シンガーソングライター・崎山蒼志を知るための10のポイント【止まった時代を動かす、若き才能 B面】

あしたメディア×LIFULL STORIES共同企画

2019年末から世界を侵食し、今なお我々を蝕むコロナ禍。失われた多くの命や、止まってしまった経済活動、浮き彫りになった価値観の衝突など、暗いニュースが多い現在。しかし、そんな閉塞的な空気の漂う今でも、むしろ今だからこそ、さらに自身のクリエイティビティを輝かせ、未来を作っていく素敵な才能を持つ若者たちが存在する。

既成概念にとらわれない多様な暮らし・人生を応援する「LIFULL STORIES」と、社会を前進させるヒトやコトをピックアップする「あしたメディア by BIGLOBE」は、そんな才能の持ち主に着目し、彼ら/彼女らの意志や行動から、この時代を生き抜く勇気とヒントを見つけるインタビュー連載共同企画「止まった時代を動かす、若き才能」 を実施。

A面では、その才能を支える過去や活動への思いを、B面では、表舞台での活躍の裏側にある日々の生活や、その個性を理解するための10のポイントを質問した。

A面はこちらから→便利な時代こそ“わからないこと”を大切にしたい|シンガーソングライター・崎山蒼志

音楽に向き合い、常に新しい自分自身の音楽を探求し続けるシンガーソングライター・崎山蒼志さん。11答で紐解く「崎山蒼志を知るための10のポイント」

崎山蒼志を知るための10のポイント

1.小学生のときの夢は「漫画家」

小学生のときの夢は漫画家でした。全ての職種の方々を尊敬していますが、漫画家はそのなかでも憧れというか。監督のような側面もありつつ、自分で絵を描き物語も作って、すごい職業だと思っています。小学生のときは、自作の「偽『ONE PIECE』」のような漫画を自由帳に描いていました。週刊少年ジャンプの「巻頭カラー」にも憧れていて、この間実家に帰ったときには自由帳に描かれたカラーの見開きページもいくつも見つけました。でも全部、その次のページに「この漫画はやめます」って書かれていて(笑)。集中力がなさすぎたんですよね。その点、いまも続けられている音楽の方を選んで良かったかもしれません。

2.立ち食いそば屋にいる自分に、大人を感じる

もうすぐ20歳になりますが、思っていたよりも大人っぽくなっていないように感じています(※)。この間も子どもたちと触れ合う機会があったのですが、めちゃめちゃ話しが合って、友達みたいに感じました。20歳になっても、自分には子どものままの部分がすごくあるなと感じます。

ただ、1人で飲食店に行くときなどには、大人になったなとも思いますね。とくに感じるのは、立ち食い蕎麦屋です。子どものときは「立って食べちゃダメでしょ」って言われるじゃないですか。食券買って立ち食いって、大人ですよね(笑)。

20歳の誕生日を迎える直前に取材を実施。

3.尊敬する人はたくさん。「向井秀徳さんは大事な人です」

尊敬をしている人、これまで影響を受けた人はたくさんいます。ですが、その中でも石崎ひゅーいさんと七尾旅人さんの存在は大きいです。あと、堂島孝平さん。人柄も含めて、めちゃめちゃ尊敬しています。あとは尾崎世界観さんとあと、向井秀徳さん。向井秀徳さんはとても大事な人ですね。

4.自分では知ることができない「ほかの人生」。その存在にエモさを感じる

馴染みのない場所に出合ったときにこそ感じる「エモさ」も好きです。関西に行くとちょっと時間がゆっくり流れている感じがしますし、東京はちょっとせわしない感じがします。それぞれの土地の空気感があるんですよね。暑い季節に知らない場所に行くと、突然「こういうところにも、めちゃめちゃ夏があるんだ」とはっと気づくことがあって。僕がまだ知らない、そして知らないまま死んでいってしまうであろうエモい瞬間が地球上にはいっぱいあるんだなと感じるんです。僕が決して知ることのできない色々な日々、人生があるなあって。そういうときに感じたことを曲にすることもありますね。

駅など人が集まる場所もすごく好きです。持っている時間の速度や価値観が違う人間が一斉に集まっているのって、すごいことじゃないですか?人が多く集まっている場所に身を置いて、みんな11人違うということに気づいたときに、なんだか時空が歪んで感覚が乱れる感じがするんですよね。そこにいる人とすごく話してみたいような気持ちになることもあります。それで話しかけるということはありませんが(笑)。

5.1番の気分転換は、地元に帰ること

落ち込んだときは、意外と音楽に触れないんです。アニメやホラー映画など、没入感のあるものを見て時間を過ごすことが多いです。あとYouTubeも見ています。見ていて内容が入ってくるような来ないような、そんな感じがちょうど良いこともあります。さらっと見られて、笑うところで笑えて、元気をもらえるみたいな。いまっぽい感覚かもしれません。

気分転換をしたいとき、1番良いのは地元の浜松に帰ることです。自分が入れ替わる感じがしますね。あと身近なことだとお風呂も好きです。アニメの『エヴァンゲリオン』が好きなんですが、ミサトさんというキャラクターが言っている「お風呂は命の洗濯よ」という言葉を日々痛感してます。

6.片付けは苦手だけれど、1人暮らしは楽しい

昨年から1人暮らしを始めました。大変です。片付けが本当に得意じゃなくて。あと、ご飯も大変です。自分でも作りますが、お味噌汁と焼くことしかできないんですよ。ただ、1人暮らしの利点は、迷惑がられないのでいつ帰ってもいいってところです。総じて1人暮らしは楽しいけど、やっぱり大変です。

7.どこでもドアのように、いろんな顔を持つ「東京」も好き

地元から東京に住むようになって感じているのは、東京ってそんなに広いわけでもないのに、ものすごく色んな街の雰囲気があるということです。渋谷も新宿も、荻窪も三茶も浅草も全然違う。駅に降り立っただけで、「あ、この街は違うな」ってわかります。道も入り組んでいたり、そう思うと急に抜けている場所があったりして、まるで「どこでもドア」みたいだなと思います。いろんな面白い人たちが、密集して集まっているとも感じますね。地元の浜松も好きですが、東京も面白いなと思っています。

8.家族は、趣味を共有する友達のような存在

1人暮らしを始めてからも家族とは頻繁に連絡を取っています。両親は友達みたいな存在で、何でもかんでも言い合いますね。お互いに共有したいものを見せつけ合うことが多くて、母から「いま私はこれにハマってる」と言われたら、「僕はこれですわ」と返しています。最近母は韓国のStray Kidsというグループにハマっていて、実家に帰ったときにずっと一緒に動画を見ていたので、僕も好きになりました。父と母も仲は良いんですけど、お互いの趣味には引っかかりがないみたいで。僕が父母それぞれのマイブームを受け止めています(笑)。

9.音楽以外の趣味は映画や読書。最近は『なみのいちにち』という絵本がおすすめ

映画を観たり、本を読んだりすることも多いです。ホラー映画も好きですし、監督で挙げるならクリストファー・ノーラン監督の映画も好きですね。昨年観て良かったのは『ドント・ルック・アップ』(21)です。

自分の子どもの頃を思い出したり童心にかえったりする時間も大切にしていて、絵本も頻繁に読んでいるのですが、最近良かったのは阿部結さんの『なみのいちにち』(ほるぷ出版、2022年)です。すごくかわいくて心温まる、少し涙ぐんでしまうところもあるお話で、絵も綺麗です。

10人生のモットーは「何事も興味を持つ」

人生で大切にしていることをあえて言うなら、「何事も面白がる、興味を持つ」ということですね。解釈ができないこととか未発見・未聴感のあるもの、変なものが大好きなんです。変であれば変なほど、興奮しますね。オチのない小説とか、夢か夢じゃないのかわからない結末とかもすごい好きです。読み終わった後モヤモヤするんですけど、僕はめちゃめちゃ嬉しいです。「はい、これは良いもの見つけたな」って(笑)。

音楽に限らずに、崎山さんの好きなものやプライベートの過ごし方を伺ってきたB面。音楽にも通じる崎山さんの“らしさ”も、意外な一面も両方知ることができたのではないだろうか。めまぐるしい変化の渦中にある中でも、地元や家族と過ごす時間を大切にし、常にご自身の原点に立ち戻って深呼吸をすることが、崎山さんの原動力になっているのかもしれない。

Profile
崎山 蒼志
2002年生まれ、静岡県浜松市出身のシンガーソングライター。2018年5月に出演したインターネット番組をきっかけに世に知られることになる。20187月に初のシングル『夏至 / 五月雨』を発表し、同年12月に1stアルバム『いつかみた国』をリリース。20211月にアルバム『find fuse in youth』でメジャーデビューを果たす。
現在、テレビドラマや映画主題歌、CM楽曲などを手掛けるだけではなく、独自の言語表現で文芸界からも注目を浴びている。雑誌「ギター・マガジン」では連載「崎山蒼志の未知との遭遇」を執筆中。また、新潮社の月刊誌「波」にて、新連載「ふと、新世界と繋がって」もスタート。
Twitter @soushiclub
Instagram @soush.i_sakiyama

 

取材・文:大沼芙実子
編集:白鳥菜都
写真:内海 裕之

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