マネージャーは現場に出ちゃいけない、なんてない。―LIFULLのリーダーたち―LIFULL HOME'S 戸建・注文事業CEO、Sufu事業CEO 増尾圭悟
2024年4月1日、ソーシャルエンタープライズとして事業を通して社会課題解決に取り組む株式会社LIFULLは、チーム経営の強化を目的に、新たなCxOおよび事業CEO・責任者就任を発表しました。性別や国籍を問わない多様な顔ぶれで、代表取締役社長の伊東祐司が掲げた「チーム経営」を力強く推進していきます。
シリーズ「LIFULLのリーダーたち」、今回はLIFULL HOME'S事業本部 戸建・注文事業CEO、Sufu事業CEOの増尾圭悟に話を聞きます。
LIFULLで4年6か月働いたのちに、「スポーツビジネスの現場を経験したい」と一度は退職した増尾圭悟。その後、LIFULLに再入社して、自らの目標達成に向けてLIFULLの新規事業というかたちで挑戦しています。今回は、子どもがスポーツをする環境の改善にかける思いと、新規事業立ち上げを経験した増尾だからこそできるLIFULL HOME'S事業の成長拡大を担う取り組みについて話を聞きます。
LIFULLが好きだから、LIFULLの仲間と新規事業を興すのもいいなと思ったんです。今はLIFULL HOME'S事業を大きくすることも、自分の使命です。
JリーグのチームからLIFULLに戻った理由
――これまでの増尾さんの職歴を教えてください。
大学生の頃から、スポーツの領域で事業を興したいと思っていました。大学4年生の時にサッカーJリーグクラブとプロ野球の球団でインターンをしたのですが、インターン終了後に「新卒でスポーツビジネスに進まないほうがいい」とアドバイスされました。スポーツビジネスの領域は新人の育成環境が整っていないため、まずは個人が成長できる民間企業で働いたほうがいいと言われたのです。
そこで就職活動をはじめて、ネクスト(現LIFULL)を知りました。選考が進むうちに、ビジョン(社是:利他主義、経営理念:常に革進することで、より多くの人々が心からの「安心」と「喜び」を得られる社会の仕組みを創る)とカルチャーに惹かれ、LIFULLで成長していけるイメージが湧いてきて入社を決めました。正直に言うと、将来はスポーツビジネスの現場に行くと決めていたので、LIFULLで長く働くつもりはありませんでした。
――結果として、増尾さんは今もLIFULLに在籍しています。
2009年にLIFULLに入社して、新築分譲マンション領域の営業職を経験しました。個性的な同期と同僚に囲まれて、仕事がおもしろかったんです。結局4年6か月働いて退職し、サッカーJリーグのクラブに転職しました。スポーツの領域で事業を興すために、現場を見ておく必要があると考えたためです。Jリーグクラブの現場で働き、2015年にLIFULLに戻りました。

――なぜ、LIFULLに戻ってきたのですか?
Jリーグのクラブに転職してから、運営と集客を担当しました。スポーツビジネスの中心に身を置いて、スポーツビジネスの構成要素や、スポーツビジネスの特異性を学びました。そして、自分で事業を興すための次のステップを考えていた時に、LIFULLの元上司が声をかけてくれました。当時のLIFULLは100社100か国戦略を掲げていて、「増尾がやりたい事業をLIFULLでやればいい」と言ってくれたんです。様々な選択肢の中で非常に悩みましたが、LIFULLが好きだし、LIFULLの仲間と一緒に事業を興すのもいいなと思って再入社しました。
LIFULLに戻ってからは、新築分譲マンション領域で営業マネージャーを経験しました。その後、当時の上司から「事業を興すためには、営業職以外の部署を経験したほうがいい」と言われて、分譲領域のプロダクト開発部に異動しました。
――増尾さんは、2020年にスポーツの現場で役立つ練習メニューやトレーニング方法を提供する「Sufu(スーフー)」を立ち上げましたね。
LIFULL HOME'Sでプロダクト開発を担当して、やりがいを感じていました。次々と新しい経験をして、自分が成長できている実感があったのです。ただ、このままだと自分がLIFULLに戻ってきた意味がなくなると感じました。
そこで、2019年に新規事業室を兼務して、2020年に「Sufu」を事業化しました。コロナ禍で人との接触が制限されていたので、オンラインで練習メニューを視聴できるサービスは、さまざまな方に受け入れられました。現在は「Sufu」の事業責任者とLIFULL HOME'Sの戸建・注文事業の責任者を兼任しています。
子どもの競技環境の不を解消したい
――増尾さんは、どんな思いで「Sufu」を立ち上げたのですか?
私の人生の目標は、マルチスポーツの文化を日本に根付かせることです。私は小・中・高校で野球をしていました。野球を選んだことに後悔はありませんが、小学生の時にサッカーもやりたかったのです。しかし、日本は単一種目主義で、一つの競技を突き詰める行為が美化されやすい傾向にあります。さらに、今の日本では小学生の時に複数の種目を経験できる環境が多くはありません。
この単一種目主義の環境を変え、純粋に子どもがやりたい競技を複数選べる環境がつくれたらと考えています。そんな環境が実現したら、各競技団体は子どもにプレーを続けてもらうために環境を整え、指導力の向上を目指す努力をするでしょう。結果として各種目で健全な競争が促進されて、子どもの競技環境が良くなると信じています。そのために、「Sufu」の事業を伸ばして、子どもの競技環境を変えていく活動をしたいと思っています。

「Sufu」を通して解決したいもう一つの課題が、部活動現場の現状です。私は、多くの先生が自分の専門種目以外の顧問をしているのを見てきました。この状況は、子どもも先生も不幸になってしまう可能性が高いです。ですから、「Sufu」を通して子どもたちだけで練習メニューを組み立ててPDCAを回せる仕組みをつくりたいと思っています。
LIFULL HOME'Sでも、ゼロイチの価値創造を
――LIFULL HOME'S事業本部戸建・注文事業の責任者として、これからの5年間で取り組みたいことを教えてください。
私は新規事業に携わる中でゼロイチの価値創造を経験し、考え方や動き方が変わってきたと感じています。このタイミングでLIFULL HOME'Sの戸建・注文住宅事業責任者を拝命したということは、LIFULL HOME'Sでの新たな価値創造を期待されているのだと理解しています。LIFULL HOME'S事業はここ数年成長が横ばいです。自分の力量を超える言葉ではありますが、LIFULL HOME'Sを立て直して、さらに大きくしていこうという使命感を持っています。
また、私が自分の上司に抜擢されて様々な経験をしてきたように、私も有望な人材を年齢や経験を問わず抜擢していきたいです。そのためには、LIFULL HOME'Sが再度成長軌道に乗り、新しいポジションの創出や新しい事業が創出されることが必要です。結果として、多様な人材が役職に就いて挑戦する機会が増えるので、LIFULL HOME'S事業の成長が本当に重要です。

――LIFULLは、事業を通じて社会課題解決に取り組む企業グループであることを明示しています。増尾さん自身は、事業を通してどんな社会課題を解決していきたいのですか?
注文住宅は不動産の中で唯一、物件(モノ)がないマーケットです。賃貸・中古・新築マーケットは掲載物件(モノ)があり、駅からの距離や間取り、価格などで比較検討ができますが、注文住宅は物件(モノ)がないため比較検討が非常に難しいです。そのため、他の不動産領域と比べてユーザーに知識が必要になります。注文住宅を建てる際には調べることが膨大にあり、正解はありません。こういった状況は注文住宅を検討している方にとって大きな課題だと思っています。LIFULL HOME'Sではそういったユーザーの不を解消する取り組みを積極的に進めていきます。
――増尾さんの「しなきゃ、なんてない。」は?
マネージャーは現場に出ちゃいけない、なんてない。一般的に、マネージャー職はマネジメントをするもので、一次情報への接点が減る役職ではないでしょうか。しかし、私は新規事業でゼロイチの価値創造を経験して、自ら一次情報を取りにいかないと課題の質、解決策の質がともに上がらないことを痛感しました。もちろん、基本的にはメンバーに任せますが、絶対に外せない戦略にかかわる仮説検証は、私が責任を負う意味も込めて自分からユーザーインタビューなどのUXリサーチを実施しています。
取材・執筆:石川 歩
撮影:白松 清之
2009年新卒入社。「LIFULL HOME'S」新築分譲マンション領域において法人営業・グループ長を経験した後、サッカーJリーグクラブへ転職。 2015年1月にLIFULLへ戻り、営業・ものづくり組織の両責任者を兼任。並行して、転職前に新規事業提案制度「SWITCH」で提案していた事業案をブラッシュアップし、社長に直談判。現在は、スポーツ指導における課題解決を図る新規事業「Sufu」の責任者と、2024年4月からは「LIFULL HOME'S」事業の戸建・注文事業CEOも務める
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