ダンスを通じて社会課題を解決するのは無理、なんてない。 ―LIFULLのリーダーたち―LIFULL ALT-RHYTHM責任者 宮内 康光
2024年4月1日、ソーシャルエンタープライズとして事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLは、チーム経営の強化を目的に、新たなCxOおよび事業CEO・責任者就任を発表しました。性別や国籍を問わない多様な顔ぶれで、代表取締役社長の伊東祐司が掲げた「チーム経営」を力強く推進していきます。
シリーズ「LIFULLのリーダーたち」、今回は「LIFULL ALT-RHYTHM」責任者の宮内康光に話を聞きます。
2025年には競技人口が1,100万人になるといわれるダンス。急成長を続けるダンス業界を伸びしろと捉えて、LIFULLは2021年4月にプロダンスチーム「LIFULL ALT-RHYTHM(ライフルアルトリズム)」を発足しました。今回は「LIFULL ALT-RHYTHM」の“情熱リーダー”に任命された宮内康光に、事業拡大のために取り組んでいること、ダンスを介して解決していきたい社会課題について話を聞きます。
多様なメンバーが集まったダンスチームも、社会課題を作品に昇華するのも、作品を多くの人に届ける活動も、「LIFULL ALT-RHYTHM」の活動すべてが、LIFULLのビジョンを体現しています。
ノンバーバルなアート表現を介して、LIFULLを体現する
――LIFULLにおける宮内さんの管掌領域を教えてください。
プロダンスチーム「LIFULL ALT-RHYTHM」の責任者です。チームの役割は主に二つあり、一つ目は、LIFULLの新規事業として利益を求めていくことです。スポンサー協賛企業を募ったり、ダンス興行やダンスレッスン、グッズの販売などで収益化を図っています。もう一つの役割は、D.LEAGUE(日本発のダンスのプロリーグ)への参画など、チームの活動を通してLIFULLのブランディングに寄与することです。LIFULLは「世界で最も多様性を認め、社会課題に向き合う企業」を目指しています。ダンスを通して、このメッセージを体現していくのが僕の役割です。

――「LIFULL ALT-RHYTHM」の特徴を教えてください。
性別・年齢・ダンスジャンルが多様なメンバーが揃っていることです。Dリーグに参画している他のチームは、メンバーの年齢層とジャンルを揃えて統一感のあるパフォーマンスをしているチームが多いです。一方で、「LIFULL ALT-RHYTHM」のダンサーは20歳から52歳までと年齢の幅が広く、ストリートダンスのジャンルで世界タイトルを獲得している人やコンテンポラリーダンサーとして世界中で活躍している人、また、新体操の分野で日本一のタイトルを獲得している人など様々なメンバーがいます。
例えば、「LGBTQに優しい社会にしよう」と言葉で発信するのは簡単ですが、僕たちはダンスで表現していきます。「LIFULL ALT-RHYTHM」には、冒頭で同性が愛し合うシーンから始まる『One』という作品があります。
ダンスというアート表現を介することで、「LGBTQに優しい社会もいいな」と自然に受け入れられていくと考えています。
――企業がIRとしてLGBTQフレンドリーを伝えるのと、アート作品に昇華して表現するのとでは、広がり方が違いそうですね。
はい。もう1つだけ作品をご紹介させていただくと、印象に残っているのは海洋プラスチックごみ問題を扱った『Daydream』という作品です。
ビニール袋を使ったダンスで海が汚染されていく過程を表現し、終盤はダンサーが悲痛な表情を浮かべます。この作品を見た小学生が自由研究のテーマに海洋プラスチックごみ問題を取り上げ、賞を獲ったというニュースがありました。僕たちが取り組んでいることが誰かに影響を与え、その先へ広がっていくという良い循環が生まれているのを感じます。
――LIFULLは、事業を通じて社会課題解決に取り組む企業グループであることを明示しています。まさに、「LIFULL ALT-RHYTHM」の活動が企業の姿勢を体現していますね。
ダンス領域での社会課題の一つにダンス教育の不があります。ダンスは、小・中学校の必修科目ですが、ダンスを教えられる指導者が少ないのです。そこで、「LIFULL ALT-RHYTHM」はプロダンサーを授業に派遣する事業を進めています。しかし、物理的な距離の問題や時間の制約があり全国に展開するのが難しいため、2023年9月にNFT(Non-fungible Token:非代替性トークン)を使ってプロダンサーのレッスン動画を全国の学校に贈る『LIFULL ALT-RHYTHM GIFT』を始めました。
“情熱リーダー”として、ゼロイチの価値創造と事業のスケールを担う
――これまでの宮内さんの職歴を教えてください。
新卒で人材業界のベンチャー企業に入り、上場するまでのサバイバル期にゼロイチの価値創造をする経験を積みました。その後、株式会社ぐるなびに転職して、当時、新規事業であるレッツエンジョイ東京というメディア事業の立ち上げを経験し、約6年半働きました。その後、先輩とゼロイチの価値創造や事業のスケールをメインキャリアとしていく中で、より大きな規模で自分の事業をしたいと考えるようになったのです。その時に、100社100カ国戦略を掲げているLIFULLを知りました。ウェブ領域でゼロイチをつくっていきたいと思い、LIFULLの採用選考に進みました。
LIFULLに入社して、不動産会社の業務効率化を図る新規事業の立ち上げを担当しました。2020年からは、不動産会社を検索する機能やそのマネタイズ、不動産会社の内部教育を担当するアカデミーなどの事業を伸ばす取り組みをしていました。そんな時に、創業社長の井上(高志)からDリーグ参画の話がきました。
会社としてダンスチームをつくりDリーグに参画する経営判断がなされたのですが、LIFULLと専門性が違う事業なので、「この人なら任せられる」という“情熱リーダー”を置くことになったのです。僕は学生の時からLOCKダンス等を始めて、かれこれ20年以上ダンスに関わっています。井上がダンスをやっている僕に声をかけてくれて、ダンス事業の責任者を拝命し、2021年4月に「LIFULL ALT-RHYTHM」が発足しました。
◆あわせて読みたい|LIFULL ALT-RHYTHMディレクター野口量さん

――宮内さんが経験を積んできたゼロイチの価値創造や事業のスケールと、今後のダンス業界の伸びしろは親和性が高いですね。
学校教育のダンス授業必修化、TikTokやInstagramなどSNSでのダンスブーム、さらにはパリ五輪の種目にブレイキン(ブレイクダンス)が加わったことなどで、ダンスシーンは一段と盛り上がっているように感じます。LIFULLが新規事業としてダンスを選んだ理由の一つも、成長産業であることが挙げられます。2015年の調査ではダンスの競技人口は約600万人、2025年には1,100万人まで伸びると言われています。日本の国民的スポーツと言われる野球やサッカーの競技人口と比較してみても、ダンスは伸びしろがあると思っています。
――これから5年間で取り組みたいことは?
持続可能なチームであるために黒字化を目指します。様々なマネタイズポイントがありますが、特にスポンサー企業様からのご支援は非常に心強いと考えています。LIFULLのアセットを活かして不動産会社様からのご支援はもちろんのこと、LIFULL ALT-RHYTHMを通じて、新規で様々な業種の企業様からのご支援も多いです。今後とも、ご支援いただく企業様にとって価値あるパートナーであるために、チーム一同、努力を続けてまいります。
また、これからダンスを始める子どもたちのために、安心してダンスを学べる状況をつくりたいと思っています。まずは、半蔵門で土日のダンススクールを開設する予定です。ダンスというと昔からのイメージで「不良っぽい」と感じる親もいますが、僕たちはプロダンサーによる良質なレッスンで誰もが安心してダンスを楽しめる環境をつくっていきます。また、テクノロジーを活用したレッスンに磨きをかけて、ダンスを学ぶ人を増やしたいと思っています。例えば、地方で暮らす方が世界のトッププロから学ぶ機会が増えていけば、日本のダンスシーンはさらに盛り上がると考えています。
今は、ダンス業だけで生計を立てることができないダンサーたちが大勢います。僕は、ダンスのトッププレーヤーが他競技のプロ選手と同程度の報酬を受け取れるまで、ダンサーの社会的ステータスを上げていきたいと思っています。
――最後にお聞きします。宮内さんの「しなきゃ、なんてない。」は?
ダンスを通じて社会課題を解決するのは無理、なんてない。僕は、ダンスを通してあらゆる社会課題解決のきっかけづくりをしていきたいのです。ダンスという言語以外の表現を通してコミュニケーションを行うノンバーバルな媒体を介して、「LGBTQが当たり前の世の中になってもいい」「身体的ギャップがあっても、世の中はきっと素晴らしい」といったメッセージを発信していきたいです。
取材・執筆:石川 歩
撮影:白松 清之
人材系企業でキャリアをスタートし、支店や事業の立ち上げ・成長を経験。その後、Web系企業で新規事業の立ち上げを経て、2018年に株式会社LIFULLに入社。LIFULL HOME'Sの事業戦略やサービス企画など、様々なグループの責任者を歴任。2021年からはプロダンスチーム「LIFULL ALT-RHYTHM」のGMとしてダンス事業の責任者を務める。
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