自立した女性は何でも完璧じゃなきゃ、なんてない。【第2回】

バービー

ここ1~2年、ジェンダー問題をテーマにした取材を受け、「日本のジェンダー観は猛スピードで変化していると思う」と述べるバービーさん。しかし日本におけるジェンダー平等が底辺レベルにあることを世界中に知らしめたのが、東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言を巡る一連の騒動だ。SNSでは「#わきまえない女」がトレンド1位を取り、さまざまなジェンダー論争が巻き起こった。世界各国における男女格差をはかるジェンダーギャップ指数が、121位と過去最低のランキングとなった日本。とはいえ、「このランキングの数字だけで推し測れるものではない」というのが彼女の意見だ。

テレビやラジオへの出演、YouTube配信、下着のプロデュース、そして地方創生の取り組みと、多方面で活躍するお笑いコンビ「フォーリンラブ」のバービーさん。昨年は雑誌「FRaU」のWeb連載がきっかけで初のエッセイ集『本音の置き場所』を出版。「最も信頼の置ける言葉を持つ芸人」の一人として、その発信力と多動力が注目されている。誰もがふと思うなにげない日々の疑問を独自の視点で切り取り、言語化する彼女の感性はいつごろから形成されたのだろうか。さまざまなテーマをもとに彼女の本音を探っていく全5回のシリーズ。第2回は「ジェンダー観」について聞いてみた。

ジェンダーギャップの本質は、問題意識の世代格差が大きいこと

ジェンダーギャップ指数は経済、政治、教育、健康の4分野のデータから作成し、総合版スコアから順位を算出する仕組みだ。2020年の日本の指数は、前年より順位を下げた。

「日本古来のジェンダー観があったうえで、世界基準に照らして評価したらランキング順位はかなり下の方だったねという話。でも、順位だけで判断して『日本ヤバイ』って結論づけるのは少し違うかなと。世界と比較して男女平等が浸透していないと思われる理由の一つは、“ジェネレーションギャップの壁が厚いこと”に起因しているような気がします。

ランキング結果のデータだけでは計り知れない、私たちの生活に潜んでいるジェンダーの問題を見据えないといけないんじゃないかなって思います。今の若者は、ジェンダー観に一番敏感だし、日々考え方をアップデートして世界の状況を把握している人が多いと思います。でもそういった若い世代が感じていることや社会を変えようとする声が、社会を動かす政治の世界の人たちにはまったく届いていないというのが一番の問題。一番変えなきゃいけないのは、声や情報も届かない権力のところにいて、聞く耳さえも持っていない大人たちです。『日本のジェンダー問題どうしよう』ってことより、私たちみんなが生きやすい社会にするにはどういう方法があるのかを、私たち若い世代が考えなきゃいけないタイミングなんだと思います」

政策に振り回され、割を食う女性が不満をSNSにぶつける

日本が抱える課題“少子高齢化”に歯止めをかけるため、2015年に発足した第3次安倍内閣によって宣言されたのが「一億総活躍社会」だ。「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げてはいるが、仕事と家庭の両立は各家庭ごとに工夫せざるを得ない。

「女性を働く現場に出しておきながら、家事・育児はこれまで通り女性の役割という固定的なジェンダー観はまったく変わってないんです。そりゃSNSで愚痴や不満をつぶやきたくもなりますよ」

2016年にある母親がブログで投稿後、ツイートで広がった「#保育園落ちた日本死ね!!」は、待機児童問題だけでなく、働く母親にとって仕事・育児の両立がいかに困難かということと、リアル社会における女性の生きづらさを浮き彫りにした。

「政府が掲げた『一億総活躍』『女性の活躍推進』という政策も、子育て世代の女性の視点が見えていないジェンダーバイアスがかかった内容に思えます。“外で稼ぐ男、家庭を守る女”というゆがんだ家族像はそのままで、“女性も男性と同じように働いて、子どもを産んで育ててね”って一方的に押し付けている感じ。『これじゃ私たち壊れちゃう』って女性は気づいて、手を差し伸べてくれない男性や社会にイラついたんだと思います。そんな中で、日本のジェンダーギャップ指数は最低だって見せられたら『やっぱ日本ヤバかったじゃん』ってなる人はいると思います」

~自立した女性は何でも完璧じゃなきゃ、なんてない。【第3回】へ~

 

バービー
Profile バービー

1984年、北海道生まれ。本名・笹森花菜。東洋大学文学部インド哲学科を卒業。2007年、ハジメとお笑いコンビ「フォーリンラブ」を結成。2019年末にYouTubeチャンネル「バービーちゃんねる」を開設。生理や女性下着、美容といったテーマの動画を配信し、主に同性から支持を得ている。
2020年末には、「FRaU」 webでの連載をまとめた初の著書『本音の置き場所』を上梓。また、ピーチ・ジョンとのピーチ・ジョンとのコラボ下着のプロデュースを担当し、
コラボレーションコレクション第2弾が2021年2月17日に全国発売された。芸人、下着プロデューサー、作家、ラジオパーソナリティーなど幅広いジャンルで活動中。

YouTube Official
https://www.youtube.com/c/barbie0126/featured

STORIES 2021/03/12 自立した女性は何でも完璧じゃなきゃ、なんてない。【第2回】