを意識し、清潔感を保つ
カジュアル(休日) オーバーサイズスウェット+ワイドパンツ+厚底スニーカー ワントーンコーデでまとめると簡単におしゃれに
フォーマル(式典) セットアップスーツ+ネクタイまたはスカーフ+革靴 性別によらないセットアップで統一感を出す

仕事の場ではジャケットを取り入れることでカチッとした印象を維持しつつ、インナーをカットソーにするなど抜け感を出すと今どきの空気感が出ます。フォーマルではネクタイコーデも性別を問わず映えるスタイルのひとつです。

買い物とブランド選びのチェックポイント

ジェンダーレスファッションのアイテムを選ぶ際は、サイズ展開の幅広さ・素材の質感・デザインのシンプルさの三つをチェックすると失敗が少なくなります。ユニセックス表記のあるブランドは、肩幅や身幅が男女どちらの体型にも対応しやすい設計になっていることが多いため、初めての方にも安心です。

ECサイトで購入する場合は、モデルの着用写真だけでなくサイズ表の実寸を確認しましょう。身長や体重が近いレビュアーの口コミも参考になります。実店舗であれば、メンズ・レディースの区切りなく商品を見て回ることで、新たな発見が生まれることもあるはずです。試着して鏡の前で「自分が心地いいかどうか」を判断基準にするのが一番確実でしょう。

サステナブルな選び方とリメイクのアイデア

ジェンダーレスファッションは、サステナブルな消費とも相性が良い側面を持っています。性別を問わないデザインは家族やパートナーとの共有がしやすく、一着のアイテムをより長く、より多くの人が着回せるため、衣服の廃棄削減にもつながります

リメイクの観点では、着なくなったメンズシャツをオーバーサイズのワンピース風に着こなしたり、古着のスラックスをワイドパンツとして活用したりと、既存の服をジェンダーレスなスタイルに生まれ変わらせることもできます。新しく買うだけでなく、手持ちの服の可能性を再発見することも、ジェンダーレスファッションを楽しむ醍醐味のひとつです。

多様な働き方から見えるジェンダーレスな価値観のヒント

ジェンダーレスファッションの広がりは、単なるトレンドではなく「自分らしく生きる」という価値観の変化とも深く結びついています。実際に、働き方や暮らし方の選択を見直す中で、性別による役割や見た目の固定観念から自由になっていく人も増えています。

たとえば、性別の固定観念に縛られない表現活動を行っているドラァグクイーン、Andromeda(アンドロメダ)さんは、幼い頃から「どうしてお母さんはズボンを履けるのに、私はスカートを履けないの?」と性別にまつわる服装の制限に違和感を持っていたそうです。ある時、軽い気持ちでワンピースを着てみたことで性別のラベルを超えた表現の喜びに目覚めましたが、いざ「なんでもOK」になると、今度は選択肢の多さから自分の本当の好みが分からなくなってしまったといいます。

そんなAndromedaさんが自分らしい表現として辿り着いたのが、意外にも「着物」でした。着付け次第で自分のサイズに合わせて着こなせる実用性と自由度があり、長く着続けることで体に馴染んでいくサステナブルな魅力に惹かれたそうです。さらに、着物好きのおばあさんや古着屋の店主といった着物コミュニティの人々が、性別にとらわれず温かく迎え入れてくれたことも大きな後押しとなりました。

ファストファッションとは異なるテンポを持つ「着物」を取り入れ、日常的に自分らしいスタイルを楽しむAndromedaさんの歩みは、ファッションにおける自由な自己表現を模索する方にとって、新しい視点を与えてくれるはずです。

既成概念にとらわれない服選びや自分らしさのヒントを知りたい方は、ぜひこちらのインタビュー記事もご覧ください。

よくある質問

Q. ジェンダーレスファッションとユニセックスファッションの違いは何ですか?

A. ユニセックスは「男女兼用」として設計された衣服を指すことが多く、主にサイズやデザインの共通性に焦点があります。一方、ジェンダーレスファッションはより広い概念で、既存の男性服・女性服を自由に組み合わせるスタイルや、性別の枠組み自体を超える着こなし全般を含みます。ユニセックスはジェンダーレスファッションの一部と捉えることもできるでしょう。

Q. ジェンダーレスファッションは特定の年代やセクシュアリティーの人だけのものですか?

A. いいえ、年齢・性別・セクシュアリティーに関係なく、どなたでも楽しめるスタイルです。10代から60代まで幅広い世代に取り入れている方がいます。「自分が着たい服を自分で選ぶ」というシンプルな考え方がベースなので、特定の属性に限定されるものではありません。

Q. 手持ちの服でジェンダーレスファッションを始められますか?

A. 始められます。たとえばシンプルな無地のTシャツやパーカー、ストレートシルエットのパンツなど、ベーシックなアイテムはすでにジェンダーレスな要素を持っています。新しく購入する前に、クローゼットの中から色味やシルエットがニュートラルなものを探してみると、意外と使えるアイテムが見つかることが多いです。

まとめ

ジェンダーレスファッションは、男性らしさや女性らしさの固定観念にとらわれず、自分が心地よいと感じる服を自由に選ぶスタイルです。ジェンダーフリーがライフスタイル全体に関わる広い概念であるのに対し、ジェンダーレスファッションは主に服装に焦点を絞っているため、誰でもアイテムひとつから気軽に始められます。

オーバーサイズやニュートラルカラーを軸にしたシンプルな着こなしが基本であり、仕事からカジュアル、フォーマルまで場面を問わず応用できるのも大きな魅力です。職場や学校での導入事例も増えており、社会全体で選択肢が広がっています。大切なのは唯一の正解を求めることではなく、自分らしい心地よさを探していくこと。まずは手持ちのクローゼットを見直すところから、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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LIFULL STORIES編集部

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