楽しく働くなんて無理、なんてない。

ソーシャルエンタープライズとして事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLには、業界の常識を変えたい、世の中に新しい仕組みをつくりたい、という高い志をもつ同志たちが集まっています。
LIFULLの描く未来の実現や個人が解決したい社会課題への取り組みなど、多様なLIFULLメンバーのこれまでの「挑戦」と「これから実現したい未来」を聞く、シリーズ「LIFULL革進のリーダー」。今回はLIFULL HOME'S事業本部で、「ユーザーに価値あるサービスを届ける」ために、エンジニアがより開発に専念できる環境を創るべくDeveloper Experience(DX)といわれる開発体験の向上に取り組むエンジニアマネジャーの花井 俊介に話を聞きます。
連載 LIFULL革進のリーダー
- 第1回LIFULL HOME'S事業本部 営業 マネジャー 坪井 洋介
- 第2回LIFULL HOME'S事業本部 プロダクトエンジニアリング部長 河津 隆洋
- 第3回LIFULL HOME'S事業本部 事業統括部長 鈴木 章浩
- 第4回LIFULL HOME'S事業本部 マーケティング マネジャー 遠藤 夏海
- 第5回クリエイティブ本部 デザインマネジャー/アートディレクター田中 忍
- 第6回LIFULL HOME'S事業本部 営業 マネジャー 加藤 直
- 第7回テクノロジー本部 シニアプリンシパルエンジニア 相原 魁
- 第8回LIFULL HOME'S事業本部 営業 佐藤 優里奈
- 第9回LIFULL HOME'S事業本部 サービス企画 マネジャー 笹本 昂
- 第10回クリエイティブ本部 デザイナー 上垣 陽和
- 第11回LIFULL HOME'S事業本部 エンジニア 高詰 ありさ
- 第12回LIFULL HOME'S事業本部 マーケティング マネジャー 樋口 貴成
- 第13回LIFULL HOME'S事業本部 エンジニア マネジャー 花井 俊介
- 第14回クリエイティブ本部 マーケティング マネジャー 畠山 大樹
- 第15回LIFULL HOME'S事業本部 サービス企画マネジャー 三枝 由里

入社して9年。エンジニアとしてLIFULL HOME'Sの賃貸領域のサイト開発に携わった後、現在は注文住宅領域サイトのエンジニアマネジャーとして国内外25人のメンバーをリードする花井 俊介。海外の開発拠点のメンバーと連携を図りながら、マネジャーとしてチームの成果を追求する一方で、「仕事が好き」と語るクリエイティブを楽しむ職人としての一面も。この絶妙なバランス感覚は、LIFULLという土壌で、どのようにして培われたのか。じっくり話を伺いました。
技術を実用化して人々の生活に役立てるのが、エンジニアの役割。私たちの開発が不の解消や改善につながり、ユーザーに貢献できることほど嬉しいことはありません。エンジニア自身が「良いものを創っている」という実感を得られる環境創りを強化していきたいです。
注文住宅での理想の住まいづくりをポータルサイトの情報力でサポート
――入社してから、これまでの業務について教えてください。
2016年に新卒で入社してからはエンジニアとして、主にLIFULL HOME'Sの賃貸領域サイトのサービス開発、およびマネジメント業務に携わっていました。
具体的には、家を借りたい人のために街情報コンテンツを集めた「まちむすび」というサービスの立ち上げや、物件に対して住まいのニーズに基づくタグを付与し、そのタグを使って目的の物件を簡単に検索できる「タグ検索」、今借りている家より「広い家に住みたい」「5分駅より近いところに住みたい」といった「叶えたい条件で探す」機能などを開発しました。
そういった賃貸領域のサービス開発業務を7年ほど行い、注文住宅領域に異動して約1年半が経ちました。現在はエンジニアマネジャーとして、注文住宅領域のサービス開発部門の責任者をしています。
――現在の業務は、どういったものでしょうか。
現在は、クライアントである工務店やハウスメーカーと、実際に家を買いたいユーザーを結ぶサービスに携わっています。LIFULL HOME'Sの注文住宅サイトに、工務店やハウスメーカーのカタログや来場情報を載せて、それを見たユーザーがカタログ請求や来場予約をする、といったポータルサイトの開発です。
――これまでの業務の中で、どんな課題を感じて、どう解決してきましたか。
よく「家は3回建てて初めて、満足いく家が建てられる」と言われるほど、注文住宅で家を建てることは、難易度が高いものです。
注文住宅領域は他の住まい探し領域と決定的に違う点があります。それは「モノがない」ということです。新築マンションや中古戸建てのように、すでに建っている物件があれば内見をして比較検討することが可能です。しかし、注文住宅ではユーザーが「こういう家を建ててください」とオーダーする仕組みなので比較検討をしながら決めることができません。オーダーメイドで住まいを建てられる点が注文住宅の最大の魅力であると同時に、最大のハードルにもなっています。
また、注文住宅で建てようとするユーザーのほとんどは、まずWeb検索から始めます。しかし、よくわからないので、とりあえず展示場に足を運びます。そして展示場に行ってみたものの、イメージが違ったり、予算が合わなかったりして、別の展示場へ行くことになり、展示場ジプシーになり疲弊してしまいます。
この問題が起こる原因は、最初にアクセスするWeb上で、十分に比較検討できる情報が揃っていない点にあると考えます。通常、何か買い物をする時は、画像やレビューを見てから比較検討しますが、注文住宅は大きな買い物にもかかわらず、比較検討できる材料が少ないという課題があります。
そこで私たちはポータルサイトの立場から、コンテンツ内に契約者の声や投稿画像など、客観的に信頼できる情報を収集して提示し、ユーザーが比較検討できるようにするサービスをリリースしました。実際、リリース後にサイトを訪れたユーザーの行動分析を見てみると、契約者の声や投稿画像の付いている会社と、付いていない会社では明らかに違いが見られました。契約者の声や画像がある会社のほうが、ない会社よりも長く閲覧されていました。この結果から、この取り組みがユーザーが理想の住まいを探しやすくするために非常に有効であると感じました。
エンジニアリングとは、私は「技術を実用化して生活に役立てる」という意味だと思っています。ですから私たちエンジニアの技術によって、ユーザーの不安を解消し、改善できたなら、これほど嬉しいことはないですね。
「対話」を重ねながらチームを束ねる
――今はプロダクトエンジニアリング部のマネジャーという立場ですが、リーダーとして大切にしていることは何ですか?
現在、国内の自部署メンバーと、海外の開発拠点のメンバーとを合わせて約25人のチームで仕事を進めています。LIFULLの根本には「利他主義」という考えがあり、この考え方はメンバー間でもしっかり共有されています。そのため、先ほどお伝えしたような課題解決に向けて、基本的にはチームが同じ方向を向いて仕事を進めていると感じています。ただ、実際に仕事を進めていく中では、どうしても一人一人やり方が違ってくる場合があります。そのような時に、メンバー一人一人が納得し、全員が同じ手法で、最も効率的な方法で進められるようにすることが、リーダーとしての大切な役割だと考えています。
そのためには、「対話」を大切にしています。例えば、20人以上の大勢のメンバーに向けて話すと、対話というより一方的な発信になってしまいます。そのため、1on1という形式で個別に話をするようにしています。状況によっては週に2~3回実施することもありました。一人一人の声をしっかりと拾い、どういうところに違和感を感じているのか、を直接聞くことは、非常に意義のあることだと思っています。
――2024年度でベストマネジャー賞を受賞されたそうですが、ご自身ではどこが評価されたと思いますか?
どこかに突出しているというより、「立て直し」と「目標達成」をバランスよく実現できたことが評価されたのではないかと思っています。
「立て直し」とは、私が注文住宅の領域に異動した当初、ちょうどエンジニアのメンバーの入れ替わり時期にあたり、新しい体制でのスタートを切ったことを指します。注文住宅のサイトは、賃貸など他のマーケットと比べて技術スタックや開発フロー、必要となるドメイン知識も異なる点も多く、メンバーと協力しながら、チームを一から築いていきました。そして、「目標達成」とは、エンジニア組織としての事業目標を達成できたことが評価されたポイントだと思います。また、注文住宅領域に加えて、LIFULL HOME'Sのシステムの信頼性を向上させるSRE(Site Reliability Engineering)活動も評価に含まれていたのではないかと思います。
海外拠点とワンチームで、新たな価値を生み出す
――LIFULLでは、固定観念にとらわれず、多様性のある考え方を持つことを大切にしていますが、花井さん自身、仕事に取り組む中でそういった考えに触れることはありますか?
私が所属しているプロダクトエンジニアリング部では、ベトナムやマレーシアといった海外拠点にいる多国籍のメンバーと一緒に仕事をしています。一般的なオフショア開発の場合、日本側が「こういう仕事があるから実装してほしい」と依頼し、海外側が下請けのような形になるケースが多いですが、LIFULLでは、”ワンチーム”という方針のもと、より良い提案があれば積極的に受け入れ、共に進めていこうというスタンスで海外拠点のメンバーと向き合っています。
もちろん当初は、考え方の食い違いはありましたが、その違いを乗り越えて、海外のメンバーも積極的に提案してくれるようになりました。それこそが固定観念にとらわれないLIFULLらしいやり方だったように思います。
また、入社して、社内のブランド浸透度が非常に高いと感じました。LIFULLは、「常に革進することで、より多くの人々が心からの『安心』と『喜び』を得られる社会の仕組みを創る」という経営理念を掲げています。
入社前には、こうした経営理念は働く社員にとっては身近に感じることは少ないのではないか、また業務をする上で役立つものか疑問に思っていました。しかし、実際に入社して働いてみると、ビジョンや行動規範となるガイドラインをもとに個人の目標を設定したり、プロジェクトの成果に向き合っている社員ばかりでした。経営理念に共感した人々がLIFULLに集まっているので、全員が同じ方向を向いて働くことができる環境が整っています。こうしたメンバーと切磋琢磨し合えることこそが、LIFULLの大きな魅力の一つだと感じます。
――入社して9年、花井さんご自身が仕事を通して成長できたこと、それによって得られたと感じることはどんなことでしょうか。
成長できたのは、主には「実行力」や「実現力」だと思います。これまで自ら実装を行ったり、リーダーとしてメンバーを引っ張ったり、いろいろな経験をしてきました。いかに早くユーザーにサービスを提供するか、どのようにクオリティを高めるか、どのように課題を解決していくか、あれこれ考えた結果、「まずやってみる」という結論に至りました。そして失敗したら、またやり直す。トライアンドエラーを繰り返すことで、実行力や実現力が磨かれ、結果として技術スキルやマネジメントスキルが身に付いたと思っています。
――花井さんの「しなきゃ、なんてない。」を教えてください。
私は、仕事が好きで、仕事に没頭するタイプだと思っています。特にメンバーとして開発をメインにしていた時は、通勤電車の中でも「あそこのプログラミングは、こうすればよかった」なんて思い返しながら、スマホのチャットツールにコードを書いて、自分宛に送っていたこともありました。それは今も変わっておらず、次はああしよう、こうしたいという考えが常にあって、ワクワクしながら働いています。
もちろん仕事である以上、責任感がないわけではありません。でも、どちらかと言うと、自分が楽しくて熱中している感覚が強いんです。だから、あえて言うなら「楽しく働くなんて無理、なんてない。」といったところでしょうか。そういった感覚で仕事ができるのも、この会社の良さですね。
――今後の花井さんの目標をお聞かせください。
これから取り組みたいのは、Developer Experience(DX)、いわゆる開発体験の向上です。エンジニアが今よりももっと開発に集中できる環境を創りたいと考えています。私自身もそうですが、エンジニアにとって何より大切なのは、自分が良いと思えるものを創っている感覚です。だからこそ、エンジニアが開発に没頭できる環境を整えることが、クリエイティブの質や速度、ユーザーへの価値提供を高めることにつながります。そういった環境創りを、マネジャーとして積極的に進めていきたいと思っています。

2016年にLIFULLに新卒で入社。入社後、LIFULL HOME'Sの賃貸サイトのサービス開発やマネジメント業務に従事。2023年に注文住宅領域のサービス開発を行う部門に異動し、エンジニアマネジャーとして、国内外のメンバーをリードする。2024年度ベストマネジャー賞を受賞。
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