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STORIES 2019/09/19

何気ない交流では価値創造できない、なんてない。【後編】

アフロマンス

革新的な催しで日本を盛り上げるアフロマンスさんが大事にしているのはワクワクすることと、何気ない人との関わりから生まれるノイズ。さまざまな人と交流を持つうちに見えてきたのは、拠点を持つということの必然性とそこから広がる可能性。自身も参加するLivingAnywhere Commons(リビング・エニウェア・コモンズ、LAC)への思いと新しい発想を生む秘訣(ひけつ)について伺った。

インフラや情報サービスの発達で、買物や施設の予約、情報の検索などあらゆるものがネットで済むようになった。便利さが増す一方で、失われているものがあることに気付いているだろうか? それは本来の目的とは関係のない“不必要な”コミュニケーション。斬新なアイデアで日本中を沸かせるパーティークリエイターのアフロマンスさんは、「異なるジャンルの人同士が直接会って交わす、何気ないやりとりにこそ新しい価値の創造に通じるヒントがある」と語る。多様な人との関係を深めたり、アイデアにつながる“ノイズ”を得る場のひとつとして注目しているのは、LivingAnywhere Commonsなどの地方拠点。人との交流や未知の体験を生み出す“場”を持つことで生まれる発想には、無限の可能性があるという。

常識にとらわれず新しい体験を作れる人を
日本中に増やしたい

イベントで地方を回るうちに生まれた目標の一つはパーティーアカデミーを設立し、イベントをやりたいという人たちを日本全国に増やすこと。「常識にとらわれずに新しい体験を作れる人が地方にもたくさんいたらすごく楽しいと思いませんか?」とアフロマンスさんは瞳を輝かせる。

「自分で言うのは恥ずかしいんですけど、要はアフロマンスを100人作るというプロジェクトなんですよ(笑)。近年、アフロ&サポーターズというボランティアチームにイベントを手伝ってもらっているのですが、応募の3割は地方の方でみんな勉強会じゃないのに参加してくれている。その背景にはきっと何かを変えたいとか面白いことをやりたいという思いがある気がしていて。彼らが育っていくとワクワクも大きくなるし、一緒にコラボレーションしていくことで僕もいろいろなヒントを得ることができる。そういうときにLIFULLさんのLAC(LivingAnywhere Commons)のような地方拠点があると、地域の人ともより深い関わりができるような気がしています」

近年ではイベントや講演で地方に呼ばれ、地元の人たちとセッションすることも珍しくない。だが数時間のやりとりではセミナーなどの内容を地域に落とし込むまでに至らず、人を動かすには弱いと感じることもあったという。

「僕一人で面白いことをやるのには限界があるし、みんなでやらないとムーブメントは作れませんからね。そういった意味でも拠点的な場所があれば、『一晩泊まるから一緒にアイデアを出し合おう』とか『みんなで集まって何かやろうぜ』ということもやりやすくなる。ちゃんと仲間になれるし、一緒に考えて知恵を出し合った方が身になるじゃないですか。その結果、新しい価値が生まれて地域も盛り上がっていけば最高ですよね」


2017年に静岡県の清水マリンパークで開催された「泡フェス祭SHIZUOKA2017」

場所がないとシンプルに人に会うことができない

場所の重要性を語る背景にはネットなどのインフラやSNSの充実で効率化が進み、生活の導線が必要なものにしか出合わないような流れになっていることに対しての懸念もある。

「今までの生活にはもっと“ノイズ”があったんです。例えば服を買うには直接お店に行かなきゃならないし、お店に行くと店員と仲良くなっていつの間にか音楽の話になっていたり。レコード店に行ったらイベントの話になって『じゃ、今度一緒にやろう』みたいな。こういった偶然の出会いや衝突から生じるノイズがインスピレーションの元になっていた。生活が便利になるのはありがたいことですが、必要最小限のコミュニケーションしかないような環境下になっていくほど、新しい発想が生まれにくくなると思うんです」

大事なのはリアルな場所でのリアルな体験。SNSなどのネット上で共有された情報を見てわかった気になるのではなく、直接肌で触れてその場の空気を感じること。会話も「偶然会った知らない人とたまたま話す」くらいの方が面白いノイズに出合いやすいという。

「最近面白かったのは埼玉県志木市で開かれた『柳瀬川ブロックパーティー』。中学生がラーメン屋でDJイベントをオーガナイズするという内容なんですけど、地元のいろんな人たちが集まっていて。ラーメン食べに行くでも音楽を聞きに行くでもいいし、たまたま通りかかって入るでもいい。目的があってないような場だからこそ異なるカルチャーの人たちが混ざり合い、違う世界に触れる入り口となった。こういった未知の経験が今までにないワクワクを作り出す元につながっていくんだと思います」

多様な出会いが生み出すノイズが新しいワクワクを作り出す

集まる人も目的も問わない場での、予想もつかない掛け合わせから生まれる発想には無限の可能性がある。そんな未来のワクワクを生み出す拠点の一つになり得る、LACに対する期待について伺った。

「LACはコワーキングオフィスではあるけど、用途が一つに限られていないところがいいですよね。住むことも泊まることも働くこともできるし、気分で地域の人がお茶を飲みに来るかもしれない。前述の柳瀬川のイベントのように多様なものを合体させられる場だからこそ、いろんな人との出会いやノイズが絡まって新しいものが生み出される場になっていきそうですし。建物自体がプレーンな造りなので“箱”としての汎用性が広いところもいいんじゃないかと思います」

最後に好きなことを形にしたいという方へのアドバイスをいただいた。

まずは『〇〇だからこうすべき』という既成概念や、場所や結果に対する思い込みを捨てて、自分がワクワクすることを楽しむこと。例えばLACの利用に関しても『コワーキングスペースだから、こういうイベント』というような概念は取っ払って、パーティーでもフェスでも好きなことをやってみればいい。迷ったらそこで出会う人からアイデアをもらうのでもいいと思うんです。
あとは『何のためにやるか』という本質を見失わないこと。『いいね!』や集客といった数字に振り回されて方向性を見失ったり、途中で頓挫してしまっては本末転倒ですからね。大切なのは『自分がやりたいからやる』という思いと行動力。自分が作った何かで人が喜んでくれたら最高にうれしいし、そこに見返りなんていらないじゃないですか。もし失敗したとしても次への糧にすればいいだけ。本当の学びというのは経験からしか得られません。やりたいことがあって悶々としている方は、今すぐ動いて早く失敗した方がいい。行動や出会いを繰り返す中でヒントをつかんでいけば、成功にもぐんぐん近づいていけるはずですよ

撮影/尾藤能暢
取材・文/水嶋レモン

Profile アフロマンス

パーティークリエイター/クリエイティブディレクター/アーティスト/DJ

本名 中間理一郎。
1985年 鹿児島生まれ。京都大学建築学科在学中に「アフロマンス」の名義で活動をスタート。卒業後、2009年 株式会社博報堂プロダクツ入社。2015年独立。「世の中に、もっとワクワクを。」を企業理念に掲げ、体験分野のクリエイティブカンパニーAfro&Co. Inc.を立ち上げる。
既成概念にとらわれない自由な発想力と、前例がないアイデアを形にする実現力、体験を中心にクリエイティブからPR、SNSまで、さまざまな領域を網羅する企画力で、社会に新たな熱量を生み出す。
活動内容としては、2012年に都内初の泡パーティーを開催し、SNSやTVを通じて瞬く間に全国へと広がる。
パーティーブランド「泡パ®」として、TOYOTA LEXUSの広告キャンペーンや、映画「GANTZ:O」のPRイベントなど、さまざまな企業、自治体、コンテンツ、アーティストとコラボレーションを果たす。
その後、スプライトのTV CMにも採用された街中を300mの巨大スライダーで滑る「Slide the City JAPAN」や、28万人の応募が殺到したスカイランタンとチルアウト音楽を楽しむ絶景フェス「The Lantern Fest JAPAN」、平日朝6時半から踊る「早朝フェス®」や、ハウス音楽に合わせてマグロをさばく「マグロハウス®」など、数々の体験型イベントや音楽フェスを企画、主催。
さらに、SONYとコラボした巨大なスピーカー状の360度卓球「低音卓球」や、佐賀県とコラボした120万枚の桜の花びらに埋もれるチルアウトバー「SAKURA CHILL BAR by 佐賀」、映画「東京喰種S」の公開に合わせて企画した、血と薔薇をテーマにしたイマーシブレストラン「喰種レストラン」など、さまざまな企業や行政とコラボレーションし、新たな体験型イベントを作りだしている。

アフロマンス公式サイト http://afromance.net/

Afro&Co.公式サイト http://afroand.co/

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