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#エンパワーメント

近年、エンパワーメントという言葉をよく耳にするようになりました。この記事は、エンパワーメントについて、UN Womenと国連グローバル・コンパクトが共同で策定したWEPsとは何か、WEPsを活用する企業のメリットなどについて解説します。

エンパワーメントとは

エンパワーメント(Empowerment)とは、「権限を持たせる」という意味で、そこから派生して自信を与える、力をつけるといった意味でも使われています。もともとは法律用語で、1960年代から社会変革運動の概念へと変化し、ジェンダー問題や教育問題、社会福祉の分野でも使われるようになりました。ビジネスでは権限委譲を意味する言葉として使われ、現場に権限を与えて従業員の自主的な行動を促します。エンパワーメントという概念は、さまざまな定義を含んでいます。

※参照元:エンパワーメント(Empowerment)エンパワーメント概念の潮流と戦略的エンパワーメント政策の弊害|人文科学研究所月報246号

ジェンダー平等とエンパワーメント

関西大学の久保田真弓教授の論文「エンパワーメントに見るジェンダー平等と公正」では、先行研究から人権の問題としてエンパワーメントを見る場合、以下の5つの特性があると記しています。

1. エンパワーメントを必要とする対象者は、「力の欠如状態」にある。
2. エンパワーメントは、結果ではなく、過程を見ていくことが重要である。
3. エンパワーメントの過程には、心理的な要素から、社会、政治、経済的要素も含まれており、究極的には、社会変革をめざすものである。
4. エンパワーメントの対象は、個人だけでなく集団も含む。
5. エンパワーメントを促進させるには、適宜、介入が必要である。

現代では、人種や民族、性別、年齢などを理由に、自分の持てる知力や能力が自由に発揮できない社会や国家があるとすれば、それは人権を侵していることになります。つまり、エンパワーメントは、人権の尊重とも密接に関わる問題なのです。

国連は、90年代に女性の権利とエンパワーメントについて盛んに議論をしています。そして、2015年の国連サミットで世界中が抱えるさまざまな課題を地球規模で解決するための目標「SDGs(持続可能な開発目標)」が策定されました。SDGsには17の目標が定められていて、その中には「ジェンダー平等を実現しよう」という目標があり、女性のエンパワーメントについて触れられています。

また、1995年に北京で開かれた、第4回世界女性会議(北京女性会議)でも議題に挙がり、女性のエンパワーメントに関する行動綱領が策定され、大きく前進しました。北京女性会議で締結された内容は、「人種、年齢、言語、民族、文化、宗教、障がいなどを理由に、人権および基本的自由の平等な権利を阻害してはならない」というものでした。

※参照元:北京女性会議(1995年) – ヒューライツ大阪(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター)

女性のエンパワーメント推進に向けた日本の取り組み

SDGsは、女性に対するあらゆる形の差別を撤廃し、女性が男性と同じように、政治や経済活動に参画できるように世界中で取り組む目標です。男女間の平等を促進することと、女性のエンパワーメントは国連活動の中核をなすものです。また同時に、ジェンダーの平等や女性のエンパワーメントは、SDGsを実現するためになくてはなりません。

女性が男性と同様に高い教育を受けられ、社会で平等に雇用されることは、女性の地位向上のためには重要です。日本における取り組みの代表的な例として、2015年9月27日に行われた「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関するグローバル・リーダーズ会合」が挙げられます。この会合において、安倍元総理は以下のように述べました。

「私は総理就任以来、女性の輝く社会の実現を、政策の大きな柱に据えてきました。その結果、この約3年間で、新たに90万人を超える女性が労働市場に参加しました。
2020年までに社会の指導的地位の約3割を女性が占めることを目標に掲げ、まずは政府が率先して行動し、既に国家公務員総合職の新規採用は3割以上が女性となりました」

※引用元:【確定和文】9月27日グローバルリーダーズ会合総理スピーチ

また、政府は女性活躍推進法を制定し、女性のエンパワーメントを後押ししてきました。これにより、男女が共に仕事や家事・育児を担うことが当たり前の社会をつくり、世界に先駆けて少子高齢化社会の課題解決を実現するとしています。日本はUN Women(国連女性機関)をはじめとする、国際社会との連携を深めていきながら、「21世紀こそ女性に対する人権侵害のない時代とするため、世界をリードしていく」という決意を固めています。

※参照元:日本のジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関するコミットメント | UN Women – 日本事務所

女性のエンパワーメント原則(WEPs)の概要

WEPsとはWomen’s Empowerment Principlesの略で、「女性のエンパワーメント原則」と呼ばれています。2010年にUN Womenと国連グローバル・コンパクトが共同で策定しました。

WEPとは女性の活躍推進に積極的に取り組むための行動原則のことで、以下の7つが定められています。

1. トップのリーダーシップによるジェンダー平等の促進
2. 機会の均等、インクルージョン、差別の撤廃
3. 健康、安全、暴力の撤廃
4. 教育と研修
5. 事業開発、サプライチェーン、マーケティング活動
6. 地域におけるリーダーシップと参画
7. 透明性、成果の測定、報告

WEPsは、女性のエンパワーメント推進を企業経営の核として位置づけ、実践するための国際的な原則として活用されることが期待されています。女性の活躍とジェンダー平等は、ビジネス発展のカギとされており、WEPs活用のメリットとして社員満足度や生産性の向上、新しいビジネスチャンスの獲得などがあります。

ビジネス創出を促すWEPsの特徴

企業のビジネス活動と事業成長を促進するWEPsには、次のような3つの特徴があります。

1.職場や地域において男女平等を推進し、取引先を含め地域と一致協力して取り組みます。従来の平等推進というと従業員の待遇の均等化など、社内の取り組みがほとんどでした。WEPsは社内外に関係なく、関連するすべての企業や団体、政府まで巻き込んで推進していくものです。
2.以前から女性が少なかった職種に、WEPsは積極的に女性を参画させる取り組みを行います。
3.WEPsを使って、企業の経営方針や成果をジェンダー平等推進の観点から評価します。WEPsを自社だけでなく、他社と比較するための指標として活用します。

WEPsに賛同し、署名している日本企業は、2020年4月現在で252社あります。

国際的なムーブメント「HeForShe」とは?

「HeForShe」(ヒーフォーシー)は、UN Womenによる、ジェンダー平等のための社会連帯運動です。2014年にUN Women親善大使に就任した女優のエマ・ワトソンと、潘基文国連事務総長(当時)が発表しました。

これまで、ジェンダー平等への取り組みは女性が中心になってアクションを促してきたという認識でした。しかし、この運動はジェンダー平等を達成するには男性を含めたすべての人たちが取り組むことが重要であり、すべての人々に関わる問題だとして、ジェンダー平等と女性の権利の実現を目指しています。

幼い頃からジェンダーギャップを感じていたエマ・ワトソンは、「男女ともに繊細でいられる自由があり、男女ともに強くいられる自由がある」と述べ、HeForSheを推進しています。

※参照元:“HeForShe” すべての人がジェンダー平等実現に向けてできること
ジェンダー平等を実現するつながり:HeForShe | UN Women – 日本事務所
Movement | HeForShe

ビジネス・経営における「エンパワーメント」とは

ビジネスにおけるエンパワーメントの特徴は、「自立性を促し、支援する」ことにあります。筑波大学の国際発達ケア:エンパワーメント科学研究室では、エンパワーメントを「湧活(ゆうかつ)」と和訳しています。「湧活」とは、人が生きるための力を湧き出させるという意味です。

本来、人は誰でも素晴らしい力を持っているはずです。その力を発揮すればみんなが幸せになり、よりよい社会が構築されるはずです。この生命力ともいうべき活力を、湧き出させるのが湧活なのです。この力を余すところなく活用すれば、医療や福祉の現場でも、企業においてもすべてが活性化して、新たな価値の創造につながるでしょう。

企業の活性化は、顧客満足度の向上にも貢献します。このようにエンパワーメントの活用は、企業に大きなメリットをもたらします。現場からの改善提案が挙がれば、企業にとって有益な改善が図れるなど、企業そのものが根本的に変わっていくことが期待できるでしょう。

※参照元:国際発達ケア:エンパワメント科学研究室

エンパワーメントを推進するLIFULLの取り組み

株式会社LIFULLも、さまざまな事業でエンパワーメントを推進する取り組みを行っています。

LIFULL FaM

子育て中の母親が子どもと一緒に働けるオフィスの運営をしています。子育て中の女性が働きやすい環境をつくることで、能力開花・ジェンダー平等の機会を提供しています。

FRIENDLY DOOR

LGBTQ(セクシュアルマイノリティの総称のひとつ)や外国籍など多様なバックグラウンドを持った人に対しても相談に乗ってくれる不動産会社と、それぞれの事情で住まいを借りづらい人たちをつなぐサービスです。“住宅弱者”の方が住宅を得やすくなることで、社会に参画していくための生活基盤を整えることに貢献しています。

えらんでエール

LIFULLを通じて物件の問い合わせをした人に対してアンケートを取り、LIFULL HOME’SがDV被害者やホームレスなど社会的支援をしている団体に寄付を行います。
DV被害者やホームレスなど、社会的弱者の方への支援を行うことで、さまざまな立場の人々が生活しやすい社会の実現に貢献しています。

エンパワーメント推進は、ジェンダー平等の実現とともに非常に重要な問題で、社会を挙げて取り組むべき課題です。また、社会変革だけでなく、ビジネスの分野においても注目されています。日本政府は女性活躍推進法を制定し、女性のエンパワーメントを後押ししています。これからの社会や企業の取り組みに注目してみてはいかがでしょうか。

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