“したい暮らし”に出会えない、なんてない。
13歳でモデルとしてデビューし、現在は、女優としても飛躍を続ける本田翼さん。今の活躍ぶりからは容易に想像できないが、オーディションにまったく受からなかった時代もあった。それが20歳の頃に一転、多忙な生活となり目の前のことで精いっぱい、自分を見失いそうになった。私には何ができるのだろう――。まずは、目の前にあるできることをしっかりやる。“当たり前”の感覚を失わず、日々の生活も充実させる。好きなこと、やってみたいことにはトライしてみる。そうやって、暮らしを輝かせている本田さんに、これまでの歩みを振り返りながら、今、そして、未来のLIFEを伺った。
ひとつの道を追究し、何かを成し遂げることは素晴らしく、尊い。しかし、選択肢が増え、働き方や生き方が多様化する時代を背景に、肩書きだけに縛られず、自由に、自分らしさを表現しながら生きる人が増えている。本田さんもそのひとりだ。
忙しさを言い訳にせず、LIFEは自分で作りたい
13歳でモデルデビューした本田さん。当時、仕事とはいえ「バイト感覚」。中学生という若さを考えれば当然だろう。高校3年生くらいまでは、オーディションにほとんど受からなかった。
「落ちに落ちまくりまして……。3桁受けて、受かったのは1桁じゃないかな。3~4年前、高校の同級生たちは大学卒業を前に、就職活動で面接が受からず凹むという話をしてて。振り返ると、私は、中学・高校生時代に似たような経験してたんだなと思いました。おかげで、メンタルはすごく強くなりました(笑)」
ターニングポイントになったのは、雑誌『non-no』でのヘアチェンジ企画。鎖骨がすっぽり隠れるロングヘアをバッサリ切り、ショートカットに。新しいヘアスタイルをまねる女性が急増し、後ろのページが定位置だったのが、表紙を飾るまでに人気が爆発。初めてCMが決まり、映画にも初主演するなど、女優の仕事も舞い込むようになった。しかし、高まる人気の裏で、大学に行きたい気持ちと葛藤していた。
「モデルを始めた頃から、母親には『将来は絶対、大学に行って就職するから』と言ってたんです。芸能のお仕事で生活していけるのはほんの一握りの限られた人だけで、私はそうはなれないと現実的に考えていたところがあって。だから、大学に落ちて、母に言ってきたことができないことがすごく引っかかってました。でも、1年だけ仕事を頑張って、ダメだったら1年勉強して大学に行くと決めたら、あんなにも受からなかったオーディションに受かりだして、受験どうこうを考えてる時間もなくなってしまい……。でも、大学に行きたい気持ちはずっとありました」
進学への思いを断ち切れないまま、足を踏み入れた映像の世界で戸惑っていた。自分のままカメラの前に立つモデルと、自分とは違う誰かを演じる女優の仕事。まるで違うことが求められた。
「なんの基礎もない状態で、大きな役をいただいて、プレッシャーと自分のできなさ加減に悩んでました。なんでこんなにできないんだろうって……。このまま続けていたら、大学にも行けない。もし、この仕事がダメになったら何ができるんだろう、私の人生これでいいのかなと考えながら、自問自答していました。手に職があるわけでもないし、就職もできない。だったら、将来どうなっていきたいのか、“忙しい”という言葉に甘えるんじゃなくて、自発的に考えなきゃいけないと気がついたんです。将来的に、柔軟に対応できる自分をしっかり作っておけば、心に余裕を持って女優の仕事をやれるんじゃないかとも思いました」

自分の未来は自分で決めたいと思っても、周りの人たちがすべてやってくれる現状に甘えていては、道は開けない。そこで、ロンドンに一人旅に行った。
「自分ですべてを何とかしなきゃいけない状況に身を置きたかったんです。そうしたら、本当にどうにもならないんですね(笑)。コーディネーターさんや通訳さんがいるお仕事での海外滞在とはまったく違って、いかに周りに甘えていたか、身をもって知り、反省しました」
将来の道を見つけるためにも、出発点であるモデルや女優の仕事に対して、今まで以上に向き合い、一層力を注ぐようになれた。役作りで必要だと思えば、自ら動き、経験を重ね、天真爛漫(てんしんらんまん)な役だけではなく、シリアスな役も演じられるようになってきた。最新公開作である映画『空母いぶき』では、架空の国から攻撃を受けた日本において、それを守る自衛隊を取材するジャーナリスト役に挑戦。
「日々生きていると、退屈だなって思う日もありますよね。退屈であっても、日常を過ごせるのは、全力で守ってくれる人たちがいるおかげと感謝できる映画です」

もっと暮らしは素敵になっていくはず
仕事は頑張ってきたと言い切れる。その分、プライベートの時間を楽しむ余裕はなかった。しかし、自分からやりたいことはやってみると決めてから、仕事の充実度に比例するように、ここ1~2年でプライベートの時間も楽しめるようになってきたという。朝ごはんをしっかり食べる。そんな小さなことから、LIFEが輝いてくるのを感じている。
「簡単なものですが、今日は納豆ご飯と、昨晩作ったナムルを食べてきました。ずっと昼と夜しか食べない生活だったんですが、朝ごはんを食べると一日を元気で過ごせるんだと実感しています。家では、ハーブティーをいれて、キャンドルもつけて、素敵な時間を作るようにしていて、ここ1~2年で、暮らしを楽しめるようになってきました。家ではゲームをしたり、漫画を読んだり、動画を見たりしています。ゲームは、始めると止まらないですね。21時にはやめると思っていても、気づいたら23時とか、だいたい決めた時間を2時間はオーバーするので、『ここまで』と設定する時間自体が早くなっています(笑)」

大のゲーム好きで知られる本田さん。昨年、ゲーム実況のYouTubeチャンネルを開設させた。他にも、ラジオのパーソナリティ、映画の衣装スタイリングなど、やりたいことを形にしてきた。自分を見つめ直した思い出の地、ロンドンに留学したい夢もある。「新しい味を発見するのが好き」という得意のスープ作りを仕事に生かしてみたい気持ちも芽生えてきた。
1992年6月27日生まれ。東京都出身。2006年、モデルデビュー。2010年から『non-no』のモデルとして圧倒的な人気を得て、現在は『MORE』を中心に各女性誌に登場。一方、2012年よりドラマや映画など映像にも活動の場を広げる。2019年4月8日スタートのドラマ『ラジエーションハウス ~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)に出演中。出演映画『空母いぶき』は5月24日より全国公開。
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