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#ダイバーシティ

日本国内で注目が高まっている「ダイバーシティ」。企業の経営戦略においてはとりわけ無視できないものになっています。
ダイバーシティの概要や政府が掲げる「ダイバーシティ経営」、ダイバーシティ2.0と企業の取り組み、LIFULLが行うダイバーシティ関連の事業について紹介します。

「ダイバーシティ」とは

ダイバーシティは、日本語に訳すると「多様性」。本来は「ジェンダー、⼈種・民族、年齢における違い」のことを指していましたが、近年は企業が掲げる経営戦略の文脈で語られることが多く、「年齢や性別、国籍、学歴、職歴、人種、民族、宗教、セクシュアリティなどの違いにとらわれずさまざまな人材を登用し、組織の競争力を高めることを目指す考え方」と言い換えることができます。

日本でもダイバーシティの考え方に対する注目が高まっています。その背景としては、少子高齢化に伴う人口減少による人材不足、働き方の多様化、グローバル化などが挙げられます。

女性や外国人、障がい者、LGBTQをはじめとするあらゆる属性の人材や、さまざまな感性・能力・価値観・経験を持つ人材を組織に迎え入れることは、組織内の価値観の多様化につながります。グローバル社会で組織の競争力を高めるには、多様な人材がそれぞれに能力を最大限発揮できるダイバーシティ社会の推進が不可欠だと言えるでしょう。

※参照元:諸外国におけるダイバーシティの視点からの行政評価の取組に関する調査研究報告書(株式会社 NTT データ経営研究所)

政府が掲げる「ダイバーシティ経営」とは

経済産業省は、2020年に「ダイバーシティ経営」に関する提言を取りまとめました。政府が掲げる「ダイバーシティ経営」とは、「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」のことです。

各企業が競争力を高めるために必要な人材活用戦略であるとされ、福利厚生や CSR(企業の社会的責任)を直接目的とするものではなく、あくまでも“経営戦略の一環”と位置付けられています。

ダイバーシティ経営の4つの成果

経済産業省は2015年度版「ダイバーシティ経営企業100選」の中で、ダイバーシティ経営の成果として以下の4つのポイントを紹介しています。

①プロダクトイノベーション
対価を得る製品・サービス自体を新たに開発したり、改良を加えたりするもの
多様な人材が異なる分野の知識、経験、価値観を持ち寄ることで、「新しい発想」が生まれる

②プロセスイノベーション
製品・サービスを開発、製造、販売するための手段を新たに開発したり、改良を加えたりするもの(管理部門の効率化を含む)
多様な人材が能力を発揮できる働き方を追求することで、効率性や創造性が高まる

③外的評価の向上
顧客満足度の向上、社会的認知度の向上など
多様な人材を活用していること、およびそこから生まれる成果によって、顧客や市場などからの評価が高まる

④職場内の効果
社員のモチベーション向上や職場環境の改善など
自身の能力を発揮できる環境が整備されることでモチベーションが高まり、また、働きがいのある職場に変化していく

実際に自社のダイバーシティ経営を推進していくには、多様な人材を積極的に登用・採用するだけでなく、多様性を引き出し生かす配置転換を可能にする人事制度の導入、さまざまな人材が働きやすい勤務環境や体制の構築、マネジメント層の意識改革などが必要です。

海外におけるダイバーシティ経営の動向

海外でも、ダイバーシティ経営は推進されています。アメリカでは、1980 年代にダイバーシティが人材のモチベーションの向上等に効果があると認識され始め、1990年代にはすでに企業にもたらす生産性や収益性への効果が認識されていました。諸外国に先立ち、ダイバーシティが競争力や差別化の源泉として位置付けられていたのです。

一方、ヨーロッパでは雇用機会の創出・確保を目的とした労働政策の⼀環として「女性の社会進出」と「雇用・労働形態やライフスタイルの多様性の容認」を図る視点から、政府を中心にダイバーシティが促進されてきました。2000年代以降はEU 加盟各国で「ダイバーシティ憲章」が発出され、企業によるダイバーシティ経営の促進が実施されました。

このような経緯からもわかるように、アメリカとヨーロッパのダイバーシティ経営には、以下のような違いがあります。

アメリカ:「企業の競争力の源泉」を追求
大企業を渡り歩いてキャリアを開発するモデルが一般的なため、個人間ごとの属性面の多様性(ダイバーシティ)を、企業競争力のベースとなる競争優位性と差別化要素として認識・活用する傾向がります。

ヨーロッパ:「多様な雇用・労働形態やライフスタイルの受容」を追求
特定の企業における内部異動でキャリアを開発するモデルが一般的なため、個人が雇用の確保・維持を望む傾向があるのが特徴です。
政府と企業が密接に連携しながら、雇用・労働形態やライフスタイルの多様性としてのダイバーシティを受容することで、経済全体における雇用機会の拡大・確保を目指します。

なお、近年はヨーロッパでもダイバーシティを経営戦略として活用する動きが体系化・活発化し始めています。ここで、近年のヨーロッパ諸国の取り組みを見てみましょう。

近年のヨーロッパ諸国の取り組み

①イギリス
・2010年誕生の政権が「平等戦略」を策定。政府が関与する形でダイバーシティ経営を促進する取り組みが活発化された
・民間企業の取り組みを経済的に支援
・幼児を持つ親が、柔軟な働き方を雇用主に対して主張できる権利を明記した「フレキシブル・ワーキング法」を制定

②オランダ
・オランダ均等待遇法やオランダ民法典をはじめ、差別を禁止する法規制の整備が早期から進められている
・労働組合による賃金抑制、企業による雇用確保や時短の促進、政府による雇用者所得減少緩和に向けた減税など政労使が連携したことで、パートタイム労働や有期契約雇用等の積極活用が進んだ

③ドイツ
・冷戦終結後の移民の流入・定着の拡大を契機として、政府や民間企業によるダイバーシティ経営に関する取り組みが推進されてきた
・差別の禁止等を盛り込んだ「一般平等待遇法」を制定
・大企業4社がドイツ政府と連携して、ダイバーシティ憲章を組織化

④スウェーデン
・差別禁止と差別是正というポジティブ・アクションの2つの規定によって、人種、ジェンダー、宗教、障がいの有無、年齢・世代等を理由に対した差別の禁止と機会提供の取り組みが定められている
・民間企業主導でダイバーシティ経営の促進を進めるイニシアティブとして「スウェーデン ダイバーシティ憲章」を発足。ダイバーシティを通じたイノベーションと事業機会の創出を目指している

※参照元:海外における政府・企業の動向

ダイバーシティ2.0と企業の取り組み

経済産業省では、2016年8月に「競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会」を立ち上げました。中長期的に企業価値を生み出し続けるダイバーシティ経営のあり方について検討を行い、2017年3月には企業が取るべきアクションをまとめた「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」を策定しました。

「ダイバーシティ2.0」とは、「多様な属性の違いを生かし、個々の人材の能力を最大限引き出すことにより、付加価値を生み出し続ける企業を目指して、全社的かつ継続的に進めていく経営上の取り組み」のことです。

特に重要とされているのは、次の4つのポイントです。

ポイント1 中長期的・継続的な実施と、経営陣によるコミットメント
ポイント2 組織経営上の様々な取組と連動した「全社的」な実行と「体制」の整備
ポイント3 企業の経営改革を促す外部ステークホルダーとの関わり(対話・開示等)
ポイント4 女性活躍の推進とともに、国籍・年齢・キャリア等の様々な多様性の確保

※参照元:ダイバーシティ 2.0 行動ガイドライン

また、ダイバーシティ2.0を実践するためには、以下の7つのアクションが求められています。

①経営戦略への組み込み
経営トップが、ダイバーシティが経営戦略に不可欠であること(ダイバーシティ・ポリシー)を明確にし、KPI・ロードマップを策定するとともに、自らの責任で取組をリードする。
②推進体制の構築
ダイバーシティの取組を全社的・継続的に進めるために、推進体制を構築し、経営トップが実行に責任を持つ。

③ガバナンスの改革
構成員のジェンダーや国際性の面を含む多様性の確保により取締役会の監督機能を高め、取締役会がダイバーシティ経営の取組を適切に監督する。

④全社的な環境・ルールの整備
属性に関わらず活躍できる人事制度の見直し、働き方改革を実行する。

⑤管理職の行動・意識改革
従業員の多様性を活かせるマネージャーを育成する。

⑥従業員の行動・意識改革
多様なキャリアパスを構築し、従業員一人ひとりが自律的に行動できるよう、キャリアオーナーシップを育成する。

⑦労働市場・資本市場への情報開示と対話
一貫した人材戦略を策定・実行し、その内容・成果を効果的に労働市場に発信する。投資家に対して企業価値向上につながるダイバーシティの方針・取組を適切な媒体を通じ積極的に発信し、対話を行う。

※参照元:ダイバーシティ 2.0 行動ガイドライン

経済産業省では、ダイバーシティ経営の推進を経営成果に結びつけている企業の先進的な取り組みの紹介と、表彰をする「ダイバーシティ経営企業100選」事業を行い、各企業の先進事例を発信することで、ダイバーシティ経営の浸透を図っています。

職場におけるセクシュアルマイノリティへの理解と現状

ダイバーシティ経営において、重要な課題のひとつがセクシャルマイノリティ(LGBTQ)の人々への理解です。日本では雇用面で差別的な扱いを禁止する企業がいまだ少なく、LGBTQ当事者にとって働きやすい環境が整っているとは言えないのが実情です。

電通ダイバーシティ・ラボが2018年に行った調査によると、「職場の同僚(上司・部下含む)へのカミングアウト」について「抵抗がある」「まあ抵抗がある」と答えたLGBTQ当事者は50.7%。抵抗がない人は21.1%にとどまりました。

また、職場に「サポート制度はない」と回答したLGBTQ当事者は過半数の54.5%、一方、職場に「十分なサポート制度がある」と考えるLGBTQ当事者は5.5%にとどまっています。

職場では、異動や退職勧奨など不利益を被ることにつながる恐れから、カミングアウトをしないLGBTQ当事者が多いといわれています。そのためセクシュアリティを偽ったり隠したりしなければならない場面が日常的に発生し、常に緊張を強いられている人も少なくありません。

また、家庭や交友関係などプライベートの話をすることができないことで人間関係を築きにくくなり、職場での孤立や転職につながりやすいともされています。
しかし、環境整備によってLGBTQ当事者の働きやすさが改善されれば、仕事に対するモチベーションが高まり、生産性アップが期待できます。

※参照元:厚生労働省委託事業 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書

ダイバーシティ&インクルージョンという考え方

近年では、多様性を受け入れることで企業の組織活性化、イノベーションの促進、競争力の向上などを目指し、企業の活力とする「ダイバーシティ&インクルージョン」という考え方が台頭しています。

あらゆる人材を組織に迎え入れる「ダイバーシティ」に、あらゆる人材がその能力を最大限発揮でき、やりがいを感じられるようにする「インクルージョン(包摂)」の双方が相まって、初めて企業活動の活力向上を図ることができると考えられているのです。

海外では、テレビコマーシャル等の広告や商品を通じて、LGBTQを含めた「多様性」の尊重をメッセージとして訴えるものが数多く存在しています。例えば、アメリカのナイキ社はトランスジェンダーのアスリートを起用した広告を作成し話題を呼びました。また、企業トップや著名人によって、セクシュアリティのカミングアウトが行われることもごく一般的になっています。

このように、世界各国でダイバーシティ&インクルージョンの実現のためにさまざまな取り組みが行われています。以下では、日本企業の取り組み例をご紹介します。

ダイバーシティ・インクルージョン推進企業①~ANAグループ~

2015 年4 月、ANAグループは「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を発表。 女性をはじめ、障がい者、シニア、外国籍社員など多様な人財の活躍を推進するための専任組織を設け、 働き方改革の推進とともに、環境整備にも取り組んでいます。

【ダイバーシティ&インクルージョン宣言】

私たちは
・「ダイバーシティ&インクルージョン」を新しい価値創造(イノベーション)の源泉と考え、社員の多様性を大切にします。
・一人ひとりが自らの強みを存分に発揮でき、その強みを最大限活かす職場づくりに取り組みます。
・誰もがいきいきとやりがいを持って働くことで、揺るぎない信頼とたゆまぬ変革を生み出すANA グループを創ります。

※参照元:ダイバーシティ&インクルージョンの推進(ANA)

ダイバーシティ・インクルージョン推進企業②~富士通グループ~

富士通グループでは、企業指針「多様性を尊重し成長を支援します」に基づき、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」の取り組みを推進しています。個々の多様性を生かす「インクルージョン」に向けた取り組みをより力強く推進するための指針として、「Global D&I Vision & Inclusion Wheel」を策定しました。

【目標】
◎ありたい姿
多様性を尊重した責任ある事業活動(レスポンシブルビジネス)に取り組み、誰もが自分らしく活躍できる企業文化を醸成する。
個人のアイデンティティ、特に、性別、年齢、SOGI、民族・人種、健康・障がいに関わらず、誰もが違いを認めあい、活躍できるようにする。

◎2022年度目標
インクルーシブな企業文化の醸成

KPI :社員意識調査でのD&I関連設問の肯定回答率向上。連結66%→69% / 単体59%→63%
リーダーシップレベルにおける女性比率増。連結8%(2019年度)→10% / 単体6%(2019年度)→9%

※参照元:ダイバーシティ&インクルージョン(富士通)

LIFULLが取り組むダイバーシティとは

株式会社LIFULLも、ダイバーシティを推進する取り組みを実施しています。ここでは、LIFULLの事業を紹介します。

FRIENDLY DOOR

事業概要 LIFULL HOME’Sが実施する、国籍、年齢、性別などさまざまなバックグラウンドを持つ人と、相談に応じてくれる不動産会社をつなぐサービスです。
「同性同士だから」という理由で希望する住まいを借りることができない人が、LGBTQフレンドリーな不動産会社を探せます。LGBTQだけでなく外国人や高齢者、シングルマザー・ファザーに対しても、それぞれに親身になってくれる不動産会社を紹介できます。

LIFULL FaM

「子育て」と「仕事」をHAPPYに!をコンセプトに、育児中の母親が子育てと仕事を両立しながらスキルアップできる「ママの就労支援事業」を運営するサービスです。
子ども連れで出勤できるオフィスで仕事をしながら、Webマーケティング分野でスキルアップができる仕組み。オフィスに併設されたキッズスペースで、保育のスペシャリストが子どもを見守ってくれます。業務状況に合わせて、個人で自由に申告するシフト制の出勤も特徴です。

日本国内ではまだまだ課題の多いダイバーシティ社会の実現ですが、「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」の策定や「ダイバーシティ&インクルージョン」という考え方の浸透により、確実な変化が生まれています。
ダイバーシティの推進のためには、企業含め一人ひとりの理解や意識の向上が不可欠です。グローバル社会で生き抜く競争力を高めるために、またすべての人が自分らしく活躍できる社会をつくるために何ができるかを考え、行動していきましょう。

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