「これが本当の私!」13歳の少女が本当の自分らしさに気づくまで。『私ときどきレッサーパンダ』
日常の中で何気なく思ってしまう「できない」や「しなきゃ」を、映画・本・音楽などを通して見つめ直す。
2022年3月公開のディズニー&ピクサー最新作『私ときどきレッサーパンダ』。公開直後から高い評価を受ける本作は、親子の関係性、女性として生きること、人種的アイデンティティなど、普遍的でありながらも現代において特に注目を集めるトピックが凝縮された映画だ。
連載 「しなきゃ」と思って暮らしてた。~エンタメから学ぶ「しなきゃ、なんてない。」~
- 第1回映画『私ときどきレッサーパンダ』が教えてくれる「自分らしさは一つ、なんてない。」
- 第2回自分らしさは誰のもの?周囲が認める自分と本当の自分のギャップから生き方を見つめる
- 第3回小説『きみだからさびしい』が教えてくれる、自分のセクシュアリティとの向き合い方
- 第4回「これが本当の私!」13歳の少女が本当の自分らしさに気づくまで。『私ときどきレッサーパンダ』
『私ときどきレッサーパンダ』のあらすじ
主人公は13歳の少女・メイ。1990年代のカナダはトロントを舞台とした作品だ。メイは中国系のカナダ人で、チャイナタウンに存在する寺院で母と父とともに暮らしている。
メイは、テストはほとんど満点、学校の授業が終わればすぐに帰宅し寺院の掃除、と厳しく過保護気味な母親の前で、「真面目でいい子」な自分を演出している。しかし、本当は母が嫌うヒップホップボーイズグループの大ファンだし、恋もするし、親友3人と羽目を外して遊ぶのも大好きだ。
親には理解されない本当の自分と「真面目でいい子」な自分のギャップに苦しみながらも過ごす日々。ある日、悩みながら眠りについたメイが目を覚ますと、鏡に映ったのは赤いモフモフとした毛に覆われた自分の姿だった。なんと、メイはレッサーパンダになってしまったのだ。
© 2022 Disney/Pixar
感情の高ぶりとともにレッサーパンダに変身してしまうようになったメイ。一体この変身にはどんな秘密が隠されているのだろうか。そしてどうしたらメイは元に戻れるのだろうか。レッサーパンダになってしまったメイが自分を取り戻していくまでのストーリー。
自分らしさは、「私」が決める
この作品を観て、まず最初に「私のことだ!」と感じた人もいるのではないだろうか。学校での成績や将来の進路に親からのプレッシャーを感じたり、趣味や将来の夢などを親に理解してもらえなかったり。親子関係の中で「自分らしさ」に迷い始める経験をしたことがある人は多いことだろう。
メイもそんな状況におかれていた子どもの一人だが、母親に向かってこんな言葉を投げかける。
「これが私なの!」
「自分がだれかやっと分かり始めた」
隠していた一面を母にも見せ始めたとき、メイは新たな自分の魅力にも気が付き始めていた。親といるときの自分、友達といるときの自分、好きなものを追いかけているときの自分。そこにはそれぞれ素敵な自分らしさがある。いつもいい子で完璧でいなきゃ、などと思わずに、自分の多様な面を認めるためのヒントをくれる作品だ。
© 2022 Disney/Pixar
さらに、本作はアジアをルーツに持つキャラクターが主役でもあり、制作陣もまたアジア系の女性たちだ。女性スタッフたちが中心となって、美形すぎず、かといってツリ目で出っ歯などステレオタイプなわけでもない、ナチュラルなアジア系の少女が主人公の作品が作られたことには大きな意義があるだろう。メイを含む仲良し4人組のシスターフッド、生理を一つのキーワードとして物語に組み込んでいることなども含め、女の子の「自分らしさ」をエンパワーメントする力を持った映画といえるだろう。
『私ときどきレッサーパンダ』© 2022 Disney/Pixar
ディズニープラスで配信中
※ディズニープラスは、ディズニーがグローバルで展開する定額制公式動画配信サービス。ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナル ジオグラフィックの名作・話題作に加え、スターブランドとして大人が楽しめるドラマや映画も。ここでしか見られないオリジナル作品も見放題。公式サイト:https://www.disneyplus.com/ja-jp
公式SNS:Twitter @DisneyPlusJP
公式: Instagram @disneyplusjp
カスタマーセンター:0120-65-2019 受付時間: 10:00 ~ 17:00(年中無休)
※ 一部のIP電話からは接続できない場合があります。
執筆:白鳥 菜都
みんなが読んでいる記事
-
2025/03/06自分に何ができるか迷ったら。未来を切り開く就活のヒント
自分の強みや希望の仕事など「就活」の悩みや不安への向き合い方の参考になる、既成概念にとらわれず自分らしく生きる人々の名言まとめ記事。
-
2025/03/06仕事の悩みへの対処法:人生の先輩からのヒント
転職やキャリアチェンジ、キャリアブレイクなど、働き方に関する悩みやそれに対して自分なりの道をみつけた人々の名言まとめ記事です。
-
2025/03/06新生活ブルーのあなたに届けたい言葉
人間関係や仕事の向き不向き、将来への不安に対して、既成概念にとらわれず自分らしく生きる人々の名言まとめ記事。
-
2025/03/31家賃を払わなきゃ、なんてない。―「感謝」が「家賃」代わりに!? 移住のスタートを支える新しい共同住宅の仕組みとは。―中村真広 島原万丈
「建築と不動産×テクノロジー」をキーワードに活動してきた中村真広さんのインタビュー。ツクルバ共同創業や虫村の構想を通じて、多様な人々と共創し、経済システムを超えた新たな場づくりを模索する中村さんの思いと実践を、島原万丈さんとの対談で探ります。
-
2022/02/03性別を決めなきゃ、なんてない。聖秋流(せしる)
人気ジェンダーレスクリエイター。TwitterやTikTokでジェンダーレスについて発信し、現在SNS総合フォロワー95万人超え。昔から女友達が多く、中学時代に自分の性別へ違和感を持ち始めた。高校時代にはコンプレックス解消のためにメイクを研究しながら、自分や自分と同じ悩みを抱える人たちのためにSNSで発信を開始した。今では誰にでも堂々と自分らしさを表現でき、生きやすくなったと話す聖秋流さん。ジェンダーレスクリエイターになるまでのストーリーと自分らしく生きる秘訣(ひけつ)を伺った。
「しなきゃ、なんてない。」をコンセプトに、読んだらちょっと元気になる多様な人の自分らしく生きるヒントやとらわれがちな既成概念にひもづく社会課題ワードなどを発信しています。
その他のカテゴリ
-
「結婚しなきゃ」「都会に住まなきゃ」などの既成概念にとらわれず、「しなきゃ、なんてない。」の発想で自分らしく生きる人々のストーリー。
-
LIFULLが社会課題解決のためにどのような仕組みを創り、取り組んでいるのか。LIFULL社員が語る「しなきゃ、なんてない。」