自立した女性は何でも完璧じゃなきゃ、なんてない。【第5回】
バービーさんの結婚観の本音に迫るため、とあるメディアで記事にされていた「夫婦別姓制度と自身の結婚」について伺ったところ、「バービーさんは夫婦別姓が実現するまで結婚しない」という、本人の意図とは違う切り取られ方をされ、驚いたという。そこは我慢せず、物言いがしたかったという。疑問に思ったら口に出して伝えたい生来の気質がそう思わせるようだ。本音を語るときも、辛辣さは出さずにカラッと明るい。そういう面が、「自立した大人の女性」を思わせる。選択的夫婦別姓と結婚の真意について伺った。
テレビやラジオへの出演、YouTube配信、下着のプロデュース、そして地方創生の取り組みと、多方面で活躍するお笑いコンビ「フォーリンラブ」のバービーさん。昨年は雑誌「FRaU」のWeb連載がきっかけで初のエッセイ集『本音の置き場所』を出版。「最も信頼の置ける言葉を持つ芸人」の一人として、その発信力と多動力が注目されている。誰もがふと思うなにげない日々の疑問を独自の視点で切り取り、言語化する彼女の感性はいつごろから形成されたのだろうか。さまざまなテーマをもとに彼女の本音を探っていく全5回のシリーズ。ラストは「結婚観」を語っていただいた。
世間がいう「女の幸せ」に振り回されず、自分が納得する愛され方を求める
「あたかも私が“夫婦別姓を希望している”みたいなタイトルがつけられてSNSに流れてしまったんですが、そういう意図で発言してはいませんし、誤解されやすいと思うのでここで訂正させてもらいますね。私自身、結婚に対する憧れがないので、理由があれば籍を入れるし、理由がないなら籍は入れないというスタンスです。相手の姓になってもいいと思っていて、別姓じゃなければ結婚しないというわけではないんですよ。
例えば、せっかくマイルがたまっているのに事実婚だと家族マイルが使えないなら、『じゃあ、入籍しようか』みたいなノリでもよくて(笑)。本当に理由は何でもいいと思っています。『結婚は、家と家とのつながりが最優先だから』みたいな発想は私の中にはなくて、結婚する2人の間で決めていけばいいと思います。結婚したとしても今の仕事は続けていくつもりなので、私が家庭に入って家業を継がなくてはいけない方と結婚となると……。ちょっと私には荷が重いかな~」
“モテの大衆化”に固執すると、本命には愛されないと思う
恋愛にまつわるコンテンツには、“愛され女子”“モテる秘訣”というコピーが溢れ、“モテることが絶対”のような文脈で語られることが多い。“モテる女性”を目指すことが本当に幸せへの近道なのだろうか。
「私が思うに、モテを目指すと幸せから遠のくイメージがあるんですよね。特別な一人と結ばれたいのに、“モテ”っていう大衆カテゴリーに自分を寄せていってしまうことで、その他大勢に埋もれてしまうんですよね。それに、モテることに固執すると、ただ性的に搾取したい人しか寄ってこなくて、本命には愛されないっていう悪循環に陥る可能性もあります。
モテの大衆化に成功してヒエラルキーのトップになって、お金持ちと結婚できたとしても、その“モテ女”という虚像を生涯キープし続けるって相当大変だろうなと思うんです。もちろん、偽りでもなんでもなく“天性のモテるいい女”はたくさんいます。が、それは無理をしていないから。個性を殺してまで、モテるために努力をすることは、本末転倒な気がしてしまいます。
ハイスペックな男性と結婚したい女性とトロフィーワイフが欲しい男性がうまくかみ合って結婚したならいいですけどね。
モテるために美容やファッションを研究するよりも、自分を偽らずに心から“自分を好きになれる”メイクや服に興味を持ってみることを私はおすすめしたいですね」
ジェンダーを超えて、一人の人間として誇りを持っていた。バービーさんの知性と潔さは、「だから多くの人を惹きつけて、好かれるんだな」と素直に思わせるものだ。弱さやコンプレックスをありのままに受け入れ、自分を偽らない愛し方を体現していけば、おのずと「自分らしく生きること」につながるのではないだろうか。
1984年、北海道生まれ。本名・笹森花菜。東洋大学文学部インド哲学科を卒業。2007年、ハジメとお笑いコンビ「フォーリンラブ」を結成。2019年末にYouTubeチャンネル「バービーちゃんねる」を開設。生理や女性下着、美容といったテーマの動画を配信し、主に同性から支持を得ている。
2020年末には、「FRaU」 webでの連載をまとめた初の著書『本音の置き場所』を上梓。また、ピーチ・ジョンとのピーチ・ジョンとのコラボ下着のプロデュースを担当し、
コラボレーションコレクション第2弾が2021年2月17日に全国発売された。芸人、下着プロデューサー、作家、ラジオパーソナリティーなど幅広いジャンルで活動中。
YouTube Official
https://www.youtube.com/c/barbie0126/featured
みんなが読んでいる記事
-
2024/12/27
失敗=ダメなこと、なんてない。クリエイティブ本部 マーケティング マネジャー 畠山 大樹LIFULLのブランディングの責任者として、TVCMやオウンドメディア、ホームレス・ワールドカップ2024日本代表への協賛などさまざまなプロジェクトに挑戦してきた畠山 大樹に話を聞きます。
-
2019/01/24世間に合わせてクリスマスを祝わなきゃ、なんてない。 1日遅れのクリスマスパーティーを開催秋庭 麻衣2018年12月26日(水)、株式会社LIFULL内 LIFULL Tableにて、1日遅れのクリスマスパーティを開催しました。仕事の都合などでクリスマスを一緒に過ごせなかったご家族を招待し、働くママを応援するLIFULL FaM代表の秋庭麻衣と、タレントの優木まおみさんによるトークセッションを行い、2人が働くママの声を代弁し、子育てをしながら働くことの大変さが語られました。
-
2025/03/25つらくてもここで頑張らなきゃ、なんてない。 ―日本から逃げた「インド屋台系YouTuber」坪和寛久の人生のポジティブ変換術―坪和寛久「インド屋台メシ系YouTuber」坪和寛久さんインタビュー。日本での挫折が転機となり、インドで自らの居場所を見つけた坪和さんのストーリー。ネガティブをポジティブに変える天才、坪和さんの人生のストーリーを伺いました。
-
2022/02/10意見がないなら対話しちゃいけない、なんてない。永井 玲衣日本全国の学校や企業、寺社など幅広い場所で哲学対話の活動を重ねてきた永井玲衣さん。哲学対話はその場ごとにテーマを設けて、複数人で話しながら思考を深めていく活動だ。数え切れないほどの回数を重ねながらも、未だ「対話は怖い」という永井さんだが、ではなぜ活動を続けるのだろうか。哲学対話、そして他者と話すことの怖さと面白さについて話を伺った。
-
特集 2025/04/30【特集:ルッキズム】人は見た目がすべて、なんてない。「ルッキズム」や「痩せなきゃ」という価値観を見つめ直す特集。新生活シーズン、見た目にとらわれず自分らしく生きるための考え方をLIFULL STORIES記事から紹介。
「しなきゃ、なんてない。」をコンセプトに、読んだらちょっと元気になる多様な人の自分らしく生きるヒントやとらわれがちな既成概念にひもづく社会課題ワードなどを発信しています。
その他のカテゴリ
-
LIFULLが社会課題解決のためにどのような仕組みを創り、取り組んでいるのか。LIFULL社員が語る「しなきゃ、なんてない。」
-
個人から世の中まで私たちを縛る既成概念について専門家監修の解説記事、調査結果、コラムやエッセイを掲載。