何気ない交流では価値創造できない、なんてない。【前編】

アフロマンス

革新的な催しで日本を盛り上げるアフロマンスさんが大事にしているのはワクワクすることと、何気ない人との関わりから生まれるノイズ。さまざまな人と交流を持つうちに見えてきたのは、拠点を持つということの必然性とそこから広がる可能性。自身も参加するLivingAnywhere Commons(リビング・エニウェア・コモンズ、LAC)への思いと新しい発想を生む秘訣(ひけつ)について伺った。
(2021年4月14日加筆修正)

インフラや情報サービスの発達で、買物や施設の予約、情報の検索などあらゆるものがネットで済むようになった。便利さが増す一方で、失われているものがあることに気付いているだろうか? それは本来の目的とは関係のない“不必要な”コミュニケーション。斬新なアイデアで日本中を沸かせる体験クリエイターのアフロマンスさんは、「異なるジャンルの人同士が直接会って交わす、何気ないやりとりにこそ新しい価値の創造に通じるヒントがある」と語る。多様な人との関係を深めたり、アイデアにつながる“ノイズ”を得る場のひとつとして注目しているのは、LivingAnywhere Commonsなどの地方拠点。人との交流や未知の体験を生み出す“場”を持つことで生まれる発想には、無限の可能性があるという。

自分がワクワクしていないと
人を楽しませることはできない

体験クリエイター、アフロマンスさんが企画するイベントはとても独創的だ。泡まみれになりながら踊る「泡パ®」を筆頭に、クラブミュージックに合わせて職人がマグロをさばいて振る舞う「マグロハウス®」、街中で巨大なウオータースライダーを楽しむ「スライド・ザ・シティ」など、ネーミングも内容も強烈なインパクトを残すものばかり。これらのオリジナリティーあふれるイベントは何を機に生まれたのだろうか?

「いろいろなイベントを行う中での気付きや試行錯誤が元で生まれたものもあれば、『面白い!』『自分がお客さんなら絶対に行く!』という直感でパッと形にしてしまったものもありますね。アイデアは普段自分がやっていることとは違うものに目を向けてみると、ふっと舞い降りてくることが多いです。映画を見たりマンガを読んだり旅をしたり、知人とか友人とか業種を問わずいろんな人と話してみたり。あとは面白そうなことがあれば、その場所にサッと行ってみる。そこで体感して得たヒントを自分の業界に持ってくると、唯一無二のものが生まれたりします」

2019年3月に東京・表参道で催された「SAKURA CHILL BAR(サクラチルバー)by佐賀」室内に設置された大きな桜の木の下にある、120万枚もの花びらが膝の高さまで敷き詰められた「桜プール」の中で、佐賀の日本酒や名産品のおつまみを楽しめる。

物づくりの原点は作ったもので人に喜んでもらうことだが、同時に大切にしているのは自分自身がワクワクすること。自分が楽しむことの必要性に気付いたきっかけは20代の時、普通のクラブイベントをやるのに飽きたと感じたことにある。

「イベントって非日常的な時間と場所を作るものなのに、やり方がルーティンになっていることに気付いてしまって。告知の仕方や“箱”の選び方、開催する時間帯も無意識なフォーマットに縛られていたんですよね。作っている側が飽きているものなんて、来ている人も飽きちゃうじゃないですか。イベントを作る側の自分も含めて、特別な体験が楽しめるものを打ち出していきたいと強く思うようになっていったんです」

地域のイベントを成功させるには地元の人のアイデアが不可欠

東京でヒットしたイベントを地方に持ち込む時に重要なのは、その地域に合わせてどうローカライズしていくか。そのために欠かせないのが地元の人たちとの連携だ。どんなに人気のコンテンツでも、都内と同じやり方をただ持ち込むだけでは絶対に成功しないという。

「イベントを分解すると運営も場所もステージも、全部人なんです。参加するのも現地の人が多いし、一緒にやる、現場に立つのも地元の人たち。彼らと一緒に場を作らないと、ちゃんと成立しない。どこまで踏み込むのかのさじ加減は難しいですが、地元の方たちでアイデアを広げてもらえる機会も多い。例えば静岡で泡フェスをやった時は、地元の学生たちが富士山と泡を掛け合わせたイメージのフォトブースを作ってくれて、広島では広島東洋カープのキャラクターを泡まみれするになんてアイデアも出ていた(笑)。そういう発想はやはり地元の人じゃないと出てこない。だからこそ同じタイトルのイベントでも毎回違った仕上がりになるし、イベントもブラッシュアップされていくわけで。こういった掛け算みたいなやりとりがすごく面白いんですよね」

クリエイティブな発想が広がる一方で、地方開催ならではのハードルもある。

「一番は物流。地方で泡フェスをやるにしても東京から全部機材を持っていかなきゃいけないし、ステージとか音響を毎回ゼロから組み立てるのって費用も掛かるし本当に大変。フェスの主催者が集まる会で、機材や業者をみんなでシェアしようという話を聞いたこともあります。各自がバラバラに用意するより、必要なものの情報をつないでエリアごとにシェアすることができたらいいねって。バスを改造して、どこでもイベントができるパッケージを作っちゃうのもアリですよね。一台で音響も照明もババッと揃ってどこでもやれる、みたいな。そういった移動式機材みたいなものを置いて、みんなでシェアできる場所もあれば、なお幅が広がるのではないでしょうか」

~何気ない交流では価値創造できない、なんてない。【後編】につづく~

撮影/尾藤能暢
取材・文/水嶋レモン

アフロマンス
Profile アフロマンス

体験クリエイター / クリエイティブディレクター / DJ

クリエイティブカンパニー「Afro&Co.」代表。アイデアと実現力で、新しい体験をつくるクリエイター、クリエイティブディレクター、DJ。

本名 中間理一郎。1985年鹿児島生まれ。京都大学建築学科卒。大学在学中に「アフロマンス」名義で活動をスタート。大手広告会社を経て、2015年、Afro&Co.のCEO兼クリエイターとして独立。

主な実績として、2012年に都内初の泡パーティーを開催し、メディアやSNSで大きな話題となり、全国に「泡パ」ムーブメントを起こす。その後、野外フェス 「泡フェス」の全国展開や、TOYOTA LEXUS、資生堂インテグレート、NMB48、チームしゃちほこ、GANTZ、とんかつDJアゲ太郎など、様々なブランド、アーティスト、コンテンツとコラボレーションし、話題となった。

さらに、スプライトのTV CMにも採用された街中を300mの巨大スライダーで滑る「Slide the City JAPAN」や、ハウスミュージックに合わせてマグロをさばく「マグロハウス」、 バスタブに浸かりながら映画を見るチルアウトイベント「BATHTUB CINEMA」の主催に加え、佐賀の日本酒をPRする120万枚の花びらに埋もれるチルアウトバー「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」や、東京喰種とコラボレーションした4万本の薔薇と血の美食を楽しむイマーシブレストラン「喰種レストラン」など、数々の体験型イベントを企画し、それぞれ大きな話題となる。

2020年、コロナ禍では、3月に発信した「#楽しいが必要だ」のメッセージが大きな反響を呼び、英語、中国語、スペイン語などに翻訳され、世界に広がった。また4月にはm-floの☆Taku Takahashiらと協力し、累計200万人以上が参加するオンライン音楽フェス 「BLOCK.FESTIVAL」を立ち上げ、5月にはキャラクターが配送する「キャラデリバリー」を企画、6月には車の中で楽しむ新しい音楽フェス「ドライブインフェス」を立ち上げるなど、コロナ禍においても、世の中を前向きにする企画を次々と実現している。

アフロマンス公式サイト:https://afromance.jp
Afro&Co.公式サイト:https://afroand.co/

twitter:https://twitter.com/afromance
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STORIES 2019/09/10 何気ない交流では価値創造できない、なんてない。【前編】