二拠点生活とは？費用・始め方・メリットをわかりやすく解説

二拠点生活が向いている人とメリット・デメリット

二拠点生活を始める前に、まずは自分のライフスタイルや働き方にマッチするかどうかを確認しておくことが大切です。この生活スタイルには多くの魅力がある一方で、コストや管理の手間といった現実的な課題も存在します。ここでは、二拠点生活に向いている人の特徴と、得られるメリット、さらによくあるデメリットについて整理していきます。

二拠点生活の主なメリット

二拠点生活は、時間や場所にとらわれず働ける環境を持つ人や、ライフステージの転換期にある人に適した選択肢の一つです。たとえば、リモートワークが可能な会社員やフリーランス、自営業の方は、拠点を移動しながらでも業務を継続しやすいでしょう。また、子育て世代であれば都市の教育環境と地方の自然体験を使い分けたり、定年後のセカンドライフとして趣味や家族との時間を充実させたりする目的で選ぶ方も増えています。

以下の記事では、会社経営と育児を両立するため東京と大阪の2拠点生活を選択した方にインタビュー。多忙な中でも「自分はこんなもんじゃない」という意識を原動力に、常に理想を追求し、「自分のご機嫌」をとりながら楽しく生き抜く秘訣を語っていただきました。

事例紹介：

2020/10/27

育児があるから自分の理想は妥協しなきゃ、なんてない。

村上萌

「自分はこんなもんじゃない」が
すべての原動力

さらに、防災やリスク分散の観点から、災害時のバックアップ拠点として地方に住まいを構える考え方もあります。住民票の扱いや生活拠点の置き方は人によって異なりますが、自分の仕事や家族構成、ライフプランに合わせて柔軟に調整できる点が、このライフスタイルの特徴といえます。

二拠点生活のよくあるデメリット

一方で、二拠点生活には注意すべき点もあります。特にコスト面や管理の負担は、事前にしっかり把握しておく必要があります。

以下は、よく挙げられるデメリットの例です。

• 家賃や光熱費、管理費など固定費が増える
• 拠点間の移動に時間とコストがかかる
• 荷物の管理や手続きが煩雑になる
• 空き家期間が長いと防犯・防災上のリスクが生じる
• 地域住民との関係づくりに時間がかかる場合がある

こうした課題を事前に理解し、対策を講じておくことが、二拠点生活を長く続けるための鍵となります。

二拠点生活に必要な費用と資金計画

二拠点生活を現実的に考えるうえで、最も重要なのが費用の見積もりです。拠点が増えることで、初期費用や月々の維持費がどれくらい必要になるのか、具体的に把握しておくことが求められます。ここでは、初期費用と月々のランニングコスト、選択肢ごとの費用比較、さらに補助制度や節約方法について解説します。

初期費用と月々の維持費の目安

二拠点生活を始める際には、賃貸契約の初期費用や家具・家電の購入費など、まとまった資金が必要になります。賃貸物件の場合、敷金・礼金・仲介手数料に加え、最初の月の家賃や火災保険料などが発生します。地域や物件によって異なりますが、初期費用として家賃の4〜6カ月分程度を見込んでおくと安心です。

また、セカンドハウスとして購入する場合には、物件価格に加えて不動産取得税や登記費用、リフォーム費用なども考慮する必要があります。月々の維持費としては、家賃または住宅ローン、光熱費、インターネット回線費、管理費や修繕積立金、さらに交通費や生活必需品の追加購入費などが挙げられます。

以下は、一般的な月々の維持費の内訳例です。

このように、月々の維持費だけでも10万円〜20万円以上かかることも珍しくありません。二拠点生活をムリなく成立させるためには、収入や貯蓄とのバランスを考えた資金計画が欠かせません。

選択肢別の費用比較

二拠点生活の住まいの選び方には、賃貸、購入、シェアハウスやマンスリーマンション、さらには親族の空き家を活用するなど、さまざまな選択肢があります。それぞれにかかる費用やメリット、デメリットを比較してみましょう。

自分の利用頻度や予算、将来の計画に合わせて、最も現実的な選択肢を選ぶことが大切です。たとえば、週末だけ利用する場合はマンスリーマンションやシェアハウス、長期的に定住する予定があれば購入や賃貸契約といった使い分けが考えられます。

補助・助成制度や節約の具体的手法

二拠点生活のコストを抑えるために、自治体の移住支援や助成制度を活用する方法があります。地方自治体によっては、移住者向けの住宅補助金や改修費の助成、交通費の補助などを用意しているケースも少なくありません。移住支援ポータルサイトや各自治体の窓口で情報を集め、自分が利用できる制度がないか確認してみましょう。

また、日々の生活費を抑える工夫も重要です。以下のような節約手法が考えられます。

• 交通費の節約：回数券や定期券、格安航空券の活用
• 光熱費の節約：不在時の契約プラン変更、省エネ家電の導入
• 通信費の見直し：モバイルWi-Fiの共有、格安SIMへの乗り換え
• 家具家電のシェア：レンタルサービスやサブスクリプションの利用
• 地域の食材活用：地産地消で食費を抑える

こうした小さな工夫を積み重ねることで、月々の支出を数万円単位で削減できる可能性があります。資金計画と並行して、長期的なコスト管理の視点を持っておくことが、二拠点生活を持続させるポイントになります。

二拠点生活の住まいと移動の選び方

二拠点生活を実現するには、どこに拠点を置くか、どのように移動するか、そして生活インフラをどう整えるかが重要な要素になります。拠点間の距離や移動時間、物件の条件、荷物管理の方法など、具体的な準備を進める前に押さえておきたいポイントを整理します。

拠点間の距離と移動時間で決める基準

拠点間の距離や移動時間は、二拠点生活の快適さを左右する最も重要な要素の一つです。頻繁に行き来する予定であれば、片道2〜3時間以内で移動できる範囲を選ぶと、移動の負担が少なく済みます。逆に、月に1〜2回程度の利用であれば、多少距離があっても気に入った環境を優先する選択もあるでしょう。

移動手段としては、自家用車、電車、バス、飛行機などが考えられますが、それぞれにコストや時間、荷物の運びやすさが異なります。たとえば、車であれば荷物を多く運べますが、高速代やガソリン代、駐車場代がかかります。公共交通機関を使う場合は、乗り換えの手間や最終便の時間なども考慮しておくと安心です。

物件選びのチェックポイント

拠点となる物件を選ぶ際には、立地や設備、周辺環境など、複数の視点から検討することが大切です。以下に、物件選びの際に確認しておきたいポイントをまとめます。

• 最寄り駅やバス停までのアクセス
• スーパーや病院、役所などの生活施設の有無
• インターネット環境の整備状況
• 防犯・防災対策（セキュリティ、ハザードマップの確認）
• 駐車場の有無や追加費用
• 家具家電の有無、設備の使い勝手
• 騒音や日当たり、周辺住民の雰囲気

特にリモートワークを前提にする場合は、通信環境や作業スペースの確保が重要になります。また、空き家期間が長くなる場合は、防犯面や郵便物の管理方法についても事前に対策を考えておくと安心です。

荷物管理・生活インフラの整え方

二拠点生活では、どちらの拠点にどれだけの荷物を置くか、生活必需品をどう揃えるかが日々の快適さに直結します。拠点ごとに必要最低限の衣類や日用品を常備しておくと、移動時の荷物を減らせます。ただし、家具家電や調理器具、寝具などを二重に揃えるとコストがかさむため、利用頻度に応じてレンタルやサブスクリプションサービスを活用する方法も有効です。

生活インフラとしては、水道・電気・ガス・インターネット回線などの契約が必要です。長期間不在にする拠点では、基本料金だけのプランに切り替えたり、スマートホーム機器で遠隔管理したりする工夫もあります。また、郵便物の転送サービスや、宅配ボックスの設置なども検討しておくと、不在時のトラブルを減らせます。

手続きと注意点

二拠点生活を始めるにあたり、住民票の扱いや税金、保険、各種契約の変更など、さまざまな手続きが発生します。住民票は原則として生活の本拠地に置くことになりますが、どちらを本拠とするかは自分の生活実態に合わせて判断します。

また、郵便物の転送手続きや、銀行・クレジットカード会社への住所変更届、運転免許証の住所変更なども忘れずに行う必要があります。拠点を増やすことで手続きが煩雑になりやすいため、リストを作って一つずつ確認していくことをおすすめします。

二拠点生活の実践プランと失敗しないコツ

二拠点生活をいきなり本格的に始めるのではなく、段階を踏んで準備を進めることで、失敗やミスマッチを防ぐことができます。ここでは二拠点生活における失敗しないコツを解説します。

お試し期間の作り方

本格的に二拠点生活を始める前に、短期間のお試し滞在を通じて、その地域や物件が自分に合っているかを確認することが大切です。たとえば、数週間から1カ月程度、マンスリーマンションや民泊、ゲストハウスなどを利用して実際に暮らしてみることで、生活の利便性や移動の負担、地域の雰囲気を肌で感じることができます。

お試し期間中には、以下のようなポイントをチェックしておくとよいでしょう。

• 日常の買い物や通院、移動の利便性
• インターネット環境や作業スペースの快適さ
• 地域住民の雰囲気や交流の機会
• 季節ごとの気候や環境の変化
• 拠点間の移動にかかる実際の時間とコスト

お試し期間を経て、自分にとって無理のないペースや拠点の配置が見えてきたら、本格的な契約や物件探しに進むとスムーズです。

地域コミュニティとの関わり方と働き方の調整

二拠点生活では、新しい地域とのつながりをどう築くかが、生活の充実度を左右します。地域コミュニティに積極的に参加することで、地元の情報を得やすくなり、困ったときに頼れる人間関係が生まれることもあります。地域のイベントやボランティア、サークル活動などに顔を出してみると、自然と交流の輪が広がるでしょう。

一方で、仕事との両立も重要な課題です。リモートワークが可能であっても、勤務先との連絡やミーティングのスケジュール調整、業務の進め方など、働き方を柔軟に見直す必要があります。拠点間の移動日を固定したり、移動中の時間を有効活用したりするなど、自分なりのルールを決めておくと、仕事とプライベートのバランスが取りやすくなります。

長く続けるためのコスト管理と見直しタイミング

二拠点生活を長く続けるためには、定期的なコスト管理と生活スタイルの見直しが欠かせません。半年や1年ごとに、家計簿や利用頻度、満足度を振り返り、無駄な支出がないか、拠点の配置が適切かをチェックする習慣をつけましょう。たとえば、ほとんど使っていない拠点があれば、解約や別の場所への移転を検討する、交通費や光熱費のプランを見直すといった対応が考えられます。

また、ライフステージの変化に合わせて、拠点の役割や利用頻度を柔軟に変えていくことも大切です。子育て期、働き盛りの時期、定年後など、それぞれのタイミングで求めるものが変わってくるため、その都度、自分にとって最適なバランスを探っていくとよいでしょう。

まとめ

二拠点生活は、都市と地方の良さを同時に享受できる魅力的なライフスタイルの一つです。リモートワークの普及や価値観の多様化により、自分らしい暮らし方を模索する人にとって、現実的な選択肢となりつつあります。ただし、費用や手続き、移動の負担など、事前にしっかりと準備しておくべきポイントも多くあります。

この記事では、二拠点生活に向いている人の特徴やメリット・デメリット、具体的な費用の目安、住まいや移動の選び方、さらに実践プランと長く続けるコツについて解説しました。お試し期間を設けたり、定期的にコスト管理を行ったりすることで、無理なく自分に合った形で二拠点生活を楽しむことができます。

自分のライフスタイルや価値観に合わせて、柔軟に拠点を使い分けながら、都市生活と田舎暮らしの両方を味わう。そんな暮らし方を、ぜひ前向きに検討してみてください。

LIFULL STORIES編集部