家族はこうじゃなきゃ、なんてない。4組の家族が語る「うちのはなし」。

「しなきゃ」と思って暮らしてた。~エンタメから学ぶ「しなきゃ、なんてない。」~

「あなたにとって家族とは何ですか?」そう問われたら、どう答えるだろうか。何度か人に尋ねたことはあるが、いざ自分が聞かれたらうまく答えられる気がしない。

血のつながっている人、一緒に暮らしている人…。さまざまな定義があるが、どれもいまいちしっくりこない。

LIFULLでは、人それぞれな家族の在り方を紐解く映像作品『うちのはなし「家族は必要?」から考える、自分らしく生きること』を制作した。日本に暮らす4つの家族のストーリーから、現代における「家族とは?」を考える。

ショートフィルム「うちのはなし」概要

大切な家族の和

一つ目の家族は、石川県で農業を営むたけもと家。大学卒業と同時に農業を継いだ竹本彰吾さん。彰吾さんの父、敏晴さんは自分が繰り返し言われた「農業をやれ」といった言葉を嫌がり、息子である彰吾さんには農家を継ぐというプレッシャーをかけないようにしようと心の中では思っていたという。しかし、結果として農業を継ぐことになった彰吾さん。

家族同士のコミュニケーションは、家族ならではの難しさがある。「なんとなくわかるだろう」といった思い込みから、仕事上の会話でも言葉足らずになりがちだという。そんな場面を支えるのが、彰吾さんの妻、里奈さんだ。「嫁」として家事をしたり、過剰に義父母に気を遣う訳ではなく、家族の和を繋ぐ重要な存在となっている。一見、古風な農家の一家に見えるたけもと家の会話からは、互いが心地よく家族でいるための在り方を感じることができる。

家族の証を探して

左手の薬指にはシルバーのリングが光る。二つ目の家族は、大輔さんと健太さんカップルだ。大輔さんの一目惚れから始まった2人の交際。2022年4月には東京都北区にて「パートナーシップ宣誓」第2号となった。

撮影当時、東京都ではパートナーシップ宣誓ができる自治体は15個だった(※1)。区を跨いだ引っ越しをすれば、2人はそのたびに「他人」同士に戻ってしまう。離婚したわけではないのに、引越しのたびにやらなければならないパートナーシップ制度は、手続きそのものの煩雑さもさることながら、心理的なダメージが大きいと語る。

かつては、自分が家族を持つことを想像できなかったと語る健太さんはいま、大輔さんと共に暮らし、大輔さんの作った焼きそばを美味しそうに頬張る。結婚というものを通して形成される家族の形は、これからどのように変化していくのだろうか。

※2022年6月15日、2022年11月1日より「東京都パートナーシップ宣誓制度」が開始されることが決定した。

面倒くささの先にある家族のかたち

渋谷区、都会の中に、ある大家族が暮らしている。 彼らが暮らすのはCiftと呼ばれる、シェアハウスだ。血縁家族ではないさまざまな人々が、「今日から家族です」というように、そこに暮らすことで家族という関係性を結ぶ。「拡張家族」という概念を掲げる彼らの家には0歳から60代まで、幅広い世代の人々が暮らしている。

Ciftで暮らす俳優の佳川さんは、「家族観の違う人たちと家族になるのが面白い」と語る。100人いれば100通りの家族経験があり、それぞれの頭の中にある家族像は異なる。

そんな人々が共に暮らすのだから、間違いなく「面倒臭い」。しかし、ここに暮らす人々はそれを楽しみ、家族とは一体何なのかを模索している。Ciftに住むWebディレクターのスズキさんは離婚経験者。「結婚したから家族、離婚したから家族ではない。それは書面上のやりとりだけのことです。家族とは何だろうと確かめるためにCiftに入ったのかも」と語る。面倒臭さの先にある家族の面白さを感じられそうな環境だ。

ほどよい家族の距離

最後の家族は島根県で生活する松葉夫妻。結婚から50年近く、家族であり、ビジネスパートナーでもある。同じ職場で仕事をした後、2人はにこやかに別々の家へ帰る。約20年間、同じ街の中で別居暮らしをしているそうだ。

「あなたと私はもともと他人」そう語る松葉大吉さんに、妻の登美さんは笑顔で答える。別居が始まったのには、登美さんが昔から叶えたかった夢があるからだ。自分のやりたいことに向かって躊躇なく別居を決めたという。

別々の家で暮らしていても、繋がりを持ったままでその生活を楽しむ2人の姿からは新しい家族の在り方が見てとれる。「同じ屋根の下で暮らすべきかもしれないけれど、同じ空気を吸っても苦しくなる時がある」。そんな価値観のもと、既成概念から抜け出した2人の生活は楽しそうだ。

「家族は必要」ですか?


この問いに対して、9割以上の人が「必要」と答えている。では、その時に頭に浮かんでいる「家族」とは? この動画に登場した4組だけでも、家族観はバラバラだ。家族とは一体何なのか、そして家族と心地よく付き合っていくためにはどうしたらいいのか。そんなことを考えるヒントとして、『うちのはなし「家族は必要?」から考える、自分らしく生きること』を覗いてみてほしい。

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執筆:白鳥 菜都

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