【LIFULL調査 vol.3】コロナ禍で見えた6つの「しなきゃ、なんてない。」と、これからの暮らし
昨今のコロナ禍では、多くの人が日々の暮らしに大きな影響を受けたが、その変化は私たちの中に、既成概念の変化と新たな価値観をもたらした。どんな既成概念が崩れ、私たちの中にどんな新しい価値観が生まれつつあるのか。LIFULLが5月末に実施した「新しい暮らしへの兆し調査」により見えてきた、
①「毎日オフィスに行かなきゃ、なんてない。」
②「住まいは利便性さえ良ければいい、なんてない。」
③「出かけないと楽しく過ごせない、なんてない。」
④「健康は自分で管理できない、なんてない。」
⑤「家族より仕事を優先するのが当然、なんてない。」
⑥「男性の家事・育児参加は進まない、なんてない。」
といった、6つの新しい価値観である「しなきゃ、なんてない。」についてレポートする。
新型コロナウイルスが流行し出してから、私たちの暮らしは大きく変わった。特に、3~5月にかけてほぼ全国で実施された小学校・中学校・高等学校の休校措置や、4月に出された緊急事態宣言による影響は大きく、多くの人が暮らしの変化を実感した。「新しい暮らしへの兆し調査」(5月末LIFULL実施)によれば、全体の約8割が暮らしの変化を実感した。
しかし、変化はネガティブなものに留まらず、コロナ禍を通して、在宅勤務やオンライン授業など、これまで経験したことがなかったことを多くの人が経験した。その結果、「会社には出社しなくてはいけない」「職場の近くに住むのが楽」「家庭より仕事を優先するのはやむをえない」…そんな、多くの人が当たり前のように思っていた既成概念が大きく崩れ、新しい生活スタイルが次々と生まれつつある。
①毎日オフィスに行かなきゃ、なんてない。
・思ったより在宅勤務でも仕事が進むことが分かった。(40代男性)
・通勤時間を家事や家族との時間に使える。(30代女性)
・どこにいても仕事はできるということが共通認識になってきた。(60代男性)
在宅勤務の導入が一気に進んだ。通勤への疑問も
コロナ禍では、多くの職場がスタッフの出勤日を減らしたり、在宅勤務を取り入れたりすることを余儀なくされた。その結果、「思ったより在宅勤務でも仕事が進むことが分かった」(40代男性)等、オフィスに行かなくても仕事できるということを多くの人が身をもって経験したのだ。さらには、「対人のストレスが減った」(40代女性)、「仕事に集中でき、効率が上がった」(20代女性)等、在宅勤務ならではの良さを実感した人も多くいた。「物理的に場所を共有していなくても、コミュニケーションや仕事はできると感じた」人は全体で39.7%となり、18~29歳の年代においては54.7%に上った。
また、通勤する必要がなくなった影響も大きかった。「通勤時間を家事や家族との時間に使える」(30代女性)等、通勤がなくなればその時間を有効活用できるということを多くの人が実感した。
出勤日が減少したことで、「仕事の精選をした」(40代男性)、「会議が効率的になった」(30代男性)といった声もあった。これまでは毎日オフィスに行き、会議に出席するということ自体が「仕事」と認識されていたかもしれないが、コロナ禍をきっかけに、仕事というもの自体が見直されている。
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②住まいは利便性さえ良ければいい、なんてない。
・在宅勤務が増えて自分の部屋が欲しくなった。(40代男性)
・以前は、高くても職場の近くで通いやすいところがよいと考えていたが、郊外でゆっくり暮らしたいと思うようになった。(20代女性)
快適さ、広さ、働ける環境が、住まい選びの重要項目に
コロナ禍においては、自宅にいる時間が増加し、「自宅が生活の中心であることを改めて感じた」人は全体で57.3%に上った。外出の機会が減ったことで、利便性の優先順位は下がり、代わりに「長時間いても気持ちよく過ごせる快適さ」、「家族でストレスなく過ごせる広さ」、「在宅勤務できる環境」が住まいの重要項目となった。
時間ができたことで掃除や片付けに励み、「物を整理して部屋が広くなった」(40代男性)等、今住んでいる家で快適さを確保した人もいた。一方で、「自宅で仕事をする事になったら、もう少し広さが必要だと感じた」(30代女性)等、住み替えを検討し始めた人もいた。「郊外や広い家への引っ越しを検討した」人は、全体では5.7%と少ないが、18~29歳男性では17.5%と、一定数がコロナ禍をきっかけに引っ越しを検討していた。
今後、住まい選びがどの程度変わっていくかは、在宅勤務やリモートワークがどこまで定着するかに左右される。多くの人にとって「どこでも働ける」という条件が整えば、オフィスの場所に関わらず住む場所を選択できるようになる。そうなれば、以前はフリーランスや実業家など、一部の人にしか実現が難しかった都市と地方、国内と海外の「二拠点居住」や「多拠点居住」といった暮らし方も可能になる。今後は、一般の人にとっての「住まい」の考え方自体が大きく変わっていくのではないだろうか。
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③出かけないと楽しく過ごせない、なんてない。
・時間がたっぷりできて、かなり庭いじりができるようになった。(70代女性)
・音楽や映画のサブスクリプションサービスを契約。その他新しいことへ関心が増えた。(20代男性)
・これまでは地方在住なのでイベントに参加しにくかったが、オンライン配信が多くなったのが良かった。(40代男性)
自宅で新たな趣味を模索。「自宅で楽しむ」がキーワードに
コロナ禍ではステイホームが求められ、旅行ができなくなった。さらには、様々なイベントや趣味の習い事、サークル活動なども中止となった。そのため、多くの人が家で楽しめる趣味を模索した。
利用した人がもっとも多かったと思われるのは、動画サービスである。「動画のサブスクリプションサービス(Netflix 、Hulu、Prime Video など)を観ることが増えた」人は全体で30.3%に上り、18~29歳では55.3%と、2人に1人以上で動画のサブスクサービスの利用が増えている。さらには、ガーデニングや草むしり、模型作り、近所での散歩など、新たな趣味を見つけた人もいた。「この機会に新しく趣味を始めることを検討した」人は、全体で20.7%、18~29歳ではもっとも多く41.2%となっている。特にガーデニングに関しては、「観葉植物を栽培する趣味に目覚め植物の成長する姿を見るのが日々楽しく現在に至ります」(50代男性)をいう声もあるように、コロナ禍をきっかけにはまった人が一定数いたようである。
また、「ヨガスタジオが閉鎖されたので、自宅でヨガをするようになった」(40代女性)、「麻雀をパソコンで実施」(50代男性)等、以前は外で行っていた趣味を自宅で実施した人もいた。「ネットでのコンサートが行われるようになった」(20代女性)等、新たに広がった楽しみ方を楽しんだ人もいた。
自粛生活によりやむを得ず取り組んだ自宅での趣味だが、その中で新たな楽しみ方を見つけた人も多い。今後も、自宅でできる趣味は拡大していくのではないだろうか。
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④健康は自分で管理できない、なんてない。
・免疫力を高めるため、健康的な生活をすることが通常になった。簡単には病院に行けないので。(70代女性)
・健康を維持するために自宅で運動をする機会(時間)が多くなり、体調が良くなりました。(60代男性)
健康意識が急上昇。自分で管理する意識が高まった
コロナ禍によって多くの人が健康は当たり前ではないということに気づき、健康面や衛生面を意識するようになった。「日常生活における衛生意識が高まったと思う」人は全体で78.5%、「健康増進への意識が高まったと思う」人は全体では62.4%で、70代ではそれぞれ85.4%、72.3%に上った。「手洗い・うがいなどの清潔さを保つ習慣が身についた」も全体で76.3%で、70代では83%となっており、日々の行動でウイルス感染を防ごうという意識の定着が見られた。特に高齢者を中心に、コロナウイルス感染に対する危機感から衛生意識がかなり高まったことが伺える。
予防意識から、健康的な生活を送ろうという意識の高まりも見られた。「より規則正しい生活をし、健康維持できるように努力した」(50代女性)、「家でのストレッチ、軽いウオーキングが習慣化した」(70代女性)等、健康を自己管理しようとする動きが見られた。その結果、体調を崩しにくくなるなど、自己管理することの効果を実感した人もいた。自己管理が広まった背景には、スポーツジムが閉鎖されたことや、簡単に病院に行けないことが影響していた。
健康や衛生面での意識が高まっている今、自己管理はこれからも大切なキーワードになっていくだろう。
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老人ホーム・高齢者住宅検索サイト「LIFULL介護」をはじめ、高齢者に関わる全ての人たちが笑顔あふれる社会をつくります。
⑤家族より仕事を優先するのが当然、なんてない。
・何気ない会話や一つの話題に対して話し合うことが今まで以上に増えた。(20代男性)
・コロナ禍前は、大学生で離れて暮らしている子供達と、用事が無ければ連絡をしていなかったが、健康確認の為、週一でビデオ通話をするようになった。(50代女性)
・コロナで亡くなる人がいて、いつ自分や家族もそうなるかもしれないと思うと、今を大切にしたいと思った。(60代女性)
一緒にいる時間が増え、家族の大切さに改めて気づく
コロナ禍においては、半ば強制的に、大半の時間を自宅で家族と一緒に過ごすようになった。それにより、「一緒にゲームをしたり、散歩に行くなど楽しい時間をもつことができた」(30代女性)、「家族一致団結力が上がった」(40代女性)、「会話が増えた」(40代男性)等、家族とのコミュニケーションが増加した様子が伺えた。
また、コロナに対する不安感から家族の大切さを改めて実感した様子も見られた。「いつどうなるかわからないと思ったので、大事な話を後回しにしなくなった。なるべく一緒にいるようにした。」(40代女性)といった声が見られ、「家族やパートナーとの時間を以前よりも大切にしようと思った」人は全体で54.4%に上った。
コロナ禍において、離れたところに住む家族と直接会うことは難しくなったが、「電話やメールやラインなどで連絡の回数が増えた」(60代女性)等、コミュニケーションはかえって増加した様子が伺えた。「離れている実家にもオンラインで気軽に帰省できた」という人は全体では11.1%にとどまったが、18~29歳では22.3%となり、一定数がオンライン帰省を経験していた。
今回、家族との時間を大切にした生き方が実現できたことで、今後もそうした動きは続いていくのではないだろうか。
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⑥男性の家事・育児参加は進まない、なんてない。
・これまでは休日に育児を頑張っていたが、毎日コンスタントに育児を頑張るようになった。(40代男性)
・学校が休校で孫を預り、簡単な勉強も教えた。(70代男性)
自宅にいる時間が増え、自然と家事・育児に参加するように
コロナ禍において、男性も在宅勤務で自宅にいる時間が増え、自然と家事・育児に参加するようになったケースが多く見られた。「子どもと一緒にいる時間が多くなり、色々話すことが増えた」(40代男性)等、子どもとの触れ合いが増えたほか、「在宅での仕事の合間をぬって家事育児を行う」(30代男性)、「家事分担を気遣いしなくても全員動くようになった」(40代男性)等、家事・育児に主体的に関わった様子が伺える。
行動の変化は意識の変化にもつながり、「ワークライフバランスを整えようという意識が高まった」人は、18~29歳男性で55.1%、30代男性で49.1%に上った。
コロナ禍において男性の家事・育児への参加が一気に進んだ事実は、今後も大きな意味を持つだろう。在宅勤務やリモートワークが今後も定着すれば、夫婦で家事・育児を分担することが容易になり、より自然な形で女性の社会進出も進んでいくのではないだろうか。
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LIFULL FaMは、「子育ても仕事もハッピーに。」をコンセプトに、 ママが子どもと一緒に働けるオフィスの運営をしています。
コロナ後はこうなる、なんてない―。最後に言えることはこれかもしれない。コロナ禍をきっかけにこれまでの既成概念が崩され、「仕事」「学び」「住まい」を始め、あらゆることのあり方が問い直されるようになった。しかしそこに、「新しい暮らしはこうあるべきだ」という正解はない。一人ひとり正解は異なり、自分に合った暮らしを模索していくことになる。その可能性がより広がるきっかけを、コロナ禍がもたらしたといってもいいのではないだろうか。
調査概要
- 調査実施日
- 2020年5月26日(火)~2020年5月28日(木)
- スクリーニング調査
- 18~79歳男女 20,000s
- 本調査
- 18~79歳男女、スクリーニング調査で「コロナ禍以降の暮らしは以前と比べて変化する」と思うと回答した方から抽出 927s
- 調査手法
- インターネット調査
編集協力/IDEAS FOR GOOD
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