【LIFULL調査 vol.1】「新しい暮らしへの兆し」レポート(世代、地域、家族構成別)

コロナ禍が生んだ、各世代の価値観や行動様式の変化とは? 全国2万人に聞いた!「新しい暮らしへの兆し」レポート

日本でも多くの人が変化を強いられたコロナ禍。その変化は、世代や地域、家族構成といったそれぞれの置かれた状況により様々で、それぞれの世代が当たり前だと考えていた価値観や行動様式の変化などにもつながってきている。そういった価値観や行動様式の変化を追うため、LIFULLは「新しい暮らしへの兆し調査」を5月末に実施した。その結果、

①変化に対して敏感に対応した若手世代(18~29歳)
②仕事や育児で大きな変化を強いられた30代
③他の世代と比べると受け身の傾向が強い40代・50代
④健康面での意識が高まった高齢者(70代)
⑤都市部とそれ以外の地域で仕事に対する意識
⑥今後も暮らしは大きく変化すると感じるシングルファザー
⑦コロナ禍でも意外とポジティブに感じたシングルマザー

など世代や家族構成によって、コロナ禍で受けた影響と価値観の変化の傾向に違いがあることがわかった。

最も暮らしの変化を実感し、
前向き層とストレス層に分かれた若手世代(18~29歳)

仕事や学習への影響により、暮らしの変化を最も実感したのが若手世代(18~29歳)であった。そうした変化に前向きに対応した人が多かった一方、変化に対応しきれず不安やストレスを抱えた人が最も多かったのもこの世代である。

コロナによる変化に前向きに対応した若手世代(18~29歳)

暮らしの変化が強いられる中、若手世代の多くは前向きに適応していた。例えば、「新たなチャレンジをしようと思った」「新しい暮らしを楽しもうと思った」といった前向きな気持ちが他の世代と比べて高いほか、実際に新しい暮らしを経験し、「対面ではないコミュニケーションならではの楽しさ・便利さ」を感じたり、「場所を共有していなくてもコミュニケーションや仕事はできる」と感じたりしている。さらに、家での運動に取り組んだり、学びの選択肢が広がったり、オンラインでの交流を行ったり、新しい趣味を検討したりするなど、若手世代の多くは変化を前向きに捉えていることがうかがえる。

 

孤独感やストレスを感じた若手世代(18~29歳)

変化に前向きに適応した若手世代が多かった一方で、「退屈になった」「孤独を感じた」というネガティブな反応をした人が最も多かったのも若手世代だった。一人暮らしが多く、一人で自宅待機を強いられたことが孤独感につながったと考えられる。

「他人事のようで信じられない」「自分事として捉えることが難しかった」といった反応も他の世代より多く、変化を強いられつつも気持ちがついていかなかった様子が見られる。

仕事と家庭の両立が課題となった30代

仕事への影響はもちろん、家族や子どもの世話など、多方面での影響を受けた30代。家で過ごす時間を家族やパートナーとのコミュニケーションにあてたという人が、他の世代と比較すると最も多かった。一方で、30代は「新しい趣味を見つけるなど、意外と楽しく感じる」と回答した人は、70代と並び全世代で最も少ない。仕事と家庭など影響が多岐にわたったためか、状況をポジティブに捉え直し、楽しむところまで到達する人が少なかったようだ。

変化に対し、受け身の傾向が強い40代・50

40代・50代ではコロナ禍による暮らしの変化度において、「大きく変わった」「変わった」と答えた人が他の年代と比べると少ない。また「コロナ禍を通じた今後の生活・暮らし方を積極的に変えていきたい」と考えている人は50代で特に少なく、コロナ禍での変化に受け身の意識が伺える。

衛生意識や健康増進意識が高まった高齢者(70代)

新型コロナウイルスの感染リスクが高いとされる高齢者では、衛生意識や健康増進意識の高まりが見られた。

また、「自分で正しい情報を見極めることが大切だと思った」と考える人も非常に多く、不安をあおる情報に振り回されないように意識している様子が見られた。

ここまで年齢層別の傾向を見てきたが、ここからは地域別の傾向、シングルマザー・シングルファザーの傾向についてお伝えしたい。

都市部とそれ以外の地域における暮らしの変化度の違い

コロナ感染拡大の初期から流行が懸念された10都道府県(東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・京都・兵庫・北海道・愛知・福岡)の居住者と、それ以外の県の居住者の回答を比較すると、暮らしの変化に差が出ており、それが行動様式や気持ちの変化の差につながっていることが見えてきた。特に仕事面での影響が大きく、「日常の制約・制限に合わせ、適応しなくては」と考えている人が多い結果となった。

暮らしに大きな影響を受けたシングルファザーと、意外と楽しめたシングルマザー

高校生以下の子どものいるシングル子あり世帯では、シングルファザーとシングルマザーの回答で傾向の違いが見られた。シングルファザーでは暮らしの変化が大きかった人が多い一方、シングルマザーは配偶者ありの女性と比較して変化が大きくなく比較的ポジティブな反応が多かった。

暮らしに大きな影響を受けたシングルファザー

シングルファザーで、特に変化があったのは「仕事」と「学習」となっており、テレワークの推奨や休校措置等により、働き方や子どもとの関わりを中心に、暮らしに大きな影響を受けたことが見受けられる。一方で、「余暇時間で新たなチャレンジをしようと思った」「これまで気づかなかった新しい暮らしを楽しもうと思った」といった、前向きな回答も多かった。今後についても「以前とは全く違った暮らしになると思う」と答えた人が25.5%と突出していた。

「意外と楽しめた」という回答の多いシングルマザー

一方、シングルマザーでは、配偶者あり女性と比較すると、暮らしの変化は大きくなかった。配偶者の働き方の変化などに左右されない分、自分と子どものことだけに集中することができたのかもしれない。そのためか、ネガティブな気持ちの変化も少なく、「自粛生活で趣味を見つけるなど、意外と楽しめている」という回答が比較的多いなど、変化に前向きに対応したと見られる結果となった。

今後も暮らしや価値観の変化が進んでいきそう

ここまで見てきたように、世代や居住地域、家族構成などによってコロナ禍で受けた影響は異なり、価値観の変化にも違いが見られた。しかし、全体的には変化をポジティブに捉えた人が多く、今後への変化についても前向きに考えている人が多いことが分かった。

新型コロナウイルスの流行拡大はまだまだ予断を許さず、長期的に「新しい行動様式」を続けていかざるを得ない状況が予想されている。同時に、新しい暮らしを積極的に取り入れ、その良さを実感することで従来の暮らしを変えていく動きは全体として加速していくだろう。

暮らしの変化とともに、価値観もこれまでとは異なるものに変わっていく。人類を未曽有の事態に陥れた新型コロナウイルスは、私たちの価値観や行動様式に大きな変化をもたらしつつあると言えそうだ。

調査概要

調査実施日
2020年5月26日(火)~2020年5月28日(木)
スクリーニング調査
18~79歳男女 20,000s
本調査
18~79歳男女、スクリーニング調査で「コロナ禍以降の暮らしは以前と比べて変化する」と思うと回答した方から抽出 927s
調査手法
インターネット調査

編集協力/IDEAS FOR GOOD

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